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外伝
外伝1
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涼やかな音を響かせた様な小鳥達のさえずりによって、麗しき森の妖精は静かに目を覚ました。防具屋「森と大地の恵み」の店主ルリエンは、お店の一角に設けた寝室で窓をつつく小鳥の催促に急かされるようにして寝台から身を起こす。
そして、用意しておいた小鳥の餌を入れた小袋を取り、鳥達を刺激しないように窓をゆっくり開け放つと餌をふり撒いた。
迷宮都市アドリウムの商業区画の大通りから外れた1画、多くの店が軒を連ねる通称冒険者通りにこの店も居を構えているが、実は店には寝室だけでなく作業室やキッチン、それに裏庭も備え付けられていたのである。もっとも住んでいるのがルリエン唯一人なので、大分こじんまりとしたものであったが……。
ただし裏庭だけはある程度のスペースが確保されており、珍しい草花や木々が植えられ鳥達がその身を休める場所もきちんと用意されている。
自然のまま、あるがままを由とするエルフの教義としたら餌を与えるという行為は好ましいものではないだろう。
しかしそれは、あくまでも森の中で生きる動物達にとってである。人間の住む都市内では自然の恵みは乏しい。人の傍で生活するなら、自ずと人間の生み出す食料を糧とするしか生き残る道がないのだ。特にこの迷宮都市(アドリウム)のように田畑が少なく、食料を近隣に頼っている所ならば尚更である。
また、こんな都会の中に住んでいても緑や動物達との語らいを求めるのは、自分の我儘だと美しき森の妖精は重々承知していた。エルフとしての性なのか、はたまたルリエンとしてのアイデンティティーを保つためなのかは定かではないが、自然と共に生きるのが好ましく、金属だけの無機的な場所に長時間いると精神的疲労を感じてしまうのだ。
だから、自分のエゴによってこんな場所に移ってもらった植物達には誠心誠意気を配るし、ここに訪れてくれたもの達に対して精一杯もてなすのが彼女なりの誠意なのであった。
小鳥達がお腹を満たすのを目を窄めて眺めた後、満足そうに別れを告げ空に旅立っていったのを見送ると自分の朝食である。
手早く身支度を整えると、キッチンで魔法の小袋から食材を取り出し調理していく。この魔法の道具は便利なもので、道具内での食材の劣化は非常に遅まるのだ。例えば3日もせずに駄目となる果実であったとしても、優に1か月はもつようになるといった具合だ。
魔法の小袋自体の値段は中に収納できる重量に比例するが、最も安い物であっても一般人では中々手が出せないくらい高価である。まあといっても、1つ星や2つ星の冒険者でもお金を貯めれば買えるくらいである。曲がりなりにもこの都市に店を構えているルリエンにとっては、そこまで大した負担ではない。
一度に大量購入しても無駄にする事はほとんどないので、本当に優れた発明である。これを作り出した過去の偉人には感謝してもし足りないぐらいだ。
そんな事を考えながらも手を動かし続けると朝食の準備はすぐに整い、キッチンにある小さなテーブルに運べば食事である。
彼女が小食という事もあって、焼いたパン2枚に色とりどりの野菜を盛り付けたサラダにハーブティーだけという簡素なものだ。
ただし、使用している食材は自家製だけでなく迷宮の高級食材も使用しているので、量に反してコストは非常に高い。もし店で出すとならば、採算も考えて銀貨2、3枚は取らなければならないだろう。しかも一般の冒険者が満足する程の量で提供するとなると倍の値段はくだるまい。駆け出しの冒険者や市民の朝食代が銅貨数枚程度だといえば、分かり易いだろう。ルリエンの朝食は一見質素に見えるが、下位冒険者ではおいそれと注文する事も叶わぬ高価なものなのだ。
席に着くと、まずはハーブティーを口を付ける。すると微かな草木の香りが広がり、僅かな酸味とすっきりとした爽やかな味が脳を刺激して活性化させ、寝起きの思考をクリアにしてくれる。今回は自家製のハーブを使用しているが、乾燥させたものではなくフレッシュなままのものを使ったので自然の香りが豊かで、匂いを嗅ぐだけで森の中にいる様な気分になれる、ルリエンのお気に入りのハーブである。
