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第1章 イマドキの高校生
3話~両手で広がる可能性~
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「でもさー、同じクラスで良かったよね」
「あぁ、全くだ。…しっかし、あれだな。風間先生にもし当てられてたらと思うとおっかねえな。」
「確かに。俺あんな完璧に答えらんない。」
次々と箱に手を入れていく生徒たち。
雹太はそれを頬杖を突いて見つめつつ隣の席に座っている蓮斗に声を掛けた。
蓮斗はこくんと頷いた後、自分の斜め前、雹太の前の席に座る榊の背を見つめる。
そしてその後、少し離れた席の竹上の背へと目をやった。
雹太も蓮斗に吊られるように同じような動きをする。
「…すみません、話が耳に入ってしまったもので。」
すると先程目をやっていた榊がゆるりと2人の方へ振り向いた。
蜂蜜色の髪がさらりと靡き、切れ長な紫の目が2人を見つめる。
そして薄い唇の端がゆっくりと持ち上がり微笑を表した。
「榊聖といいます。よろしくどうぞ。」
「あ、うん!俺は坂崎雹太!よろしくねえ、榊くん!」
「蘇芳蓮斗だ。よろしく。」
へにゃへにゃと顔を緩めて笑う雹太と真っ直ぐ聖を見据える蓮斗。
対照的な2人であるが初見の聖でも2人の仲が良いのは理解できた。
「お2人のような方たちと同じクラスでよかった。同じ中学の友人が1人いもないので心細かったんです。」
聖は2人の顔を交互に見つめた後優しげに緩く目を細める。
全ての行動に品があり、言葉も柔らかく、行動と言動の節々から育ちの良さが見受けられた。
「へえ、どこの中学校出身?」
「聖ディアリー学園の中等部です。…あ、もうすぐ私の番ですね。ではまた。」
絶やすことの無い微笑のまま、聖は立ち上がってひらりと2人に手を振る。
雹太がひらひらと手を振り返す隣、蓮斗がぽかんと口を開けていた。
「どしたの?蓮斗。アホヅラだよ」
「…アホはお前だ。聖ディアリー学園っつったら超エリート金持ちたちの集まる有名校だろ。…でも確か中学から大学まで一貫だったと思ったが…」
聖ディアリー学園とは、蓮斗の言う通り中学、高校、大学と全て一貫の学園。
入学には一定以上の学力と莫大な入学金が必要。
藍鐘屈指の名門校である。
聖ディアリー学園を出たというだけで大手企業には簡単に入社、そして出世が確実とまで言われている。
そこからわざわざ、なんの変哲もない藍鐘高校へ。
蓮斗には考えられない行動である。
「あ、榊君の番だよ」
「ということは次はお前だろ。さっさと行け」
聖の番と聞き、蓮斗は雹太の頭をぺちんと軽く叩いた。
雹太は頭を抑えつつ立ち上がる。
そんな2人が見守る中、聖の手が箱へと入れられた。
途端、両方の箱が白い光を放つ。
光に続きバチバチという弾けるような音。
「……榊聖、雷の純属性、だな。」
風間の言葉を聞き、聖はゆっくりと手を抜いた。
そして薄い笑みを浮かべ今まで放電していた手で長い前髪をさらりと梳いて席へ戻る。
「純属性…って珍しいんだよな…?」
「……そうですね、一応、全人口の1割弱と言われています。」
席に着いた聖に蓮斗は声を掛けた。
その問に対してきちりと返す聖。
聖はやはり微笑していたが、蓮斗にはなんとなく、今までの笑みと違うように見えた。
少し、切なげな、寂しげな。
「坂崎くんの番ですね」
「あ、あぁ」
蓮斗がもう一度見た聖の顔はまた今まで通りの笑みに戻っていた。
気のせいか、と雹太に目を向ける。
雹太は嬉々とした表情でその箱へ手を突っ込んだ。
その箱の両方が、端の方から段々と白く濁っていく。
「なんだ…あれ…?」
『水』でも『火』でも『風』でも『雷』でも無い。
風間でさえ判断に困っていると箱がぺきぺきと音をたて始めた。
「坂崎!手ェ抜け!」
風間の怒鳴り声。
