俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流

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第23話 いざダンジョンへ!

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「「げっ!?」」

 奇声を上げたのは俺とノエルだった。クロエとアルフォンスの二人は首を傾げている。

「どうしました? 二人共急に大きな声出して……」

 アルフォンスが尋ねる。どうやら、この二人は知らなかったようだ。『ジャイアント・デスナイト』がどんなにヤバいモンスターなのかを。

「『ジャイアント・デスナイト』っていうのはね、その名の通り体がとても大きく、強力な武器を持ったアンデッドの騎士のこと。その特徴は圧倒的なまでのパワーで、並みの冒険者なら一瞬で殺されてしまう。……だけどそれ以上に危険なのはその特性なんだ」
「「危険?」」

 アルフォンスとクロエの声がハモる。やっぱり、何も分かってないみたいだな。

「そっか、クロエも初めてだよな? なら一応簡単に説明しておくか」

 俺は二人の方を見て、『ジャイアント・デスナイト』の危険さを説明することにした。

「まず一つ目に、奴は普通の剣や斧といった斬撃や刺突に耐性がある。魔法でなら攻撃ができるけど、それでもあまり効かない。理由は簡単、鎧の防御力が高いからだ。そして、二つ目は……」

「「二つ目は?」」

 二人は身を乗り出すようにして聞き耳を立てる。俺は少し躊躇したが、話を続ける。

「奴の巨大な体躯から繰り出される攻撃は、攻撃力が高くて連続で食らえばすぐにHPが尽きてしまう。──正直、ポーションでの回復は追いつかない」
「「えぇぇぇ……ッ!!」」

 俺の言葉を聞いて、アルフォンスは冷や汗を流しながら、クロエは青ざめた表情を浮かべた。……流石にちょっと言い過ぎたか? まあ、嘘ではないんだし仕方ないか。

「俺が以前所属していたパーティーが狩りをしていたダンジョンのボスがデスナイトだったんだが、俺たちは絶対ボスには手を出さないようにしていたんだ」
「じゃあ、リッくんでも敵わない相手ってこと?」
「そうでもないさ。今はユニークスキルの『リジェネレーション』があるし、魔剣『リンドヴルム』もあるからな」
「でも、私たちが加わったとはいえたった四人で戦うのは無謀なんじゃないですか? いくらリックさんが強くても、私たちはボス攻略は初心者なんですよ」

 ノエルが心配そうに聞いてくる。確かに彼女の言う通りだ。デスナイトの討伐なんて、できたてギルドである俺たちがやるクエストとは思えない。普通ならベテランの上級者に任せるべきクエストだろう。

「そう、普通ならあたしはこんなクエストを初心者に勧めたりしない。でも今はあいにく、上級冒険者は他のクエストで出払っていてね……だけど、奴は冒険者を食って生長する上に学習能力もあるみたいでね。既にダンジョンの多くの階層に出現して犠牲者もたくさん出ているし、早めに討伐しておきたいの」

 エリノアは困ったような口調で言う。
 なるほど……。要するに、エリノアは俺たちがこのクエストを達成できると踏んでいるから、俺たちに依頼をしているのだ。
 ギルドの受付嬢は依頼先のギルドが達成不可能な依頼は出さない。ベテラン受付嬢であればなおさらだろう。

「……エリノアさんは、俺たちがデスナイトを討伐できると?」
「ええ、そう思うけど? ……ていうか、むしろあんたら以外誰がいるっていうのよ」

 エリノアは再びニヤニヤしながら言った。……こいつマジで腹立つな。

「……わかった。受けよう」
「ちょ、本気なの!?」

 俺が承諾すると、真っ先に反応したのはクロエだった。彼女は必死な形相で俺の方を見る。

「ああ、俺たちのギルドの初陣には相応しいクエストだと思うぜ」

 俺は不敵に笑いながら答えた。まあ、デスナイトはいつか討伐したいと思っていたモンスターだし、相手にとって不足はないだろう。

「で、でもデスナイトは強いってさっきリッくん言ってたよね! いくらなんでも危険過ぎるよ!」
「いやぁ、大丈夫だろ」
「なんで!?」
「そりゃもちろん……」

 俺はエリノアの方をうかがい、ニヤリと笑って言った。

「俺たちなら勝てるからだよ」


 ***


 翌日。俺とクロエは早速準備に取りかかっていた。

「本当にいいの? あんな大口叩いて……」

 クロエは心配そうに言ってくる。そんな彼女に、俺はこう返した。

「問題ないさ。俺たちはルナ嬢に鍛えられて断然強くなってるんだ。デスナイトの攻撃をかわすくらいなんてことはないと思う」
「それはわかるんだけど……もしデスナイトの攻撃を食らっちゃったらどうするつもりなの?」

 クロエの質問はもっともだった。実際、俺だって攻撃はできるだけ避けたいと思っている。しかし……。

「まあ、それならそれでポーションがあるし、俺たちにはユニークスキルの回復がある。なんとかなるだろ」
「えぇ……あの不味いポーション飲むの? 私はもう嫌なんですけど……」

 クロエはゲンナリとした顔になる。クロエも俺と初めて出会った時に一度飲んだことがあるからな、あの薬を……。

「仕方がないだろ。回復術師のいない俺たちのパーティーは、お手軽な回復手段がこれしかないわけだし」

 俺がそう言うと、クロエは黙り込んだ。そしてしばらくしてため息をつく。

「……それもそうだね。でも、無理は絶対にしないこと。これはリーダー命令だからね」

 クロエは俺の顔を見ながら念を押してくる。俺はそれに「おう!」と答えた。いつクロエがリーダーになったのか分からないが、まあいいだろう。

「よしっ、そんじゃ行くか!」
「うん!」

 俺たちがそんなことを話していると、ギルドハウスにノエルとアルフォンスの二人がやってきた。そして、そのまま外へ出る。俺たちが向かう先は当然──ダンジョンだ。

 目的地のダンジョンまで来ると、クロエは急に真剣な表情に変わる。これから戦いが始まるかもしれない。そのことを実感したようだ。クロエにとってモンスターと戦うのは初めてかもしれない。練習できればよかったのだが、まあそこは経験者の俺がサポートするしかないだろう。

「さて、とりあえず中に入るか」

 俺たちは、何度も潜った経験のある俺を先頭にしてダンジョンの中へと足を踏み入れた。
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