続いてパンだ。焼いたパンの片方は、ポピュラーにバターを塗って食べる。
よくエルフは森の恵みだけを糧にして生きているなんて勘違いする人もいるが、普通に肉も食べるしお菓子やお酒だって飲むのだ。その外見から森の妖精などと形容される事も多々あるが、妖精や精霊などといった括りではなくエルフも歴とした人の仲間なのだ。ドワーフや草原の民、あるいは赤虎族や翠熊族や大猩々等に代表される獣人族などといった亜人に分類されているのである。
エルフの特徴としては、まずは全般的にすらりと長い手足にはっきりとした堀の深い目鼻立ち等といった、人間の審美眼からいって美形とされる者が多い種族である。それと人とは比べ物にならないほど長い寿命を有している。
人の寿命はおおよそ100年程度であるが、エルフは1000年以上生きるのが当たり前だ。ハイエルフといった半ば妖精の様な存在にまでになると万年以上の長き生を持つまでにいたる。
ただその長き生に反して、いやその長過ぎる生のせいか過去を重視し変化をあまり好まず不変的な生き方に陥りやすい。その最たるものが、たとえ何千年経とうと森の中でずっと同じ暮らしをしている事が挙げられるだろう。
これが人間だったらどうだろう。大多数のエルフが何も変わらず森と共に生きるのに対し、人はその短い一生を駆け抜けるようにして急激な変革や発明を行う者もいる。そしてそれが人々に普及すれば、生活が一変するのだ。
数百年前では考えられない様な豊かな生活や文化が生み出される事もあるのだ。まあ、中には悪しき因習となる様な負の方向への進化が起きる場合もあるのだが……。
とにかく人は新しいものを生み出す生き物なのだ。それに魅せられ森を離れるエルフも少ないながら存在する。そう、自分の様にだ。人に興味を持ち里を飛び出しこの都市に住んで、もう100年以上も経つ。今でもそうだが、あの頃はまだ幼くさらに無鉄砲だったおかげで慣れ親しんだ森を離れられたのだ。もしもう少しでも森の生活を続けていれば、冒険心も薄まり外に出ずに他のエルフ同様一生を森と共に過ごしたかもしれない。
この都市に来て安定した生活を送れるようになるまで随分苦労し辛酸を舐めた事もあったが、それでも自分の選択に後悔はない。
森ではなく人と、多くの亜人達と共に生きる。お互いの主義主張や考えが違うせいか諍いが絶えず、この迷宮都市(アドリウム)の様相と同じくどこか混沌とした有様をこの場所ならどこでも見る事ができる。
だが、この場所でしか生み出せないものがある。そして、ここでしか味わえない感動と興奮がある。穏やかな森の暮らしでは、何千年経過したとしても一度として体験できない喜びがあるのだ。
その思いは人の一生以上の時間をこの都市で過ごしていても変わらない、時間の経過によって姿を変えていく都市を見るうちにより一層強い確信となっていた。ここは神々の迷宮が在る都市であり、冒険者達や一攫千金を狙う人々が集まる都市である。
だが多くの人々が、思想や理念、文化さえ異なる人々が語らい交わる事によって、化学変化のように新たなものや考えが生まれ出でる、そんな一面も確かに存在するのである。それがこの街、アドリウムなのだ。
変わっていく街や人と同じように、自分も変わる努力をしよう。
迷宮都市(アドリウム)に居を構え、人々と交わりながら生きるエルフは朝食を食みつつ胸に希望の光を灯すのだった。
朝食を終えるとルリエンは隣の作業室に移動し、昨日からやり掛けの仕事を片付ける事にした。
平らな机の上に置かれているのは、両袖が肩付近から力付くで強引に引き裂かれ、その他にも魔物の爪や牙、火炎の息によって見るも無残な姿に変わり果てた、元は美しい翡翠色の武道着であった。一体どれほどの激闘や死闘を潜り抜ければこの様になるのかという、それはそれはひどい有様である。正直な所、新しく作り直した方が修復するよりも早いだろう。
だが、これを持ってきた少年はどうしても直して欲しいと切実に訴えてきたのである。念願の1つ星の冒険者に昇格してから苦楽を共に歩んできた相棒の様なだからと。新しい防具を手に入れ使わなくなったとしても、ずっと持っていたいのだと。
この猛虎の武道着はルリエンの手製のものであり、これを渡した少年はまだあどけなさの残る少年であった。当時はその見た目と同じくまだ駆け出しといって差し支えない新人の冒険者だった。
