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第1章 イマドキの高校生
2話~チュートリアルは大切です~
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「えー、入学おめでとう。俺が1年1組担任の風間だ。よろしく頼む」
気だるげに垂れた黒目、灰色の長髪を簡単に結っただけのその教員は、やる気のない声色でそう言った。
名前は風間遥。
入学式も終え、生徒達は自身のクラスに割り振られた。
そこで担任の自己紹介が簡単ながら行われている。
このクラス、1年1組は坂崎雹太と蘇芳蓮斗を含む35人のクラス。
ひと学年に4クラスのこの学校。
つまり全校は420人程となっている。
遥はスラックスのポケットに手を突っ込み1枚の紙を取り出した。
それをゆっくり、やはりだるそうに読み上げる。
「さて、早速だが…今日この時を持って、お前達は魔法の使用が許可される。だがまだ使ったとしても初心者のお前達は加減も出来ないだろうし不要な事故を起こす可能性が極めて高い。安全のためにも不必要な魔法の使用は避けるように…だそうだ。」
魔法の使用。
それは一定の年齢、そして知識を得るまでは使用が禁止されている。
その年齢とは15歳を示しており、知識とは中学卒業程度の知識ということになる。
高校入学の今日、4月1日を持ってどちらの条件も満たすことが出来る。
また、高校に上がらない者にも今日、国から魔法使用の許可を示す書類が送られる。
「それに伴い、魔法の己の属性を知る必要があるわけだ。今から1人ずつ呼ぶからこの箱に手を入れること。いいな?」
そう言って取り出されたのは透明のガラス張りにも見える箱2つ。
上面に穴があり手が入れられるようになっている。
それが2つ、教壇の上に置いてある。
ひとつは透明度が高く新しいようで、もう一方は白く濁っている。
「なんで1個は綺麗で、もう1個はその、年期が入っているんです?」
生徒の1人がそう尋ねると、遥は目を細める。
そしてまず濁った箱に手を乗せて、手を滑らせた。
「こっちは昔からある左手用の箱だ。代々の生徒たちが手を入れて自らの属性を知った。」
そこまで言い、今度はもう一方の方に手を乗せる。
「それでこっちは右手用。去年の新入生、まあ今の2年だな。その今の2年のとある女子生徒が右手を入れて、箱をぶっ壊しやがった。だから新調して、これ新品。だから綺麗。」
遥は右手用のそれに右手を、左手用のそれに左手を入れた。
すると右の箱がガタガタと動き、左の箱の内側に水滴が付き始めた。
「出席番号23番竹上、属性について説明しろ」
その不思議な現象にクラス中の視線が奪われていると、突然そんなことを言った遥。
自分でなくて良かったと安堵する生徒の中で、名前を呼ばれた彼は立ち上がる。
「…はい。属性とは『火』『水』『風』『雷』の四大属性のことで、人間は生まれながらにそのうちの2つか1つを手にしています。1つを持つ者を純属性と呼び、2つを持つ者を混合属性と呼びますが、混合属性の中にはごく稀に融合属性と呼ばれる者が存在します。」
「ん、いいぞ。ありがとう。混合と融合の違いを…出席番号17番、榊。頼む。」
黒髪の少年、竹上が座り、代わりに金色の髪の榊と呼ばれた生徒が立ち上がる。
「はい。混合とは、2つの属性の強さが違う、つまり『火』よりも『水』が強い、などという属性の持ち方をしている者を指します。そして融合とは『火』と『水』どちらも同じだけの強さを持っている者を指します。」
「ん、そうだ。いいぞ、座れ。この右手用は強い方の属性を、左手用は弱い方の属性を表す。俺の場合は『風』>『水』の混合型だからこんな表れ方なわけだ。」
遥が手を箱から抜くと、箱の揺れも、水滴も消え去った。
榊が座ったのを確認してから遥は全体を見渡す。