坂崎は驚きびくりと身を揺らしそれを引き抜いた。
しかし時既に遅し。
2つの箱は大きな音をたて、単なる破片と化した。
「あぁ、全くだ。…しっかし、あれだな。風間先生にもし当てられてたらと思うとおっかねえな。」
「確かに。俺あんな完璧に答えらんない。」
次々と箱に手を入れていく生徒たち。
雹太はそれを頬杖を突いて見つめつつ隣の席に座っている蓮斗に声を掛けた。
蓮斗はこくんと頷いた後、自分の斜め前、雹太の前の席に座る榊の背を見つめる。
そしてその後、少し離れた席の竹上の背へと目をやった。
雹太も蓮斗に吊られるように同じような動きをする。
「…すみません、話が耳に入ってしまったもので。」
すると先程目をやっていた榊がゆるりと2人の方へ振り向いた。
蜂蜜色の髪がさらりと靡き、切れ長な紫の目が2人を見つめる。
そして薄い唇の端がゆっくりと持ち上がり微笑を表した。
「榊聖といいます。よろしくどうぞ。」
「あ、うん!俺は坂崎雹太!よろしくねえ、榊くん!」
「蘇芳蓮斗だ。よろしく。」
へにゃへにゃと顔を緩めて笑う雹太と真っ直ぐ聖を見据える蓮斗。
対照的な2人であるが初見の聖でも2人の仲が良いのは理解できた。
「お2人のような方たちと同じクラスでよかった。同じ中学の友人が1人いもないので心細かったんです。」
聖は2人の顔を交互に見つめた後優しげに緩く目を細める。
全ての行動に品があり、言葉も柔らかく、行動と言動の節々から育ちの良さが見受けられた。
「へえ、どこの中学校出身?」
「聖ディアリー学園の中等部です。…あ、もうすぐ私の番ですね。ではまた。」
絶やすことの無い微笑のまま、聖は立ち上がってひらりと2人に手を振る。
雹太がひらひらと手を振り返す隣、蓮斗がぽかんと口を開けていた。
「どしたの?蓮斗。アホヅラだよ」
「…アホはお前だ。聖ディアリー学園っつったら超エリート金持ちたちの集まる有名校だろ。…でも確か中学から大学まで一貫だったと思ったが…」
聖ディアリー学園とは、蓮斗の言う通り中学、高校、大学と全て一貫の学園。
入学には一定以上の学力と莫大な入学金が必要。
藍鐘屈指の名門校である。
聖ディアリー学園を出たというだけで大手企業には簡単に入社、そして出世が確実とまで言われている。
そこからわざわざ、なんの変哲もない藍鐘高校へ。
蓮斗には考えられない行動である。
「あ、榊君の番だよ」
「ということは次はお前だろ。さっさと行け」
聖の番と聞き、蓮斗は雹太の頭をぺちんと軽く叩いた。
雹太は頭を抑えつつ立ち上がる。
そんな2人が見守る中、聖の手が箱へと入れられた。
途端、両方の箱が白い光を放つ。
光に続きバチバチという弾けるような音。
「……榊聖、雷の純属性、だな。」
風間の言葉を聞き、聖はゆっくりと手を抜いた。
そして薄い笑みを浮かべ今まで放電していた手で長い前髪をさらりと梳いて席へ戻る。
「純属性…って珍しいんだよな…?」
「……そうですね、一応、全人口の1割弱と言われています。」
席に着いた聖に蓮斗は声を掛けた。
その問に対してきちりと返す聖。
聖はやはり微笑していたが、蓮斗にはなんとなく、今までの笑みと違うように見えた。
少し、切なげな、寂しげな。
「坂崎くんの番ですね」
「あ、あぁ」
蓮斗がもう一度見た聖の顔はまた今まで通りの笑みに戻っていた。
気のせいか、と雹太に目を向ける。
雹太は嬉々とした表情でその箱へ手を突っ込んだ。
その箱の両方が、端の方から段々と白く濁っていく。
「なんだ…あれ…?」
『水』でも『火』でも『風』でも『雷』でも無い。
風間でさえ判断に困っていると箱がぺきぺきと音をたて始めた。
「坂崎!手ェ抜け!」
風間の怒鳴り声。
坂崎は驚きびくりと身を揺らしそれを引き抜いた。
しかし時既に遅し。
2つの箱は大きな音をたて、単なる破片と化した。
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