だがその外見に反し強くなる事に異常なほど貪欲で、修行好きを通り越し鍛錬と闘いに狂っていると評するのが適当なほど日々努力を重ねていた。魔神という災厄に遭遇してもなお再起を果たし、上を目指してただ直向きに己を鍛え続けている。その結果、半年未満とい僅かな間に2つ星、3つ星、4つ星と迷宮を踏破して冒険者の位を駆け昇り続け、ついには餓竜という真なる竜でさえ討ち果たすまでに成長してみせたのだ。しかも、ただの竜ではない。ヴォリクスという名持ちの真竜である。その強さは下手したら70階層の守護者にも匹敵するかもしれない。それを独力で討伐したのだ、近年稀にみる急成長であろう。
まさに人の無限の可能性を体現したかのような少年である。もしかしたら歴史に名を残す偉大な英雄にまで至れるのではないかという期待さえ湧いてくる。
その少年は店を訪れた時、真竜を倒した褒美の神からの贈り物から手に入れた美しい真紅の道着を着ていた。真っ赤に燃える炎をそのものを表したかのような素材は、今の所人の手では作り出せない。自然の、神の創り出したもうた生きた芸術、赤竜のひげである。
赤竜、真なる竜の下位にカテゴライズされる魔物で、50階層の守護者を務める、本来なら冒険者が最初に出会うであろう竜である。この竜を乗り越える事ができるかで、上位の冒険者になれるかどうかが決まる、そんな上位冒険者への登竜門となっている魔物なのである。
この竜のひげは希少な落とし物で、赤竜を見事倒しても中々手に入れる事はできない貴重なものだ。加えて、1回に手に入る量は少なくこれのみを使って服を作るとなると、何十回と希少な落とし物を手に入れる必要がある。
それに手に入れてからも大変だ。非常に強固で用意に変形をしない竜のひげを慎重に解き解し繊維状にした後、布地にしなければならないのだ。
その後はさらに大変だ。弾力性を持ちながらも異常なほどに固い、そんな相反した様な要素を両立させる神秘の布を裁断し縫合しなければならない。そして着る人の動きを阻害せず、かつ防具としての機能も最大限発揮する、そんな最適なサイズに仕立てあげなければならないのだ。1着作製するのに最低2月は掛かるであろう、造る側に多大な根気を要求する品である。
少年が無造作に着こなしていた赤竜の道着は、まるで彼専用に設えたといわんばかりの、仕立屋の目線から見ても実に素晴らしい出来であった。神からの褒美の品であろうが一瞬でそんな物を下賜されては、何か月も掛けてようやく1着作る事ができる職人泣かせ極まりない。
だがルリエンは、それを不条理とは捉えない。見本となり超えるべき物があるのだ。たとえいつになろうともそれを超える物を作り出して見せる。
優しく儚げな外見からは想像も付かないほどの気概を、彼女は持っていたのである。それに神造の品だけではなく、まだまだ自分が越えていかなければならないものが多々ある。
差し当たりは同業者の物であったり、師匠の作である。
黄金のごとき金糸の長髪を後ろに真っ直ぐに下ろした乙女、ルリエンは猛虎の武道着の破れた部分に合うように大きな布、 翡翠虎の毛で作った生地に何の躊躇もなく鋏を入れた。
するとただの布地を裁断すると同じ様に、硬い翡翠虎の毛で作られた布が一瞬で寸断されていく。
秘密は2つある。まずはこの麗しき森の妖精の使っている道具である。
これは83階層に極偶に出没するレアモンスター、 鋭刃蟷螂の刃から最も硬く鋭利な所を切り出して造られた特注の鋏である。この魔物は斬る事に特化した様な存在で、80階、下手したら90階層の魔物から得られた素材であったも裁断する事が可能なのだ。
それに加えて、刃にルリエンの淡い緑色の魔力が纏わりついている事も拍車を掛けていた。
鋭利な刃物に更に魔力による強化も合わさり、翡翠虎の毛がただの羊毛と変わらぬかのように簡単に切る事を可能になったのである。
これは元々は、冒険者が武器の斬れ味を増すために編み出した技であった。
それを300年ほど前にシッダルトという稀代の冒険者兼仕立屋が、裁縫にも生かせないかと転用し発展させていったのである。それ以降はシッダルト流という流派を立ち上げ、後進の育成と流派の発展に寄与し、現在も隆盛を誇る1派として名を残しているのである。ルリエンの師もこの流派に属しており、師の元での長い修行の末に独立し自分の店を持ったというわけだ。
