45 / 155
2章 少年期 1部シーバムの大森林編
3話 ベッド
しおりを挟む
マジッククリエイションで家を作る魔法を作成する事を思い付いたタケルは早速材料を集める為に周囲の木を斬り倒した。数十本斬り倒した所で、アイテムボックスに仕舞った。
「よし、まずはセーフゾーンからかな。」
マジッククリエイション開始
魔法名【セーフゾーン】
[効果]
使用者の魔力により異空間に安全な空間を作り上げる。
登録した者であれば何時でも出入り出来る。
任意のオブジェクトを設置可能。
主が居なくても存在し出入り可能、死亡時は消滅、空間に設置した物は放出される。
以降省略
マジッククリエイション 完了
「よし、こんなもんか。【セーフゾーン】発動。」
タケルがセーフゾーンを発動させると、修行の時に使っていた異空間の時と似た扉が出現した。
「よし、成功かな。ちょっと確認してきますね。」
タケルが扉を通り中に入ると、そこは修行用の異空間と違い、それほど広くは無かった、と言っても体育館程の広さが有る、境目はぼんやりとしており、進もうとしてもそこから先へは進めない、何も無く、ぶつかるわけでも無く、戻されるわけでも無く、ただそれ以上進めないのだ。周囲は明るく、タケルがイメージすると女神の小屋から見た風景が広がった。明るさも変えられるようだ。
「よし、良い感じだ、修行じゃないから十分だな、このまま家も作ってしまおう。」
マジッククリエイション 開始
魔法名【メイクハウス】
任意の材料で家をつくれる。
一度作ったものはそのまま残る。
何度でも作り直しが出来る。
マジッククリエイション 完了
「よし、っとその前に。」
タケルはアイテムボックスから斬り倒した木を取り出し並べ立て。
「んん~。どうするかな、材料も多目に用意したし、何度でもつくれるから取り敢えず、やっぱこれかな。【メイクハウス】発動。おお!」
タケルが【メイクハウス】を発動すると、並べて置いてあった木が光って消えて、タケルが指定した場所に、ボウっと家の姿が浮かんだ、そして徐々にはっきりと姿を表し、やがて完全にイメージした家が現れた。そしてスッと音もせずに家が設置去れた。
「これは便利過ぎるな。これだけでもチート全開だよ、ハハハッ。」
タケルはスキルに続きマジッククリエイションのチート具合に思わず笑った。
「さて、サビオさんとアルミスを呼びに行くか。」
タケルは扉を通ってサビオとアルミスを呼びに出た。
「お待たせしました。このままでも入れますが、先に登録しましょう。」
そう言って扉の前に二人を立たせた。
「まずはこの扉に付いている石に手を置いて下さい、いつでも出入り出来るように登録しますので魔力を流して下さい。」
まずはサビオが石に手を添えて魔力を流し込んだ。すると石が光り、そして光りは光球となってサビオの方にゆっくりと向かってきた、サビオが手をかざすと光はひとつの鍵に変わり、サビオの手に収まった。
次にアルミスも石に魔力を注ぎ鍵を手に入れた。
「これで準備完了です。その鍵は魔力で出来ていて、登録した人しか使えません、使わない時は消しておけます、使いたい時に鍵をイメージすれば現れます、次に鍵に魔力を注げば扉が出現しますので、そのまま扉の中に入れます。説明はこんなもんかな。」
「ほっほっほ。こりゃ安全だの。」
「そうですね。それではご案内致します。どうぞ。」
タケルは扉をあけ、軽くお辞儀をして、手で二人を中へと促した。
中に入った二人は思わず声を上げた。
「こ、ここは女神の小屋?」
「ほほ、転移魔法かの?」
「違いますよ、驚きました?」
扉を通り中に入ったサビオとアルミスは驚いた、何故ならそこは先日まで居た女神の小屋の景色が広がっていたからである。二人とも女神の小屋に戻って来たのかと思ってしまうほどであった。そして驚いている二人にタケルが説明し始めた。
「あそこに転移魔法で戻れれば良いんですけど、あそこは結界で覆われてますからね。ここはあそこをイメージして作ったんですよ、因みに・・・」
タケルが新たにイメージすると、そこは湖の畔へと景色が変わった。
「こんな感じでイメージで景色を変える事が出来るんですよ。さ、次は小屋に入って下さい。」
タケルは二人に小屋の中に入って貰った、やはり二人は驚いていた、中の作りは小屋と殆ど一緒である、扉が沢山並んだ廊下は数を減らしてサビオとアルミスの部屋の分だけである。食材箱は無いが、キッチンは同じ作りで再現した。
