時のラティア

風神真優

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弐章

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 翌日、授業の途中休憩でラティアの席にイルとユリカが近寄る。

「ラティア。昨日の事、訊いても大丈夫?」
「まだ言えないなら無理しなくていいけどね」

 昨日の馬の件は二人には話さなかった。思わずあの時の体験を言ってしまいそうだったからだ。

「ごめんね。実はあの馬、おじさんから預かっていたんだ。それを私が判断して言っていいのか分からなくて。でも言って良かったみたい」

「なんだ。……ってかそこまで気にしなくてもいいんじゃないの」
「本当、ラティアは優しすぎというか考えすぎというか…… 」

 二人はそれで納得し、詳しく訊こうとはしなかった。ラティアの言葉は昨夜、改めてあの時の事を考えてみて、こう言うしかないと思っての言動だった。

(元の時間に戻っている時点で、あの体験はしたという事実にならない。私も馬を見るまで本当だったのか分からなくなってたけど…… )

 馬の持ち主は誰か、という時に手綱に刻まれていた名を口にした事でラティアの馬だと判明し、と同時にあの体験は事実だった事も明らかになった。

(でも、何で急にあんな所へ? それに場所が変わるタイミングが掴めない。唯一分かるのは……痛みがあると場所も変わるって事くらい)

 いつまた頭痛がして別の場所へ飛ぶのか見当がつかず、身構えてから一週間が過ぎようとしていた。未だやって来ない痛みにラティアは次第に忘れていき、普段通りの日常に戻っていた。

 そんな何事もなく過ごす日の午後。ラティアは疾病についての講義を聴いていた。

「では、教科書38ページの所をエレナ、読んで下さい」

 先生に指名された、お下げ髪のエレナが読もうとして立ち上がった。が、突如としてエレナは倒れる。

「どうした!? エレナ!」

 駆け寄る先生にざわつく生徒。ラティアは心配になって席から離れた。

「いたっ」

 痛みが走り、ふと気付くとラティアは椅子に座っていた。その違和感と痛みから察する。

(いや、まさかそんな訳…… )

 あの時と状況が似ている。現に倒れた筈のエレナは何事もなかったかのように、座って先生の話を聴いていた。

(場所は変わらずに時間だけが戻った?)

 どこまで時間が戻ったのか、考えていると聞き慣れた言葉が耳に入った。

「では、教科書38ページの所をエレナ、読んで下さい」

(この言葉の後に確か、エレナが倒れて…… )

 そう思うのと同時に気が付けば身体が動いていた。エレナは立ち上がるけど、やはりその場で倒れてしまった。

「エレナ!!」
「ラ、ティア…?」

 途切れ途切れに言うエレナ。
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