地獄蜂の加工した針に翡翠虎の毛糸を通し魔力で覆うと、破れた個所に先程裁断した当て布をあて、惚れ惚れする様な腕で針を通していく。正確さもさることながら素晴らしいスピードで縫い終わり、あっという間に破れた場所など元からなかったかのような修復が行われたのである。
そういえば、修行時代も服や防具の修復を良くさせられたなと、過去を懐かしむ様にルリエンも微笑んだ。
裁縫の腕を磨くのも大変だったが、その傍らに冒険者業をするのが非常にきつかったと、特に戦いに忌避感のあった新人時代は思い出すのも恥ずかしいくらいであったなと彼女は過去を回顧した。
何故冒険者をしなければならないのかという疑問も湧くかもしれないが、それは彼女の師事している流派に関係している。シッダルト流は普通では切る事も縫う事も困難な魔物の素材を裁断するために、特別な道具に加えて己の魔力で強化を行うのだ。貴重な素材を使った服を作るためには、当然長時間の作業に従事しなければならず、体力や魔力の消耗も尋常ではない。
そんな体力と魔力を身に着けるには仕立て仕事だけでは不可能であり、最も近道なのが冒険者として迷宮に潜る事なのだ。魔物を倒す事で魔素を吸収し、それによって心身が成長するからである。冒険者として活動する事で、長時間の仕事に耐え得る肉体と魔力を身に着けるというわけだ。
ルリエン自身本業の傍ら、100年という長き時間を掛けて8つ星の上位冒険者にまで昇り詰めていた。その実力を得たおかげで、自分で目当ての素材を取りに迷宮に潜り、商品の原価を抑える事で新たな冒険者にできるだけ安価で商品を提供する努力をしていたりもしている。
それに加えて、冒険者としても更に上に昇る事も諦めていなかった。迷宮の深層ではまだ見ぬ極上の素材が待っているのだ。そんな素材を使って自分の店を訪れた只一人のために、最高のものを作り上げたいのだ。
もちろん、鋏や針仕事の腕を上げる事も忘れてはならない。上達したといっても、残念ながらまだまだ師には敵わないのが現状である。お客により一層満足してもらう品を作るためにも努力は怠ってはならないのだ。それにシッダルト流は更なる発展を旨とした流派でもある。自分達の作り出した品が客の心を満足させるだけでなく、その命を助ける事を祈って独自の技や技法を編み出し続けるのである。
仕立屋の仕事に冒険者業と、正直時間はいくらあっても足りないぐらいだ。今はルリエンなりに遥かな高みを目指している最中であり、道半ばといった所なのだ。毎日が充実しているといっても良い。やる事はいくらでもあるのだ。
それと先ほどの少年のように、自分以外でも夢に向かって努力している姿や話を聞くと嬉しい。自分も頑張らねばというやる気が出てくる。
また、ルリエンももうすぐエルフの成人となる年である。
今まで目標に向かって奔走していただけで、恋らしい事の1つもしたことがないというのが、この乙女の実情であった。
もっとも、エルフはその長き生のせいかはわからないが、恋愛や生殖本能が希薄な種族である。たとえ夫婦となったとしても子を生す事もあまりなく、そっと寄り添う様な関係になりがちである。
本当に自分が恋するなんて事態が起き得るのかとさえ思うくらいである。
ただどうせするのならば、燃える様な恋をしてみたい。
里にいた頃や酒場などで良く聞いた御伽話、森の妖精が人に恋し添い遂げた様な、この人だけを愛し一生を殉じる様な恋をしたい。そんな淡い夢を抱いていた。
それに物語の人間は冒険者であり、エルフと同じくらい長き時を生き、各地を漫遊しながら恋人と一緒に生を謳歌し、共に眠るという幸せな最期だったそうだ。
冒険者は成長するにしたがって心身が強化されるだけでなく寿命も伸びていく。有名な2つ名を持つ最上位冒険者は人の身であったとしても、確認されているだけで数百年の時を生きている者も存在する。
遥かに違う寿命を持つ者同士が恋し合っても、悲劇が待っている場合が往々にしてあり得るが、冒険者ならばその垣根を取り払えるのである。
まあ、上位冒険者ぐらいだと数十年の延命程度という話なので、最上位に成れるほんの一握りの存在だけが奇跡を起こせるのであるが……。
それにしても、種族は違えど同じ時間を歩めるという奇跡を起こせるのだ。
実に夢のある話である。
奇跡が起きる可能性は限りなく低いだろうが、夢想するのは自由である。
