俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流

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第22話 緊急討伐クエストだ!

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 結局その後クロエと俺は、ノエル加入時と同様のやり取りを全く立場を入れ替えた状態で行い、渋々俺が折れてアルフォンスの加入を承認してやった。
 しかしだ、彼の職業は『薬草師』だという。そんなレアな職業はなかなかお目にかかれない。
 まず、薬草はポーションに加工した方が回復効率もいいし、苦さも少しマシになるので飲みやすいのだ。それを彼に伝えると、彼は肩を竦めた。

「確かに、みんなそう言うんですよ。でも、薬草には回復薬として以外にも様々な使用用途があるんです」
「ふーん、例えば?」
「薬と毒は紙一重、つまりポーションが作れるということは毒薬も作れる。鉱石と混ぜて火薬も作れるし、武器や防具も作れる。──この服も薬草で作ったのですが、普通の木綿に比べて防御力が高くて、状態異常になりにくい特殊効果が付いているんですよ」
「おお……マジか。てっきり、ただ単にお前の顔が良いだけなのかと思って悪かった」
「ひどいなあ。……まあいいですよ。言われ慣れてますから」

 そう言ってニコッと笑ったアルフォンスはまさに美青年という感じで、俺は思わず顔を背けてしまった。
 くそ……男なのにこんな気持ちになるとは思ってなかったぞ。俺はノンケなんだから変な勘違いをするんじゃない。
 落ち着け。……という感じでしばらく悶々としているうちに話は進む。
 
「でも、他のギルドの連中には僕ら薬草師の有用性が理解できないんです。結局、僕らはクビにされて代わりに雇われたのが聖フランシス教団の回復術師で……」
「それは、なんというか……可哀想に」

 クロエは同情したような声を出す。
 薬草師も結局、俺らポーション生成師と同じような境遇だったのだろう。

 おそらくアルフォンスも転職を繰り返してきたに違いない。そして最終的に行き着いたのが『月下の集い』だったというわけだ。そりゃあルナ嬢なら薬草師なんてレアキャラを見逃すわけがないだろう。
 ともかく、こうして『月の雫』は新しい仲間を加えて新たなスタートを切ることになったのだった。


 ***


 数日後、俺たち四人は冒険者ギルドを訪れて、依頼を受けることにした。
『月下の集い』は、ルナがメンバーとそれぞれに関係を結んでいるだけの極秘性の高いものだった。なので、メンバーも自分の他に誰が所属しているのか把握していなかったし、何人ぐらいメンバーがいるのかも分からないらしい。ルナもそれについては俺たちに話してくれなかった。

 実際、ノエルとアルフォンスは元『月下の集い』所属であるものの、お互い初対面だった。だが、『月の雫』としてルナの手から離れた今はそんな悠長なことはしていられない。一刻も早くギルドを大きくして、聖フランシス教団に対抗できる組織にしなければならない。……そのためにはやっぱり金、そして名声が必要だよな。
 俺がそんなことを考えていると、クロエはノエルを睨みつけていた。

「ちょっとリッくんから離れなさいよ。このタラシが」
「えっ? 私何もしてませんけど?」
「してるでしょうその胸が!」

 そう、現在進行形でノエルが俺の隣に座っているのだが、その位置取りのせいで俺の腕が彼女の豊満な胸に密着してしまっているのだ。クロエはそのことを言っているわけだ。

「ああもうっ! こっちきなさーいっ!」
「や、やめてください乱暴しないでっ!」
「うるさい死ねこのバカ乳が!」

 二人が揉め始めたので仲裁に入ることにした。このままでは喧嘩が始まってしまう。それにクロエも可愛いんだからあまり嫉妬深い女みたいになってほしくないんだよ。ほら、周りの人がこっち見てるしさ……。
 というかクロエ、最近お前口悪くなってないか?気を許してくれてる証拠だと思うことにしておくけどさ。

