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第二章
足 Le/S→I/S
しおりを挟むあれから、二週間が経った。
僕はやっとグレートホールに歩いて行ける様になったのだ。躓いたら強制的に片腕抱っこなので、急がず慎重に歩いて行く。
危なくなったらすかさず父上の腕を掴んで躓かない様にする。これはセーフの部類だから頼って行こう。抱っこも好きだけど僕だって歩きたいんだ!
それは今日だって例外じゃない。例え・・・
「──────っぁ!」
「「「レリィ!」」」
足に力が入らなくなってヘタリとなると父上が僕の事を支え、左に母上の手が添えられ、真っ正面にはどんと来い!みたいに構えているカレアが居た。
自分が嫌になって謝ると、不服そうな顔をする。そうだった、これはありがとうだよね。
「ありがとう・・・」
「えぇレリィ、怪我はない?」
「痛いところはないか?」
「うん、大丈夫・・・」
「良かった!お兄ちゃん!」
カレアがぎゅっと抱き着いて来たので、嬉しくて笑みが零れた。そうすると一層皆は笑顔になった。
そして問答無用で優しく片腕抱っこをされる。
ズキンズキンと足が痛むのと使用人に見られるのが恥ずかしくて、父上の頭に顔を埋める。
だって!今日の朝、ベットから起きた時に左足首をグキっただなんて言えない!しかもめっちゃ痛いなんて!歩いてる時だけ凄い痛いだけだから大丈夫だと思ってたのに!でも歩く練習はしたいじゃん!
うわぁぁぁぁあああああああああ!
僕は心の中で強烈に叫んだ。
あ、今日のご飯凄く美味しい・・・。
―――
と、言っても、ご飯を食べ終えれば歩くわけで。
うん、痛い。左足首が痛い。まぁ右足があるし。問題なく歩けない訳ないですけど、歩けるんですけど、ですけど。
「レリィ?・・・左足、どうしたんだ?」
「・・・!」
すぐにバレる訳で。左足と言われた瞬間身体が固まるが、そっと右足に重心を乗せる。平然を装って、大丈夫。
「・・・何が?」
「レリィ、怒らないから左足に重心を乗せてみろ。」
「「レリィ?」」
「・・・なんで?」
「レリィ?・・・取り敢えず部屋に行こうか・・・」
「わぇ!」
父上にしては乱暴な手つきで僕を抱え部屋に飛び行った。全力疾走の勢いのまま、ボンと音を立ててベットに投げられた。
バレる・・・!
抵抗しようとする手は大きな片手でまとめられ、何処が痛いのか探る様に左足を触られる。駄目なのに・・・。
「父上・・・ぃやだ・・・!」
「膝でもない・・・ならば足首だな?」
「父上、や、やめ──────あゔ!」
足首をクルリと軽く回されると激痛が走る。
我慢出来ずに声が出てしまい口を押さえようとするが、拘束されているためソレは叶わなかった。痛みで自然と上がった足も簡単に押さえられてしまう。
バレた、怒られる。
ヤダヤダヤダヤダ。
「違う・・・違うの・・・!」
「レリィ、何が違うんだ?」
「あらあらぁ、これは・・・近親強姦かしら?」
「イベ、こんな時に何をふざけ、って・・・。レリィ・・・!すまない!大丈夫か?クッ、頭に血が上った、すまない。レリィ、怒らないから言ってくれないか・・・?」
先程とは打って変わって優しくされる。手を拘束していた手は身体を抱き締め、頭を撫でらた。赤く腫れてしまった手首には口付けが贈られた。
すぐ母上とカレアが寄って来て、父上に向かって怒って言った。
「お父様がお兄ちゃん泣かせた~!」
「デネ!貴方、レリィを泣かせるなんて酷いわ・・・!」
僕、泣いてるや。どうしてだろう。
言われるまで気が付かなかった涙を止めようと目をパチパチする。なのに嗚咽が出てしまい止まらない。そのため母上とカレアにもぎゅっとされる。
足には優しく手を当てられ額同士を合わせられる。謝られるけど、別に怒って無いよ。でも涙が出て来るの。
トンと父上の肩に額を当てると眠くなって来た。
僕は家族の心地良い温もりを感じながら眠りに着いた。
「──────あら、レリィ寝ちゃったみたい。カレア・・・」
「うん、どうぞ。」
泣き疲れて寝しまったレリィに布団を掛け、部屋を出た。
私は怒りを隠そうとせず、デネに声を掛けた。
「デネ、覚悟しなさい。」
「今回は完全に私の責任だった。本当にすまない。」
「私、お父様の事嫌いになりそう。」
怒って居るのは、カレアも一緒だった。デネにも、自分にも・・・。気が付けなかった自分に腹が立つ。デネがそうしてしまったのも、私に責任がある。
レリィを、また泣かせてしまった。
不甲斐ない。自分が、嫌になる。
レリィの『好き』と言う言葉に嘘はない。けれど、明日からはあるかも知れない。明後日からは、明明後日からは・・・。嘘が無いなんて確信はない。
確信が出来る様になるためには、私達も真実を言わなければならない。だから明日は、思う存分デネを除け者にしてやるわ。私達だって、怒ったら入れてあげないんだからって。
今私達がレリィと居るのは、好きだからだよって。
明日はレリィをカレアとサンドイッチにして、いっぱい甘やかすんだから。デネは指をくわえて居れば良いのよ!
今日は一緒に寝てあげないんだから!
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