そんな乙女な一面を見せつつも、ルリエンはまずはお客様に満足して貰えます様にと、自分の仕事に集中し出した。
丹念に、そして丁寧に。一針一針思いを込めて縫っていく。
麗しき森の妖精の朝はそうして過ぎていった……。
そして、用意しておいた小鳥の餌を入れた小袋を取り、鳥達を刺激しないように窓をゆっくり開け放つと餌をふり撒いた。
迷宮都市アドリウムの商業区画の大通りから外れた1画、多くの店が軒を連ねる通称冒険者通りにこの店も居を構えているが、実は店には寝室だけでなく作業室やキッチン、それに裏庭も備え付けられていたのである。もっとも住んでいるのがルリエン唯一人なので、大分こじんまりとしたものであったが……。
ただし裏庭だけはある程度のスペースが確保されており、珍しい草花や木々が植えられ鳥達がその身を休める場所もきちんと用意されている。
自然のまま、あるがままを由とするエルフの教義としたら餌を与えるという行為は好ましいものではないだろう。
しかしそれは、あくまでも森の中で生きる動物達にとってである。人間の住む都市内では自然の恵みは乏しい。人の傍で生活するなら、自ずと人間の生み出す食料を糧とするしか生き残る道がないのだ。特にこの迷宮都市(アドリウム)のように田畑が少なく、食料を近隣に頼っている所ならば尚更である。
また、こんな都会の中に住んでいても緑や動物達との語らいを求めるのは、自分の我儘だと美しき森の妖精は重々承知していた。エルフとしての性なのか、はたまたルリエンとしてのアイデンティティーを保つためなのかは定かではないが、自然と共に生きるのが好ましく、金属だけの無機的な場所に長時間いると精神的疲労を感じてしまうのだ。
だから、自分のエゴによってこんな場所に移ってもらった植物達には誠心誠意気を配るし、ここに訪れてくれたもの達に対して精一杯もてなすのが彼女なりの誠意なのであった。
小鳥達がお腹を満たすのを目を窄めて眺めた後、満足そうに別れを告げ空に旅立っていったのを見送ると自分の朝食である。
手早く身支度を整えると、キッチンで魔法の小袋から食材を取り出し調理していく。この魔法の道具は便利なもので、道具内での食材の劣化は非常に遅まるのだ。例えば3日もせずに駄目となる果実であったとしても、優に1か月はもつようになるといった具合だ。
魔法の小袋自体の値段は中に収納できる重量に比例するが、最も安い物であっても一般人では中々手が出せないくらい高価である。まあといっても、1つ星や2つ星の冒険者でもお金を貯めれば買えるくらいである。曲がりなりにもこの都市に店を構えているルリエンにとっては、そこまで大した負担ではない。
一度に大量購入しても無駄にする事はほとんどないので、本当に優れた発明である。これを作り出した過去の偉人には感謝してもし足りないぐらいだ。
そんな事を考えながらも手を動かし続けると朝食の準備はすぐに整い、キッチンにある小さなテーブルに運べば食事である。
彼女が小食という事もあって、焼いたパン2枚に色とりどりの野菜を盛り付けたサラダにハーブティーだけという簡素なものだ。
ただし、使用している食材は自家製だけでなく迷宮の高級食材も使用しているので、量に反してコストは非常に高い。もし店で出すとならば、採算も考えて銀貨2、3枚は取らなければならないだろう。しかも一般の冒険者が満足する程の量で提供するとなると倍の値段はくだるまい。駆け出しの冒険者や市民の朝食代が銅貨数枚程度だといえば、分かり易いだろう。ルリエンの朝食は一見質素に見えるが、下位冒険者ではおいそれと注文する事も叶わぬ高価なものなのだ。
席に着くと、まずはハーブティーを口を付ける。すると微かな草木の香りが広がり、僅かな酸味とすっきりとした爽やかな味が脳を刺激して活性化させ、寝起きの思考をクリアにしてくれる。今回は自家製のハーブを使用しているが、乾燥させたものではなくフレッシュなままのものを使ったので自然の香りが豊かで、匂いを嗅ぐだけで森の中にいる様な気分になれる、ルリエンのお気に入りのハーブである。
続いてパンだ。焼いたパンの片方は、ポピュラーにバターを塗って食べる。
よくエルフは森の恵みだけを糧にして生きているなんて勘違いする人もいるが、普通に肉も食べるしお菓子やお酒だって飲むのだ。その外見から森の妖精などと形容される事も多々あるが、妖精や精霊などといった括りではなくエルフも歴とした人の仲間なのだ。ドワーフや草原の民、あるいは赤虎族や翠熊族や大猩々等に代表される獣人族などといった亜人に分類されているのである。
