ダンジョンマスターは魔王ではありません!?

静電気妖怪

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1章〜異世界の地に立つ者達〜

5話「始まるダンジョン2」

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 下らない(?)思考から覚めたレイジはおもむろに立ち上がった。

「さて、次はアドバイザー探しかな」
「ハイ!何ですか?」

 突然背後から声が上がる。

「ッ!!」

 レイジは反射的に声の方へ振り返りながら飛び下がり距離をとった。

「わー、何今の動き。すごーっ!」

 そして、目の前には1人の少女が目を輝かせていた。

 服装は白いシャツ一枚。髪は白髪で肩まで伸ばしている。瞳の色は青く、唇の色はそこまで明るくない。
 肌は白く、一度も日に当たったことがないんじゃないかと考えてしまうぐらいだ。
 そして極め付けは身長が俺の腰より少し高い程度。小学生か、よくて中学生くらいだろう。

「き、君は?」
「あ、そうでした。申し遅れました。ゼーレはこのダンジョンのアドバイザーの『ゼーレ』といいます。よろしくお願いしますね、お兄ちゃん!」
「お、おにいぃ!?」

 唐突にやって来た自分より年下の少女からのお兄ちゃん発言。
 当然、レイジは焦った。

 か、考えろ...考えろ俺!

 ポクポクポクポク⋯⋯と脳内で木魚の効果音が鳴り響く。

 思い出せ!俺に妹なんていたか?
 ⋯⋯いや、俺は確かに一人っ子だったハズ。

 ポクポクポクポクポク

 まさか!腹違いの妹か!?
 ⋯⋯いや、両親はいたって普通の関係だった。不倫も浮気もなかった⋯⋯ハズだ!

 ポクポクポクポクポクポク

 も、もしや!事件に巻き込まれた!?
 誘拐、調教、催眠etc。
 な、ならそれって⋯⋯

 チーン

 俺も犯罪者!?

 久しく、家族と教師以外で面と向かって会話したことのないレイジはこの回答にたどり着く道のりが明らかに可笑しいことに気づけなかった。

 た、確かめねば⋯⋯。

「お、お嬢さん。そのお兄ちゃんって...俺のこと?」
「そうだよ!」
「グホッ!」

 少女、ゼーレの言葉がレイジの胸に突き刺さった。

 レイジは力が抜け、膝から崩れ落ちてしまった。

「お、お兄ちゃん大丈夫!?」
「あ、あぁ。ちょっと大丈夫じゃないかも」
「何があったの!?」
「うん⋯⋯ちょっと間違いを犯しすぎた⋯⋯かな?」
「ま、間違い?お兄ちゃんが何を間違ったかわかんないけど。はい、どうぞ!」

 そう言って、ゼーレはポケットから置き型の鏡を取り出しレイジを写した。

「⋯⋯ん?」

 レイジは鏡に映る自分に気づくとそれに穴ができるくらいに見つめた。

 鏡に映っていたのは、青い瞳に白髪。薄い唇に一度も日に当たったことのないような白い肌。
 顔はどことなく目の前の少女に似ている。

「こ、これが⋯⋯俺なのか?」
「ね?ゼーレ達似てるでしょ?」
「た、確かに似てるといえば、似ている⋯⋯のか?」
「そういうわけだから、お兄ちゃんよろしくね!」

 ゼーレは満面の笑みをレイジに向けた。

 その笑みに勝てる筈もなく、

「ああ、よろしく」

 少女を説得するのを諦め、兄妹関係を納得してしまった。

 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️

「ちなみに、他に呼び方の候補はないのか?」
「うーん、『にぃ』?」

 某天才ゲーマーの兄妹を思い出してしまう。

「他には?」
「『ご主人様』?」

 こんな少女にそんな呼び方させてたら危ないよな。

「ほ、他には?」
「だ、『旦那様』...?」

 ダーメーダーヨ!何でこの子の呼び方の思考回路はマトモの方に行かないの!?

「このままでいいや⋯⋯」
「うん!」

 こうして、レイジの最後の悪あがきは幕を閉じた。

 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️

「じゃあ、気を取り直してダンジョン作るぞー!」
「おー!」
「とは言ったものの、何すればいいんだ?」
「まずは魔物を作ろっか」
「お、ダンジョンっぽい。で、魔物ってどうやってできるの?」
「ふふん。では、ご説明しましょう!
 まず魔物召喚方法は3つまります。1つはこれ!」

 そう言って、ゼーレはポケットから3枚のチケットを取り出した。

「何だそれ?チケット?」
「そう、これは『召喚紙しょうかんし』って言う魔物を召喚するチケットだよ」
「成る程運ゲーか」
「運ゲーだよ」
「で、それ使うとどんなのが出るんだ?」
「ふ、ふ、ふー。このチケットでは安定してレアな魔物が出せるんだよ」
「じゃあ、使ってみるか」
「これを破けば使えるよ」

 レイジはゼーレから召喚紙を受け取り、早速破って使う。
 召喚紙を破ると目の前に魔法陣のようなものが展開される。

「うお!?」
「おぉ!」

 レイジは初のため驚くがゼーレは感動の声をあげた。

 魔法陣はゆっくり大きくなったり、小さくなったりを繰り返し、次第に色が変わっていく。
 どれも最終的な大きさは畳3畳程度までになり、2つが黒、1つ赤色になっていた。

「なあゼーレ、この色と大きさってどうなんだ?」

 レイジはゼーレに聞くが、返事は返ってこなかった。

「ん?おい、ゼー⋯⋯レ?」

 ゼーレの顔を覗くと笑顔ではいるが額からの汗が滝のように流れていた。

「お、おいゼーレ!大丈夫か!?」
「や、ヤバイ⋯⋯。一発目で来ちゃったよー⋯⋯」
「お、おい、何が来たんだ!?」
「へ⋯⋯」

 ゼーレの言葉が続く前にそれぞれの魔法陣から姿が現れた。

 黒からは全身黒タイツの等身大人形。身長は170cmほどで顔の輪郭はわかるが、目も口も鼻も...それどころか爪や何かしらの特徴は全て黒で塗りたくられた存在が出て来た。

 もう一つの黒からは骨と皮だけになっている緑肌の手足。
 頭部には白い髪が長く生えているが、生えていない部分もある。
 目は飛び出そうなくらいにギョロギョロとし、吸血鬼のように長い二本の犬歯。
 そして、お腹には何かが入っているのではないかと思えてしまうくらいに膨らんでいる。

 そして、赤色からはところどころに赤い斑点のあるローブ姿の何かが出て来た。
 ローブは宙を浮き、風に揺られている。そしてチラリと見えるローブの下には髑髏。
 よく見れば手は骨であり、両手にそれぞれ一本のククリナイフ持っている。
 ククリナイフにも赤い斑点があるが、ローブより汚く、黒く変色している部分もある。

「お、おい⋯⋯何だよこれ⋯?」

 レイジは小さな声でそうつぶやくことしなできなかった。

 そして、ゼーレの口からは先程の言葉の先が紡がれた。

「⋯⋯へ、変異種」
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