10 / 24
第1章 イマドキの高校生
10話~緑の癒し系~
しおりを挟む
雹太が思っていたよりも元気なのを確認し、俺は一人図書室へ向かう。
小学校、中学校込みでほぼ行ったことのない図書室に。
古臭い埃の匂いが微かに鼻腔を擽り俺はひとつ、くしゃみをする。
もう集まっていた数人の視線が俺に集まった。
…そしてすぐに逸らされる。
「君、名前は?」
「……蘇芳、です」
静かな室内が一瞬どよめく。
しかし聞いてきた教員は何も言わず緩い笑みの後、ひとつの椅子を指さした。
「なら1年1組だね。そこにどうぞ」
言われた通りの席へ。
その隣には既に一人座っていた。
確か…入学してすぐに榊と一緒に風間先生から質問されてた…
「…えっと、蘇芳、くん?」
「あ、あぁ…えーと…竹…」
「竹上真一、っていいます。同じ図書委員なんだね。…よろしくね?」
座っていても分かるくらい華奢な体。
白い肌によく栄える黒い艶のある髪はセンター分けにされている。
目は緑色で少し垂れていて優しげな面持ちだ。
まったく、顔だけで不良扱いを受ける俺には羨ましい。
声も少し高めで聞き取りやすい。
「竹上、か。蘇芳蓮斗だ。よろしくな。」
そんな一言に笑顔が返される。
ついこちらの顔も緩んでしまう。
「…全員集まったかしら。じゃあ、始めましょうか」
不意に、先程名前を聞いてきた教員が口を開く。
周りを見ると、気付かないうちに多く人数が集まっていた。
彼女の言う通り全員集まっているらしい。
「私は真木紫。よろしくね、皆。」
名前の通りの紫色の長い髪はふわふわと緩くカールしている。
赤い縁の眼鏡の奥は黒い目…今気づいたが目の下にはくっきりとしたクマがある。
よく見えないが…瞳孔開いてんじゃねえかな、アレ。
「さて…私はまどろっこしいことが嫌いなの。それから時間の無駄遣いも。だからサクッと行くよ?…活動内容は至って簡単。放課後45分間図書室に来て、貸出と返却、本棚の整理。以上。」
物凄くテキパキと、サクッとした説明。
…いや、分かんなくはないけど。伝わりはするけど。
「で、その当番は2人で1組。当番表を配るからきちんと目を通して…不都合があれば当人同士の話し合いで入れ替えるのは良いけれど確実に2人で1組は守ること。はい 、今日のお仕事終わりー!解散!」
「…風間先生といい真木先生といい……」
解散を言い残し颯爽と図書室を去る紫髪の先生の後ろ姿をぽかんと見つめていると竹上が溜め息混じりにそう呟いた。
まったくその通り。
上級生はというと慣れているのかプリントを受け取りさっさと帰っていく。
「…俺達も、帰るか?」
「ん…そうだね…蘇芳君の家はどの辺り?」
「俺は町内の商店街を過ぎたとこ。竹上は?」
「翠星町だよ。駅も商店街の先だから…一緒にいいかな?」
荷物を纏め鞄を肩に担ぎながらお互いの家を確認し合う。
翠星町は此処、藍鐘町の隣町。
電車で20分ってところか。
「あぁ。帰ろう。一緒に。」
想像通り背の低い竹上を見下ろしそう返事をする。
優しげな笑顔が返される。
……なんか雹太といる時よりも安心するんですけど。
(蘇芳くんと一緒に歩くと人が避けてくれるね)
(…そうか?)
(うん!背が高いからかな)
(………十中八九、顔のせいだと思うけどな)
小学校、中学校込みでほぼ行ったことのない図書室に。
古臭い埃の匂いが微かに鼻腔を擽り俺はひとつ、くしゃみをする。
もう集まっていた数人の視線が俺に集まった。
…そしてすぐに逸らされる。
「君、名前は?」
「……蘇芳、です」
静かな室内が一瞬どよめく。
しかし聞いてきた教員は何も言わず緩い笑みの後、ひとつの椅子を指さした。
「なら1年1組だね。そこにどうぞ」
言われた通りの席へ。
その隣には既に一人座っていた。
確か…入学してすぐに榊と一緒に風間先生から質問されてた…
「…えっと、蘇芳、くん?」
「あ、あぁ…えーと…竹…」
「竹上真一、っていいます。同じ図書委員なんだね。…よろしくね?」
座っていても分かるくらい華奢な体。
白い肌によく栄える黒い艶のある髪はセンター分けにされている。
目は緑色で少し垂れていて優しげな面持ちだ。
まったく、顔だけで不良扱いを受ける俺には羨ましい。
声も少し高めで聞き取りやすい。
「竹上、か。蘇芳蓮斗だ。よろしくな。」
そんな一言に笑顔が返される。
ついこちらの顔も緩んでしまう。
「…全員集まったかしら。じゃあ、始めましょうか」
不意に、先程名前を聞いてきた教員が口を開く。
周りを見ると、気付かないうちに多く人数が集まっていた。
彼女の言う通り全員集まっているらしい。
「私は真木紫。よろしくね、皆。」
名前の通りの紫色の長い髪はふわふわと緩くカールしている。
赤い縁の眼鏡の奥は黒い目…今気づいたが目の下にはくっきりとしたクマがある。
よく見えないが…瞳孔開いてんじゃねえかな、アレ。
「さて…私はまどろっこしいことが嫌いなの。それから時間の無駄遣いも。だからサクッと行くよ?…活動内容は至って簡単。放課後45分間図書室に来て、貸出と返却、本棚の整理。以上。」
物凄くテキパキと、サクッとした説明。
…いや、分かんなくはないけど。伝わりはするけど。
「で、その当番は2人で1組。当番表を配るからきちんと目を通して…不都合があれば当人同士の話し合いで入れ替えるのは良いけれど確実に2人で1組は守ること。はい 、今日のお仕事終わりー!解散!」
「…風間先生といい真木先生といい……」
解散を言い残し颯爽と図書室を去る紫髪の先生の後ろ姿をぽかんと見つめていると竹上が溜め息混じりにそう呟いた。
まったくその通り。
上級生はというと慣れているのかプリントを受け取りさっさと帰っていく。
「…俺達も、帰るか?」
「ん…そうだね…蘇芳君の家はどの辺り?」
「俺は町内の商店街を過ぎたとこ。竹上は?」
「翠星町だよ。駅も商店街の先だから…一緒にいいかな?」
荷物を纏め鞄を肩に担ぎながらお互いの家を確認し合う。
翠星町は此処、藍鐘町の隣町。
電車で20分ってところか。
「あぁ。帰ろう。一緒に。」
想像通り背の低い竹上を見下ろしそう返事をする。
優しげな笑顔が返される。
……なんか雹太といる時よりも安心するんですけど。
(蘇芳くんと一緒に歩くと人が避けてくれるね)
(…そうか?)
(うん!背が高いからかな)
(………十中八九、顔のせいだと思うけどな)
0
あなたにおすすめの小説
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる