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第1章 イマドキの高校生
11話~弾ける落雷~
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「んはよ、ざい、ま…」
「遅れてきた上に寝惚けてるなんていい度胸だね坂崎くん」
目を擦りながら現れた後輩ににこにことした表情のまま一息に言葉を発するのは月岡凜音。
時刻は7時45分。
既に約束の時刻を15分過ぎている。
凜音はまあいいか、と気を取り直し校門の横にて通り過ぎる生徒達を横目で追う。
「…そこ、スカート短いぞー。はいお前、ズボン下げすぎー。」
気の抜けた声色ではあるが確実に校則違反者を見つけ指摘する凜音の様子に雹太の思考も段々と覚醒しはじめる。
不意に、凜音が拳を顔の前へ上げた。
その手を開くとそこには青白い光を放つ小さな小鳥のようなもの。
雹太はそれを見つめる。
その小鳥はまんまるな体とは不釣り合いな小さな羽を羽ばたかせて飛び上がった。
そしてこれまた不釣り合いなスピードにて、自転車の生徒へと突進していく。
バチン、という大きな音と共に悲鳴が上がった。
「改造自転車、二人乗り、ノーヘル、改造制服。今日が私の担当だって分かっててやってるの?」
悲鳴を上げて自転車から落ちた生徒2人に向け、凜音が言葉を放つ。
その手には先程の小鳥とは比べられない程に、大きな青白い球体。
2人の顔が強ばり、青ざめていく。
「…さっさとチャリ片付けな。風間先生には報告しておく。」
ひとつの溜め息の後、掌の球体を消し去りそう告げた。
逃げるように走り去る2人の生徒。
雹太はきらきら、といった比喩が似合いそうな視線を彼女に向ける。
「センパイ!さっきのなに?鳥?ねえねえ、俺もできる?」
「えぇ?…さっきのは形成術の応用で使い魔形成術っていう魔法で……ほら、そこ。靴の底高すぎ。」
風紀委員としての活動などお構い無しの雹太に一瞬眉を寄せたがその真っ直ぐすぎる眼差しに眩しさを覚え目を細める。
それでも視界の端に入った校則違反者を取り締まることは忘れない。
形成術、使い魔形成術。
どちらもまだ、雹太の経験していない授業であるが、特に形成術は魔法の中では基礎中の基礎。
きっとすぐに教わることになるだろう。
「因みにさっきのは私の使い魔『バルク』。可愛かったでしょ。」
得意気な様子の凜音に雹太はこくこくと何度も頷いた。
その素直な反応に凜音も気分は良いようで笑みを返す。
「私は『雷>風』の『混合属性』だから、雷で出来た鳥を作ったんだよ。イメージしやすい方が簡単だしね。魔力の集合体をひとりひとり違う形で造る…まさしく形成する、ってわけだ。」
凜音がそこまで言ったところで、チャイムが鳴った。
これ以降の登校者は遅刻ということになる。
「あ…チャイム。これで仕事おしまいですか?」
「……いや、もうひと仕事残ってるんだよね。」
雹太に対し、凜音はそう言うと校門へと歩む。
そして開かれた門の丁度中央あたりへと立ち、手を広げる。
小柄な凜音が手を広げたところで、門は塞ぎきれていない。
横を通り抜けることは容易であろう。
そう雹太が考えつつ眺めていると遠くから爆音が聞こえる。
「…バイク、?」
「来やがったな…雹太くん、離れててね」
そう告げこちらを1度見やった凜音に雹太は反論さえ出来なかった。
凜音の顔には紛れもなく笑顔が浮かんでいたのである。
それはもう、雹太が見た中で1番の笑顔だった。
「遅れてきた上に寝惚けてるなんていい度胸だね坂崎くん」
目を擦りながら現れた後輩ににこにことした表情のまま一息に言葉を発するのは月岡凜音。
時刻は7時45分。
既に約束の時刻を15分過ぎている。
凜音はまあいいか、と気を取り直し校門の横にて通り過ぎる生徒達を横目で追う。
「…そこ、スカート短いぞー。はいお前、ズボン下げすぎー。」
気の抜けた声色ではあるが確実に校則違反者を見つけ指摘する凜音の様子に雹太の思考も段々と覚醒しはじめる。
不意に、凜音が拳を顔の前へ上げた。
その手を開くとそこには青白い光を放つ小さな小鳥のようなもの。
雹太はそれを見つめる。
その小鳥はまんまるな体とは不釣り合いな小さな羽を羽ばたかせて飛び上がった。
そしてこれまた不釣り合いなスピードにて、自転車の生徒へと突進していく。
バチン、という大きな音と共に悲鳴が上がった。
「改造自転車、二人乗り、ノーヘル、改造制服。今日が私の担当だって分かっててやってるの?」
悲鳴を上げて自転車から落ちた生徒2人に向け、凜音が言葉を放つ。
その手には先程の小鳥とは比べられない程に、大きな青白い球体。
2人の顔が強ばり、青ざめていく。
「…さっさとチャリ片付けな。風間先生には報告しておく。」
ひとつの溜め息の後、掌の球体を消し去りそう告げた。
逃げるように走り去る2人の生徒。
雹太はきらきら、といった比喩が似合いそうな視線を彼女に向ける。
「センパイ!さっきのなに?鳥?ねえねえ、俺もできる?」
「えぇ?…さっきのは形成術の応用で使い魔形成術っていう魔法で……ほら、そこ。靴の底高すぎ。」
風紀委員としての活動などお構い無しの雹太に一瞬眉を寄せたがその真っ直ぐすぎる眼差しに眩しさを覚え目を細める。
それでも視界の端に入った校則違反者を取り締まることは忘れない。
形成術、使い魔形成術。
どちらもまだ、雹太の経験していない授業であるが、特に形成術は魔法の中では基礎中の基礎。
きっとすぐに教わることになるだろう。
「因みにさっきのは私の使い魔『バルク』。可愛かったでしょ。」
得意気な様子の凜音に雹太はこくこくと何度も頷いた。
その素直な反応に凜音も気分は良いようで笑みを返す。
「私は『雷>風』の『混合属性』だから、雷で出来た鳥を作ったんだよ。イメージしやすい方が簡単だしね。魔力の集合体をひとりひとり違う形で造る…まさしく形成する、ってわけだ。」
凜音がそこまで言ったところで、チャイムが鳴った。
これ以降の登校者は遅刻ということになる。
「あ…チャイム。これで仕事おしまいですか?」
「……いや、もうひと仕事残ってるんだよね。」
雹太に対し、凜音はそう言うと校門へと歩む。
そして開かれた門の丁度中央あたりへと立ち、手を広げる。
小柄な凜音が手を広げたところで、門は塞ぎきれていない。
横を通り抜けることは容易であろう。
そう雹太が考えつつ眺めていると遠くから爆音が聞こえる。
「…バイク、?」
「来やがったな…雹太くん、離れててね」
そう告げこちらを1度見やった凜音に雹太は反論さえ出来なかった。
凜音の顔には紛れもなく笑顔が浮かんでいたのである。
それはもう、雹太が見た中で1番の笑顔だった。
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