ダンジョンマスターは魔王ではありません!?

静電気妖怪

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1章〜異世界の地に立つ者達〜

9話 「信ずる者に希望を、裏切る者に絶望を1」

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 ー八雲 響ー

 八雲 響が目覚めたのは草原の中だった。
 天井には青い空、輝く太陽が照りつけていた。

「ここは...?」

 周囲を確認しようと立ち上がる響。
 先に見えるのは草原だが、端は不自然に消えている。まるで、ドームの中に草原があるかのように。

「ん?」

 自身が両手に何かを持っていることに今更に気づく。
 響の右手には1冊の本、左手には動物の牙を象ったような水晶体。
 そしてーー

「なんだこれは!?」

 次便の腕が、足が、顔が毛深くなっているーーと言うより毛皮のようになっていることに気づく。

「な、何で⋯⋯?俺いつの間にこんな毛が伸びたんだ?!いや、そもそもココ何処だ?!」

 驚くことが多く一気にパニックになる響。
 そして、その響に這い寄る1つの影があった。

「騒がしいぞ我が主よ」

 響に話しかけたのは4本の足で体を支え、猛禽類の瞳を持ち、口には肉食らしく綺麗なほど恐ろしい牙が並び、首元にはフサフサの金色の毛を生やした一匹のライオンが話しかけてきた。

「⋯⋯え?」
「どうしたのだ?」

 間抜けな声を出す響にライオンは低くも優しい声色で気にかける。

「し⋯⋯」
「し?」
「シャベッタアアァァ!!」

 こうして響はさらにパニック状態に陥った。

 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️

 パニック状態になった響をライオンはどうにか落ち着かせ、現状の再確認し容姿、ダンジョン、魔物のことをある程度説明し切った。

「⋯⋯というわけだ」
「お、おう。なんか悪かった」
「気にするでない、怖がれるのは慣れている」

 ライオンは表情を一切変えることなく返答する。
 しかし、それがより一層に彼ーーと言っていいのかーーを傷つけてしまっているような気がしてならなかった。

「なんか、ホント悪かった」

 さらに謝罪を重ねるしかできなかった。もう少し、上手い言い方があったのだろうが与えられた情報に気圧され思いつかなかった。

「気にするな。そう言えば、我は名のっていなかったな。我の名は『レオ』だ。よろしく頼むぞ我が主よ」
「おう、俺は八雲 響だ。コッチこそ宜しくな」

 ライオンは右前足を、響は右手を出し握手を交わした。

「それじゃあ、コイツを使えば魔物が出てくるんだな」

 そう言って響は先程レオから説明を受けながらもらった召喚紙3枚を取り出した。

「うむ。何が現れるか我も分からぬが、な」
「うっし、じゃあ気合い入れますか!」
「気合いどうこうの問題ではないのだがな」

 レオの呟きを耳に入れず響は3枚の召喚紙を破った。

「うお!?」

 突然現れた輝く魔法陣に響は驚きの声を上げる。

 魔法陣は拡大縮小を繰り返し、次第に大きさが安定し始まる。

 大きさは大、中、小と並び、全て橙色になった。

 そして、魔法陣が消えるとそこには、

 真っ白の毛に絶妙なコントラストを描く黒の斑点を持つヒョウ

 全身真っ白でフカフカな毛を持ち、真っ赤でつぶらな瞳をした丸い兎

 5mは超えるだろう氷山を背負った大きな亀

 その3匹が現れていた。

 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️

 ー涼宮 零ー

 涼宮 零が目覚めたのは1つの空間の中だった。
 天井、見渡す周りは全て鉄色一色の無機質な部屋だった。

 零は起き上がり、自身の変化に気づいた。

「⋯⋯?」

 自分の指の1つ1つが機械のパーツでできていることに。
 自分の肘さ膝の関節が1つの球体で円滑に行われていることに。
 自分の瞳を動かせば小音の機械音が聞こえ、今まで見えなかってであろう遠くに場所が一層よく見えることに。

 そして、自分の尾てい部からコードの様なものが伸びていることに。

 だが、零の興味は自分自身の変化にはなかった。
 興味を与えたのは自分が持つ一冊の本と立方体の水晶体だった。

「これは?」

 零はゆっくりと本を開き中身を一読した。

 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️

 1時間ほどかけ零は本を読み終えた。
 静かな部屋には本を閉じた音を木霊した。

 零は立ち上がると周囲を探しある物を見つけた。

 それは、1体のメイド服を着た機械人形だった。
 機械人形は黒い髪を肩まで伸ばしている。
 手や足、関節や尾てい部にあるコードは零と同じ作りがされている。

 零は機械人形の近くにある赤色のボタンを押した。

 すると、ボタンは赤色から緑色に変化し、機械人形の指先がピクリと動き出す。
 そして次に、機械人形は大きな黒い瞳を開け零を捉え言葉を発した。

「おはようございます、マスター。お手を煩わせ申し訳ありません」
「貴方が私のアドバイザー?」

 零は驚くことも悩むこともなく確認する。

「はい。私は機体番号不明、特殊機体番号0の『ノエ』と申します」
「何故、機体番号が不明で特殊番号が存在するの?」
「私は永遠を生きることができません。故に、定期的な更新、修繕、改良が施されます。そして、その度に機体番号が更新されます。ですが、機体番号が使われなくなったために、現在不明となっております。特殊番号については存じません」

 零の疑問に対し、ノエは淡々と説明する。

 説明に対し納得、理解した零は追求をやめた。

「マスター、これを」

 ノエは召喚紙を取り出し、零に渡した。

「これが召喚紙?」
「はい。使い方は破っていただければ使えます」
「わかった」

 零は貰った召喚紙を破った。
 破られた召喚紙は魔法陣を作り拡大縮小を繰り返す。

 零は表情を変えることなくその現象を見つめている。

 やがて、魔法陣は大きさを安定させ大、中、小と並び白の色を輝かせた。

 そして、魔法陣からは魔物が召喚された。

 大きな土色からは3mほどの大型のロボット。
 操縦席はなく、自律型のようだ。
 背中には何本か太い鉄パイプを背負い蒸気が出ている。
 腕の太さが人一人分ほどあり、全身が鎧の様な風体だ。

 中型の魔法陣からはノエや零同様の人型の機械がでてきた。
 瞳や背中まで伸びた髪は空色に輝き、服装は動きやすいことを重視したスクール水着の様なものを着ている。
 彼女の周りには小型の機会が浮遊し、背中にも6つの銃の様なものが浮遊している。

 小型の魔法陣からは球体が現れた。
 球体には線が所々に引かれ、輝いている。
 時折、地面を確かめる様に前へ後ろへ転がっている。

 その3機が零と対面した。
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