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第1章 イマドキの高校生
12話~人外の悦~
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遠くで聞こえていた爆音はどんどん近付いてくる。
無駄に良い雹太の目で確認するとバイクが5、6台。
スピードを落とすことなくこちらに向かって来ている。
「先輩!危ないって!」
「いいから、風間先生呼んできて。今すぐ。」
雹太はご存知の通り、頭が良い方ではない。
しかし魔法のほぼ使えない自分がいるよりも全力ダッシュで教員を呼んできた方がいい事は理解した。
一瞬、躊躇の表情を浮かべた雹太であったが職員室へと走る。
それを見て凛音は満足げに笑う。
凛音は知っている。
今こちらに走って来ているのがこの学園の不良グループ『藍鐘武嶺刃』と名乗る者達だということを。
そしてその先頭が己を嫌い、敢えて自分の風紀当番である日を狙って改造バイクを全速力で走らせていることを。
凛音は意識を集中させ全身に雷を纏う。
ボブヘアーの藍色の髪は纏った電気によりふわりと不自然に浮いている。
人造人間、人外、バケモノ、アンドロイド。
それらは全て彼女のあだ名。
身長154cmしかない彼女の小柄な体に溜まっている異常なまでの魔力がそんなあだ名、異名を作り上げた。
その魔力を示したのは一年前。
『鏡箱』をひとつ破壊した。
彼女が右手を箱へ入れた途端、眩い閃光を放ちそれは砕け散った。
左手の方の『鏡箱』は無事であったが右の方は修復不可能。
完膚なきまでに破壊した。
「さて…春休みで体訛ってるし…久々に頑張ろうか」
ひとり呟いてもそれは爆音にかき消される。
既にバイクの先頭のオレンジ色の髪が凛音の近くに見える。
凛音は纏わせていた電気を更に強めて広げていく。
青白いオーラに包まれたような彼女。
その雷は彼女の手を伝い鉄製の門に感電する。
今まであった門と門との間は青白い雷の壁となった。
「野郎共!!怯むなァ!行くぞ!!」
先頭の男が怒鳴る。
それに呼応するように強まる爆音。
大きなバイクが飛び上がる。
その、人外の作り上げた青白い壁を超えるべく。
それに続く何台かのバイク。
それらも凛音の頭上を超えようと高く飛んだ。
「22勝無敗。月岡です。」
今回も、彼らは人外を超えることが出来なかった。
雷に焼かれ身を震わせている彼らの先頭、オレンジ髪のリーゼントに凛音はそう言った。
バイクからは煙が出ている。
暫くは乗れないだろうと機械に精通していない凛音でさえそう思った。
彼は悔しげに人外を見上げる。
心地いい。
普段、廊下を我が物顔で堂々と歩いている彼が今、地面に這い蹲っている。
この情景を見るのは22回目であっても、飽きることはない。
凛音は満足そうに笑った。
「あぁもう先生!なんでそんなとろとろしてるんですか!!」
「あー?大丈夫だって言ってんだろ?…ほらな、ド派手にやってやがる。」
水色頭が気だるそうに歩く遥の手を引いて現れる。
いつものこと、そう感じている遥は目前の倒れた学生達と黒い煙を出すバイクに特に反応はない。
しかし初見の雹太はぽかんと口を開けた。
見事なマヌケ面に凛音はくすりと笑みを零した。
そして報告を行う。
「こいつら全員、遅刻です。先生。」
無駄に良い雹太の目で確認するとバイクが5、6台。
スピードを落とすことなくこちらに向かって来ている。
「先輩!危ないって!」
「いいから、風間先生呼んできて。今すぐ。」
雹太はご存知の通り、頭が良い方ではない。
しかし魔法のほぼ使えない自分がいるよりも全力ダッシュで教員を呼んできた方がいい事は理解した。
一瞬、躊躇の表情を浮かべた雹太であったが職員室へと走る。
それを見て凛音は満足げに笑う。
凛音は知っている。
今こちらに走って来ているのがこの学園の不良グループ『藍鐘武嶺刃』と名乗る者達だということを。
そしてその先頭が己を嫌い、敢えて自分の風紀当番である日を狙って改造バイクを全速力で走らせていることを。
凛音は意識を集中させ全身に雷を纏う。
ボブヘアーの藍色の髪は纏った電気によりふわりと不自然に浮いている。
人造人間、人外、バケモノ、アンドロイド。
それらは全て彼女のあだ名。
身長154cmしかない彼女の小柄な体に溜まっている異常なまでの魔力がそんなあだ名、異名を作り上げた。
その魔力を示したのは一年前。
『鏡箱』をひとつ破壊した。
彼女が右手を箱へ入れた途端、眩い閃光を放ちそれは砕け散った。
左手の方の『鏡箱』は無事であったが右の方は修復不可能。
完膚なきまでに破壊した。
「さて…春休みで体訛ってるし…久々に頑張ろうか」
ひとり呟いてもそれは爆音にかき消される。
既にバイクの先頭のオレンジ色の髪が凛音の近くに見える。
凛音は纏わせていた電気を更に強めて広げていく。
青白いオーラに包まれたような彼女。
その雷は彼女の手を伝い鉄製の門に感電する。
今まであった門と門との間は青白い雷の壁となった。
「野郎共!!怯むなァ!行くぞ!!」
先頭の男が怒鳴る。
それに呼応するように強まる爆音。
大きなバイクが飛び上がる。
その、人外の作り上げた青白い壁を超えるべく。
それに続く何台かのバイク。
それらも凛音の頭上を超えようと高く飛んだ。
「22勝無敗。月岡です。」
今回も、彼らは人外を超えることが出来なかった。
雷に焼かれ身を震わせている彼らの先頭、オレンジ髪のリーゼントに凛音はそう言った。
バイクからは煙が出ている。
暫くは乗れないだろうと機械に精通していない凛音でさえそう思った。
彼は悔しげに人外を見上げる。
心地いい。
普段、廊下を我が物顔で堂々と歩いている彼が今、地面に這い蹲っている。
この情景を見るのは22回目であっても、飽きることはない。
凛音は満足そうに笑った。
「あぁもう先生!なんでそんなとろとろしてるんですか!!」
「あー?大丈夫だって言ってんだろ?…ほらな、ド派手にやってやがる。」
水色頭が気だるそうに歩く遥の手を引いて現れる。
いつものこと、そう感じている遥は目前の倒れた学生達と黒い煙を出すバイクに特に反応はない。
しかし初見の雹太はぽかんと口を開けた。
見事なマヌケ面に凛音はくすりと笑みを零した。
そして報告を行う。
「こいつら全員、遅刻です。先生。」
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