「やめておこうぜクロエ? 気になるなら揉んでやるんだから」

 そう言った瞬間、俺はクロエによってぶん殴られた。しかもグーで。

「流石に今の発言はデリカシー無さすぎだと、自分でも思わない?」 
「はい……」

 俺はクロエから蔑むように言われた。どうやら冗談のつもりだったのに、マジレスされてしまったようだ。これは恥ずかしい……。そしてノエルはと言うと……。

「な、ななな……」
「ごめん、忘れて……」
「リックさんとクロエさんはそういう関係だったんですか……」
「だから冗談だって! マジにならないでくれ頼むから!」 

 ノエルが赤面しながらジト目で見てくるのを見て、俺が焦っている間にクロエは再びノエルの方へ歩み寄っていた。

「リッくんはああいうやつなのよ」
「変なこと吹き込むなって!」
「そうですか、リックさんも男の子なんですね」
「うぐぅ……ッ」

 なんだろう。凄く屈辱的な気持ちになる。これがいわゆる羞恥プレイってやつか。……やっぱ今のなしでお願いします。
 そして、アルフォンスはそんなやり取りを見て、ずっとニコニコしてやがった。このイケメンめ……いつか泣かす。

 まあ、そんな感じで騒いでいるうちに冒険者ギルドにたどり着いた俺たち。相変わらず立派な建物の中に入ると、ベテラン受付嬢のエリノアが出迎えてくれた。

「あぁ、あんたらは確かルナちゃんの……へぇ、可愛い子が増えたけど男も増えたねぇ……」
「どうも、お久しぶりです先生」

 ノエルはそんなエリノアにお辞儀をして挨拶をする。知り合いか? 色んな子から『先生』って呼ばれるこのエリノアって受付嬢、一体何者?

「誰かと思ったらノエルちゃんじゃん! 相変わらず大きなおっぱいだねぇ……どれ、お姉さんに触らせてみてごらん?」
「いやあの……今回の目的はクエストの受注で……」
「今ちょうど緊急クエストが舞い込んでるの! 通常クエストと違って報酬も破格だから、触らせてくれるならそれを受注させてあげようかな~?」

 エリノアはニヤニヤと笑いながら、まるで痴漢を働くオッサンのように手を伸ばす。
 おいおい……俺の前でセクハラとはいい度胸じゃねえか。ここは一発ガツンと言ってやろう。

「すいませんが、ウチのメンバーに手を出すのはやめてもらえますかね?」

 俺がそう言うと、エリノアは露骨に不機嫌そうに舌打ちをした。

「うっせぇな男が口挟むんじゃねぇよ」
「うわー、ギルドの受付嬢がそんなこと言っていいんですか」
「あたしだからいいのよ別に。そこら辺の受付嬢とは比べ物にならないくらいの実績があるんだから」

 エリノアは腕を組み、ドヤ顔をしながら言った。なんか毎度の事ながらムカつくなこいつ。でも、確かに実力は本物かもしれないし、これ以上は何も言わないでおこう。それに、俺たちの目的は別に緊急クエストというわけでもないし。

「……で? その緊急クエストっていうのはなんですか?」

 尋ねたのはクロエだった。

「いくらクロエちゃんの頼みでも、ノエルちゃんが触らせてくれないから教えてあげなーい。それとも代わりにクロエちゃんが触らせてくれる?」
「それは……、でも気になります!」
「そうね。そうよねぇ……だから!」

 そう言ってエリノアはノエルの後ろに回り込み、背後から彼女の胸を鷲掴みにする。

「あっ……」
「うん、相変わらず素晴らしい感触だね」

 エリノアはノエルの反応を堪能したのか、ようやく胸を離す。すると、ノエルは顔を真っ赤にして涙目で睨みつけていた。……これは後でフォローが必要だな。俺はため息をつくのだった。

「じゃあ堪能したことだし、教えてあげましょう。緊急クエストの内容は『ジャイアント・デスナイトの討伐』よ!」
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