エルフの特徴としては、まずは全般的にすらりと長い手足にはっきりとした堀の深い目鼻立ち等といった、人間の審美眼からいって美形とされる者が多い種族である。それと人とは比べ物にならないほど長い寿命を有している。
人の寿命はおおよそ100年程度であるが、エルフは1000年以上生きるのが当たり前だ。ハイエルフといった半ば妖精の様な存在にまでになると万年以上の長き生を持つまでにいたる。
ただその長き生に反して、いやその長過ぎる生のせいか過去を重視し変化をあまり好まず不変的な生き方に陥りやすい。その最たるものが、たとえ何千年経とうと森の中でずっと同じ暮らしをしている事が挙げられるだろう。
これが人間だったらどうだろう。大多数のエルフが何も変わらず森と共に生きるのに対し、人はその短い一生を駆け抜けるようにして急激な変革や発明を行う者もいる。そしてそれが人々に普及すれば、生活が一変するのだ。
数百年前では考えられない様な豊かな生活や文化が生み出される事もあるのだ。まあ、中には悪しき因習となる様な負の方向への進化が起きる場合もあるのだが……。
とにかく人は新しいものを生み出す生き物なのだ。それに魅せられ森を離れるエルフも少ないながら存在する。そう、自分の様にだ。人に興味を持ち里を飛び出しこの都市に住んで、もう100年以上も経つ。今でもそうだが、あの頃はまだ幼くさらに無鉄砲だったおかげで慣れ親しんだ森を離れられたのだ。もしもう少しでも森の生活を続けていれば、冒険心も薄まり外に出ずに他のエルフ同様一生を森と共に過ごしたかもしれない。
この都市に来て安定した生活を送れるようになるまで随分苦労し辛酸を舐めた事もあったが、それでも自分の選択に後悔はない。
森ではなく人と、多くの亜人達と共に生きる。お互いの主義主張や考えが違うせいか諍いが絶えず、この迷宮都市(アドリウム)の様相と同じくどこか混沌とした有様をこの場所ならどこでも見る事ができる。
だが、この場所でしか生み出せないものがある。そして、ここでしか味わえない感動と興奮がある。穏やかな森の暮らしでは、何千年経過したとしても一度として体験できない喜びがあるのだ。
その思いは人の一生以上の時間をこの都市で過ごしていても変わらない、時間の経過によって姿を変えていく都市を見るうちにより一層強い確信となっていた。ここは神々の迷宮が在る都市であり、冒険者達や一攫千金を狙う人々が集まる都市である。
だが多くの人々が、思想や理念、文化さえ異なる人々が語らい交わる事によって、化学変化のように新たなものや考えが生まれ出でる、そんな一面も確かに存在するのである。それがこの街、アドリウムなのだ。
変わっていく街や人と同じように、自分も変わる努力をしよう。
迷宮都市(アドリウム)に居を構え、人々と交わりながら生きるエルフは朝食を食みつつ胸に希望の光を灯すのだった。
朝食を終えるとルリエンは隣の作業室に移動し、昨日からやり掛けの仕事を片付ける事にした。
平らな机の上に置かれているのは、両袖が肩付近から力付くで強引に引き裂かれ、その他にも魔物の爪や牙、火炎の息によって見るも無残な姿に変わり果てた、元は美しい翡翠色の武道着であった。一体どれほどの激闘や死闘を潜り抜ければこの様になるのかという、それはそれはひどい有様である。正直な所、新しく作り直した方が修復するよりも早いだろう。
だが、これを持ってきた少年はどうしても直して欲しいと切実に訴えてきたのである。念願の1つ星の冒険者に昇格してから苦楽を共に歩んできた相棒の様なだからと。新しい防具を手に入れ使わなくなったとしても、ずっと持っていたいのだと。
この猛虎の武道着はルリエンの手製のものであり、これを渡した少年はまだあどけなさの残る少年であった。当時はその見た目と同じくまだ駆け出しといって差し支えない新人の冒険者だった。
だがその外見に反し強くなる事に異常なほど貪欲で、修行好きを通り越し鍛錬と闘いに狂っていると評するのが適当なほど日々努力を重ねていた。魔神という災厄に遭遇してもなお再起を果たし、上を目指してただ直向きに己を鍛え続けている。その結果、半年未満とい僅かな間に2つ星、3つ星、4つ星と迷宮を踏破して冒険者の位を駆け昇り続け、ついには餓竜という真なる竜でさえ討ち果たすまでに成長してみせたのだ。しかも、ただの竜ではない。ヴォリクスという名持ちの真竜である。その強さは下手したら70階層の守護者にも匹敵するかもしれない。それを独力で討伐したのだ、近年稀にみる急成長であろう。