「殆どの人間が混合型だ。俺と似たような形で属性が表れる。説明は以上だ。さあ、1番から前に出ろ。」
気だるげに垂れた黒目、灰色の長髪を簡単に結っただけのその教員は、やる気のない声色でそう言った。
名前は風間遥。
入学式も終え、生徒達は自身のクラスに割り振られた。
そこで担任の自己紹介が簡単ながら行われている。
このクラス、1年1組は坂崎雹太と蘇芳蓮斗を含む35人のクラス。
ひと学年に4クラスのこの学校。
つまり全校は420人程となっている。
遥はスラックスのポケットに手を突っ込み1枚の紙を取り出した。
それをゆっくり、やはりだるそうに読み上げる。
「さて、早速だが…今日この時を持って、お前達は魔法の使用が許可される。だがまだ使ったとしても初心者のお前達は加減も出来ないだろうし不要な事故を起こす可能性が極めて高い。安全のためにも不必要な魔法の使用は避けるように…だそうだ。」
魔法の使用。
それは一定の年齢、そして知識を得るまでは使用が禁止されている。
その年齢とは15歳を示しており、知識とは中学卒業程度の知識ということになる。
高校入学の今日、4月1日を持ってどちらの条件も満たすことが出来る。
また、高校に上がらない者にも今日、国から魔法使用の許可を示す書類が送られる。
「それに伴い、魔法の己の属性を知る必要があるわけだ。今から1人ずつ呼ぶからこの箱に手を入れること。いいな?」
そう言って取り出されたのは透明のガラス張りにも見える箱2つ。
上面に穴があり手が入れられるようになっている。
それが2つ、教壇の上に置いてある。
ひとつは透明度が高く新しいようで、もう一方は白く濁っている。
「なんで1個は綺麗で、もう1個はその、年期が入っているんです?」
生徒の1人がそう尋ねると、遥は目を細める。
そしてまず濁った箱に手を乗せて、手を滑らせた。
「こっちは昔からある左手用の箱だ。代々の生徒たちが手を入れて自らの属性を知った。」
そこまで言い、今度はもう一方の方に手を乗せる。
「それでこっちは右手用。去年の新入生、まあ今の2年だな。その今の2年のとある女子生徒が右手を入れて、箱をぶっ壊しやがった。だから新調して、これ新品。だから綺麗。」
遥は右手用のそれに右手を、左手用のそれに左手を入れた。
すると右の箱がガタガタと動き、左の箱の内側に水滴が付き始めた。
「出席番号23番竹上、属性について説明しろ」
その不思議な現象にクラス中の視線が奪われていると、突然そんなことを言った遥。
自分でなくて良かったと安堵する生徒の中で、名前を呼ばれた彼は立ち上がる。
「…はい。属性とは『火』『水』『風』『雷』の四大属性のことで、人間は生まれながらにそのうちの2つか1つを手にしています。1つを持つ者を純属性と呼び、2つを持つ者を混合属性と呼びますが、混合属性の中にはごく稀に融合属性と呼ばれる者が存在します。」
「ん、いいぞ。ありがとう。混合と融合の違いを…出席番号17番、榊。頼む。」
黒髪の少年、竹上が座り、代わりに金色の髪の榊と呼ばれた生徒が立ち上がる。
「はい。混合とは、2つの属性の強さが違う、つまり『火』よりも『水』が強い、などという属性の持ち方をしている者を指します。そして融合とは『火』と『水』どちらも同じだけの強さを持っている者を指します。」
「ん、そうだ。いいぞ、座れ。この右手用は強い方の属性を、左手用は弱い方の属性を表す。俺の場合は『風』>『水』の混合型だからこんな表れ方なわけだ。」
遥が手を箱から抜くと、箱の揺れも、水滴も消え去った。
榊が座ったのを確認してから遥は全体を見渡す。
「殆どの人間が混合型だ。俺と似たような形で属性が表れる。説明は以上だ。さあ、1番から前に出ろ。」
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