二人の太極図

水妖イヨタ

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一章

最後ボス?!

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僕たちはその場所に着いき、階段を下りていく。

「やっぱりすごいねー、これだけの数のボスを一人で倒していくなんて」

「最強、かもな」

そんな会話をしつつ、下っていくと、そこにイヤが座っていた。
その後ろには扉が開いたままの状態の第五十層がある。

「入って倒さないのか?」

「お前らはあいつの強さとズルさを知らないからそんなことが言えるんだ」

「どうしたんだ?何があった?」

「知りたきゃ自分で入って確かめろ」

なんて意地悪な奴だ、そう思いながら僕は考えた。
元々、僕たちはここに第五十層があるかの確認のために来ただけだ。
戦うことなんて考えていなかった。

「どうする?戦うか?それとも帰るか?」

「私はどちらでも構いません」

「私は、戦ってみたい、けど、イヤって人が勝てなかったんだよ?勝てるかなー」

「それはやってみないと分からないが」

「じゃあ、戦ってみますか?」

僕は少し考えた。
戦ってもいい、だが、恋月の言った通りイヤが勝てなかったのだ、僕たちが勝てるかどうか。
だが、僕は、

「戦ってみよう」

そう言った。
僕が今度こそ守る、みんなで力を合わして戦う。
そう決心したため出てきた言葉だ。

「よし、行こう」

「うん!」

そう言い僕たちはボスのいる部屋へ入っていった。

「バカだなー、勝てるはずないのに」

そのボスは人の姿をしていた。
まだ、体力ゲージは出ていない。
今回はボスの情報が無い以上うかつに攻撃が出来ないため、初めのうちは相手の行動を見てみることにする。
そんなとき!

「ッ!」

何かがほほをかすめた。
後ろを見るとそれは、ナイフだった。
僕は瞬時に理解し、みんなに伝える。

「二人とも!攻撃が来るぞ!」

そう言った時にはもう遅かった。
大量のナイフが飛んできていた。
僕は刀を構え、二人の前に出てナイフをはじいた。

「ふ、二人とも大丈夫か?」

「大丈夫だよ、兄さんのおかげでね」

二人の様子を確認していると突然耳元に!

「へぇー、君結構強いねぇ」

「ッ!」

僕は戸惑いとっさに後ろに下がった。
ボスが話しかけてきたのだ。

「お前、ボスじゃないのか?」

「僕はボスさ、第五十層の最後のボス、ジシヌ」

「やっぱり五十層が最後なんだな」

「そうさ、まあ、僕は倒せない」

「何故だ?」

「そうプログラムされてるからだよ」

「そんなのって、ありか?」

「さぁ、僕はそうされただけだからね、それよりこの部屋の前に座ってた男の顔見たか?」

「あぁ、見たさ」

「よっぽど悔しかったんだろうな、負けることなんて無いって顔で入って来て、僕にボコボコにされたからねぇー」

「イヤをボコボコ、」

倒せない上にイヤをボコボコにできる強さを持っている、そんなのチートじゃないか。
そう考えた一瞬の隙をジシヌは見逃さなかった。
素早いスピードで距離を詰めて、

「油断してると死んじゃうよー」

重たいけりを食らい壁まで吹っ飛ばされる。
ガードはした、なのにこの威力、反則だろ。

「兄さん!大丈夫?!」

「大丈夫だ、それより...わかったか?」

「う、うん」

「わかりました」

僕は起き上がり、ジシヌに向かって、

「僕と一対一をしろ」

と、宣戦布告をした。

「へぇー俺に勝てないって分かって戦いを挑んでくるんだー、おっかしいねぇー」

「へ、大丈夫だよ、僕は負けない」

正直勝てる自信なんて無い、だけど、この役は僕が適任だ。

「じゃあ、十秒後に始めよう」

「いいよ」

そう言い僕は能力を発動する。
体に負荷が掛からない程度の能力を、そして、

「二人とも頼む」

その声と同時に戦いの火蓋が切られた。

僕はジシヌとの距離を縮めていく。
刀を振り上げ、攻撃しようとしたとき、

「ざーんねん、後ろだよ」

突然ジシヌの姿が消えいつの間にか僕の後ろにいた。
そして、

「ッ!」

「二回も食らってんじゃん、いい加減避けてみろよ」

またも重たいけりが入った。
僕はまたガードすることしか出来なかった。
すぐに起き上がりジシヌの位置を確認する、だが、

「だから遅いってー」

またも背後を取られていて、

「グッ」

今回はガードも出来ず壁に吹き飛ばされた。
完全に遊ばれている、今にも笑い出しそうなその顔、正直ムカつく。
しかし、僕は今回感情だけで動くことはしない、二人を守る為に。
暗い空間であの男に教えてもらった事を思い出し、冷静になる。

「どんだけ速いんだよ」

「いや、僕は歩いているだけだよ、君が遅いだけ」

「僕が遅い?」

「そう、認識できていないんだよ、君は」

認識が出来ていない?どういうことだ?
僕はもう一度刀を構え、距離を縮める。
攻撃しようとした時、僕はジシヌが後ろに回り込むと思い込んみ、振り返り刀を振るう。
だが、

「はい、お疲れ様」

「え?」

後ろにはいなかった、だが、またしても背後にいた。
今回ジシヌは回り込まずに前にいたのだ。
僕はまたも蹴りをノーガードで受け、飛ばされた。
まるで、僕がボールで遊ばれているみたいだ。

「ねぇ、いつになったら攻撃当ててくるの?」

「うるせぇよ、ちょっと黙ってろ」

「うぅ、怖い、怖い」

いつも背後をとられている、何故だ?
単純にスピードが速いだけなのか?
でも、だとしたらさっきの攻撃は何だったんだ?偶然か?
自問自答を繰り返していると、

「おい、まだ気づかねぇのか?」

そう、あの男が声をかけてきたのだった。

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