二人の太極図

水妖イヨタ

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一章

ゲーム内に?!

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抽選結果のメールが届いた翌日、もう一通メールが届いた。内容を読んでさらに怪しさが増した。
テストプレイヤーは全員一ヶ月間、指定の建物で生活し、ゲームをするという内容だった。
僕は少し行きたくなくなったが、エントリーするにあたって規約が存在した、規約の内容はエントリーしたプレイヤーはキャンセル出来ないとあったので今更やめることは出来なかった。

八月一日、待ちに待ったその日になった。
丁度、義父さんは昨日から出張で九月の始めまで家に帰ってこないそうだ。だが、僕たちには好都合だった。
家に一か月間も帰らないなんて知ったら、義父さんは心配して詳しく聞いてくるだろう。
詳しく話せば、これまでもゲームのやり過ぎで怒られていたため、行かせてくれなかっただろう。
そんなことを考えながら僕たちは電車に乗り込んだ。

「兄さん、どんなゲームなんだろうね」

「分からないけど、僕はバトルゲームがいいなー」

「兄さんバトルゲーム好きだねー、私は頭の使うゲームがいいなー」

指定の建物は僕らの家から隣の県にある、だから電車やタクシーを利用して目的地に向かっている。
長い道中、僕たちはこれから始まるゲームの内容の話をしていた。
僕はバトルゲーム、妹は頭の使う、いわゆる頭脳ゲームが好きだ。

「でも、一か月間もプレイさせるって流石に長すぎないか?」

「まあ、私もそう思ったけど、一か月間もゲームができるなんて夢みたいだよー」

「そうだな、うん、一か月間楽しもうな」

「うん!」

何があっても妹は僕が守ると、僕は自分に向かって心の中でそう誓った。

指定の建物は空を突き抜ける程に高いビルだった。
中に入るとスーツを着た男性に案内された。
案内された場所は会議室のような場所で、中は大量の椅子と机が置いてあった。

「もう何人かいるな」

「そうだね、私たちも座ろ」

「うん」

僕たちは前から二列目の席に座った。
数十分後、ぞくぞくと部屋に入ってきて、席が全て埋まったところでスーツを着た男性が前に立ち、話し始めた。

「お集まりいただき誠にありがとうございます、私はこの施設の責任者、木畑 木傷(きはた ききず)と申します。まず、この施設の説明をいたします。この施設は二人部屋が多数設備してあります。皆さんにはその部屋で生活、ゲームをしてもらいます。」

「食事などはどこで食べるんですか?」

そこで参加者の女性が質問をした。

「食事の心配はいりません、皆さん各自の部屋で取ってもらいます、他に質問はありますか?」

部屋の中が静まり返った。

「質問は無いようですね、それでは部屋割りを発表します、紙を配布します、その紙に部屋番号と名前が書いてあります、自分の名前が書いてある部屋で生活してもらいます、説明は以上です、皆さん合図があるまで各自、自分の部屋で待機しておいてください」

「恋月一緒の部屋でよかったな」

「だね、兄さん変なことしないでよ」

「しないわ!どんだけ信用無いんだよ」

「嫌いな友達の次に信用してる」

「それ、全然信用してないやつだよね!?」

そんな会話をしつつ部屋に入る。
部屋の中には家具は何もなく、二つ、人一人寝れるぐらいの大きな機械が置いてあった。

「皆さん、部屋に入りましたね、部屋の説明をさせてもらいます、部屋にある機械で皆さんにはゲームをしてもらいます、次の放送で皆さんは機械寝てください」

それで放送は終わった。

「寝てするゲームか、VR的なゲームかな?」

「そうかもね、でも、寝てたら体動かせないよね」

「うん、なんかしたことないゲームってワクワクするな」

「うん、兄さん頑張ろうね」

そうして一時間程が経過した、

「大変長らくお待たせしました。皆さん機械に横になってください、そうしましたらゲームを開始します」

段々意識が遠くなっていく。そんな中で聞こえた言葉。

「一か月間、ゲーム内の生活、楽しんでください、クックックッ」

笑い声を最後に意識が完全に消えた。

僕は目を覚ました。そこは江戸時代の城下町のような場所だった。まず、周りの様子を確認する。
周りには多くのテストプレイヤーであろう人たちがいた。僕はその中から妹を探す。

周りを確認して分かったことがある、まず、顔も体も現実世界と何一つ変わらない。会議室で見た人が何人もいたことで分かった。それなら妹を探しやすい。
二つ目に、このゲームにはメニュー画面が存在する。出し方はグーの手をパーにするように開くと出てくる。

あとは、お金で武器や食べ物が買える。
武器が買えるということはどこかで戦闘ができるということと考えていいだろう、早く妹を探さないといけない。今の僕の中の最優先事項だ。

どれくらいたっただろうか、もうとっくに一時間は探し回った。もう一つ分かったことがある。
疲労は溜まるし、眠たくもなる、だが、お腹はすかない。ならなぜ、食料が売ってるのだろう、まあ、そんなこと今はいい、妹を探す。今はそれに集中する。そんなとき、

「あの、武器ってどこで買えますか?」

プレイヤーらしき人が話かけてきた。

「えっと、武器は赤い屋根のところで買えますよ」

武器屋の共通点は赤色の屋根ということが探している最中分かった。
そして、各武器屋で買える武器は違っていた。

「ありがとうございます、あ、私は今この街に着いたばっかりで」

この場所以外で目覚めた人がいるのか。

「ゲーム開始してからどこで目覚めたんですか?」

参考になるかと思って聞いてみた。

「え?ゲーム?何を言ってるんですか?」

「え?」

何を言ってるのか分からないような顔で聞いてきた。

「もしかして出身地ですか?私は北の地にあるヘルングランという国で生まれました」

じゃあ、この人はNPCか?でも、そんな決まった動きをしないNPCが存在するのか?
まあ、そんなことは考えても仕方がない。

また、妹を探しに行こうとした時、

「兄さんー!やっと見つけた」

妹と合流が出来た。
そして衝撃の出来事が伝えられる。

「兄さん、このゲームログアウトできないらしいよ」


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