まさに人の無限の可能性を体現したかのような少年である。もしかしたら歴史に名を残す偉大な英雄にまで至れるのではないかという期待さえ湧いてくる。
その少年は店を訪れた時、真竜を倒した褒美の神からの贈り物から手に入れた美しい真紅の道着を着ていた。真っ赤に燃える炎をそのものを表したかのような素材は、今の所人の手では作り出せない。自然の、神の創り出したもうた生きた芸術、赤竜のひげである。
赤竜、真なる竜の下位にカテゴライズされる魔物で、50階層の守護者を務める、本来なら冒険者が最初に出会うであろう竜である。この竜を乗り越える事ができるかで、上位の冒険者になれるかどうかが決まる、そんな上位冒険者への登竜門となっている魔物なのである。
この竜のひげは希少な落とし物で、赤竜を見事倒しても中々手に入れる事はできない貴重なものだ。加えて、1回に手に入る量は少なくこれのみを使って服を作るとなると、何十回と希少な落とし物を手に入れる必要がある。
それに手に入れてからも大変だ。非常に強固で用意に変形をしない竜のひげを慎重に解き解し繊維状にした後、布地にしなければならないのだ。
その後はさらに大変だ。弾力性を持ちながらも異常なほどに固い、そんな相反した様な要素を両立させる神秘の布を裁断し縫合しなければならない。そして着る人の動きを阻害せず、かつ防具としての機能も最大限発揮する、そんな最適なサイズに仕立てあげなければならないのだ。1着作製するのに最低2月は掛かるであろう、造る側に多大な根気を要求する品である。
少年が無造作に着こなしていた赤竜の道着は、まるで彼専用に設えたといわんばかりの、仕立屋の目線から見ても実に素晴らしい出来であった。神からの褒美の品であろうが一瞬でそんな物を下賜されては、何か月も掛けてようやく1着作る事ができる職人泣かせ極まりない。
だがルリエンは、それを不条理とは捉えない。見本となり超えるべき物があるのだ。たとえいつになろうともそれを超える物を作り出して見せる。
優しく儚げな外見からは想像も付かないほどの気概を、彼女は持っていたのである。それに神造の品だけではなく、まだまだ自分が越えていかなければならないものが多々ある。
差し当たりは同業者の物であったり、師匠の作である。
黄金のごとき金糸の長髪を後ろに真っ直ぐに下ろした乙女、ルリエンは猛虎の武道着の破れた部分に合うように大きな布、 翡翠虎の毛で作った生地に何の躊躇もなく鋏を入れた。
するとただの布地を裁断すると同じ様に、硬い翡翠虎の毛で作られた布が一瞬で寸断されていく。
秘密は2つある。まずはこの麗しき森の妖精の使っている道具である。
これは83階層に極偶に出没するレアモンスター、 鋭刃蟷螂の刃から最も硬く鋭利な所を切り出して造られた特注の鋏である。この魔物は斬る事に特化した様な存在で、80階、下手したら90階層の魔物から得られた素材であったも裁断する事が可能なのだ。
それに加えて、刃にルリエンの淡い緑色の魔力が纏わりついている事も拍車を掛けていた。
鋭利な刃物に更に魔力による強化も合わさり、翡翠虎の毛がただの羊毛と変わらぬかのように簡単に切る事を可能になったのである。
これは元々は、冒険者が武器の斬れ味を増すために編み出した技であった。
それを300年ほど前にシッダルトという稀代の冒険者兼仕立屋が、裁縫にも生かせないかと転用し発展させていったのである。それ以降はシッダルト流という流派を立ち上げ、後進の育成と流派の発展に寄与し、現在も隆盛を誇る1派として名を残しているのである。ルリエンの師もこの流派に属しており、師の元での長い修行の末に独立し自分の店を持ったというわけだ。
地獄蜂の加工した針に翡翠虎の毛糸を通し魔力で覆うと、破れた個所に先程裁断した当て布をあて、惚れ惚れする様な腕で針を通していく。正確さもさることながら素晴らしいスピードで縫い終わり、あっという間に破れた場所など元からなかったかのような修復が行われたのである。
そういえば、修行時代も服や防具の修復を良くさせられたなと、過去を懐かしむ様にルリエンも微笑んだ。
裁縫の腕を磨くのも大変だったが、その傍らに冒険者業をするのが非常にきつかったと、特に戦いに忌避感のあった新人時代は思い出すのも恥ずかしいくらいであったなと彼女は過去を回顧した。
何故冒険者をしなければならないのかという疑問も湧くかもしれないが、それは彼女の師事している流派に関係している。シッダルト流は普通では切る事も縫う事も困難な魔物の素材を裁断するために、特別な道具に加えて己の魔力で強化を行うのだ。貴重な素材を使った服を作るためには、当然長時間の作業に従事しなければならず、体力や魔力の消耗も尋常ではない。
そんな体力と魔力を身に着けるには仕立て仕事だけでは不可能であり、最も近道なのが冒険者として迷宮に潜る事なのだ。魔物を倒す事で魔素を吸収し、それによって心身が成長するからである。冒険者として活動する事で、長時間の仕事に耐え得る肉体と魔力を身に着けるというわけだ。
ルリエン自身本業の傍ら、100年という長き時間を掛けて8つ星の上位冒険者にまで昇り詰めていた。その実力を得たおかげで、自分で目当ての素材を取りに迷宮に潜り、商品の原価を抑える事で新たな冒険者にできるだけ安価で商品を提供する努力をしていたりもしている。
それに加えて、冒険者としても更に上に昇る事も諦めていなかった。迷宮の深層ではまだ見ぬ極上の素材が待っているのだ。そんな素材を使って自分の店を訪れた只一人のために、最高のものを作り上げたいのだ。
もちろん、鋏や針仕事の腕を上げる事も忘れてはならない。上達したといっても、残念ながらまだまだ師には敵わないのが現状である。お客により一層満足してもらう品を作るためにも努力は怠ってはならないのだ。それにシッダルト流は更なる発展を旨とした流派でもある。自分達の作り出した品が客の心を満足させるだけでなく、その命を助ける事を祈って独自の技や技法を編み出し続けるのである。
仕立屋の仕事に冒険者業と、正直時間はいくらあっても足りないぐらいだ。今はルリエンなりに遥かな高みを目指している最中であり、道半ばといった所なのだ。毎日が充実しているといっても良い。やる事はいくらでもあるのだ。
それと先ほどの少年のように、自分以外でも夢に向かって努力している姿や話を聞くと嬉しい。自分も頑張らねばというやる気が出てくる。
また、ルリエンももうすぐエルフの成人となる年である。
今まで目標に向かって奔走していただけで、恋らしい事の1つもしたことがないというのが、この乙女の実情であった。
もっとも、エルフはその長き生のせいかはわからないが、恋愛や生殖本能が希薄な種族である。たとえ夫婦となったとしても子を生す事もあまりなく、そっと寄り添う様な関係になりがちである。
本当に自分が恋するなんて事態が起き得るのかとさえ思うくらいである。
ただどうせするのならば、燃える様な恋をしてみたい。
里にいた頃や酒場などで良く聞いた御伽話、森の妖精が人に恋し添い遂げた様な、この人だけを愛し一生を殉じる様な恋をしたい。そんな淡い夢を抱いていた。
それに物語の人間は冒険者であり、エルフと同じくらい長き時を生き、各地を漫遊しながら恋人と一緒に生を謳歌し、共に眠るという幸せな最期だったそうだ。
冒険者は成長するにしたがって心身が強化されるだけでなく寿命も伸びていく。有名な2つ名を持つ最上位冒険者は人の身であったとしても、確認されているだけで数百年の時を生きている者も存在する。
遥かに違う寿命を持つ者同士が恋し合っても、悲劇が待っている場合が往々にしてあり得るが、冒険者ならばその垣根を取り払えるのである。
まあ、上位冒険者ぐらいだと数十年の延命程度という話なので、最上位に成れるほんの一握りの存在だけが奇跡を起こせるのであるが……。
それにしても、種族は違えど同じ時間を歩めるという奇跡を起こせるのだ。
実に夢のある話である。
奇跡が起きる可能性は限りなく低いだろうが、夢想するのは自由である。
そんな乙女な一面を見せつつも、ルリエンはまずはお客様に満足して貰えます様にと、自分の仕事に集中し出した。
丹念に、そして丁寧に。一針一針思いを込めて縫っていく。
麗しき森の妖精の朝はそうして過ぎていった……。
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