「ほほ、これは凄いの。内部まで再現されておるんだの」
「そうなんです、お風呂も再現しましたよ。町に着くまではここで寝泊まりすれば良いと思います。あ、布団なんかは暫く寝袋になると思いますが、材料が手に入り次第作るのでそれまでの我慢です。」
「タケル様、何が必要ですか?」
アルミスはベッドで寝られると分かり、どんな材料が有れば良いのかが気になるようだ。
「んん~。鳥の羽と、綿、もしくは魔物が出す糸とか、布団に仕えそうな物をとにかく集めてみるしかないかな。」
「タケル様、では探しに行きましょう!」
アルミスは早く布団を作りたいようでタケルの手を取り森へ戻って行った。
「ほっほっほ。やはり飽きないの。」
サビオは髭を触りながら笑ってゆっくりと二人の後を追った。
「アルミス、探しに来たのは良いけど、闇雲に探しても見付からないよ。」
「タケル様、この付近は様々な魔物が居ります、その中に死肉を食らい森の掃除屋と言われる魔物が居て、そいつの体は硬い表皮に覆われて居るんですが、その表皮の下はフカフカの毛が詰まって居るんです。地竜程では無いですがかなり強いのでその毛は高級品なのです。」
アルミスが素材に適した魔物の特徴をスラスラと述べた、余程ベッドが恋しいようだ。
「そうなんだ、でもどうやって探すの?」
「タケル様、ドラゴンの肉を出してそれで誘き寄せましょう。」
「えっ、ドラゴンの肉で?」
タケルはあんなに旨いドラゴンの肉を魔物を誘き寄せる為の餌にするのを少し躊躇った。
「ほっほっほ。タケル殿、ここら辺なら地竜にすぐ出会えるからの、また狩れば良いんだの。」
遅れてやって来たサビオが髭を触りながら笑ってそう言った。
「そうなんですか、じゃあそうしますか。」
タケルはドラゴンの肉がまた手に入ると聞き、ドラゴンの肉を餌にする事に同意して、アイテムボックスから取り出し地面に置いた。
「これで良いかな?あとは待ち伏せをすれば良いのかな?」
ドラゴンの死体を置いたタケルが二人に訊ねる。
「そうですね、タケル様。幸いここなら木の上で待ち伏せも出来ますし、何処から来ても大丈夫ですからね。」
アルミスの提案で木に上ろうとすると、サビオが口を開いた。
「ほほ、タケル殿このままで何時間も待たなくてはならんかもしれないからの、ちと魔法で匂いを拡散させる必要があるの、ワシはちょっと細工してから上るかの。」
アルミスがジャンプしてトンットンッと数回木の幹を蹴り木の枝の上に立った、タケルは一本の木の枝を見つめると、瞬間移動で移動し、アルミスの正面の木の枝の上に立った。
サビオはドラゴンの死体の近くに行くと、人差し指を上に向けクルクルと回し始めた。するとドラゴンの体から血が集まり、霧散していった。臭いを強くするために風に血を混ぜたようだ。臭いを拡散させ終わったサビオも瞬間移動で枝の上に移動した。
サビオにより臭いの強さを増した風は周囲に拡散し、かなり広範囲にまで広がった。そしてある魔物がその臭いを感じ取り、鼻をクンクンとさせている。その魔物の表皮は固く、まるで岩のようでジッとしていると岩と見間違えてしまう程だ、魔物が臭いを辿り移動し始めると、まるで岩が独りでに動いているようであった。
次第に拡散された臭いに反応する個体が増えていき、次々に移動を始めていた。木の上からドラゴンの死体を見つめる三人にも気配を感じる事が出来る程に近付いてきた。
三人は気配を消して魔物が姿を現すのを待っていると、一匹、また一匹と岩のような魔物がいたる所から集まってきて瞬く間にドラゴンの死体は岩に覆い尽くされてしまった。
「あれがロックウールハウンドか、図鑑に載ってたな、本当に岩みたいだ。」
足元に広がる光景を見てタケルがつぶやいた。
三人は目を、お互いに目を合わせコクリと頷くとまずサビオはウィンドカッターを幾つも出現させ、ロックウールハウンドに向けて放った、タケルはウォーターバレットを放ち、アルミスは斬撃を飛ばした。
サビオのウィンドカッターはロックウールハウンドの首を正確に切り落とし、タケルのウォーターバレットは頭を撃ち抜き、アルミスの斬撃も首を切り落とし、いくつかの個体は頭が半分になっていた。ロックウールハウンドの群れは何が起こったのか理解すること無く、全て狩られて
岩のような硬い表皮に覆われたロックウールハウンド、その硬い表皮のしたの柔らかい毛を手に入れるには、極力身体を傷付けずに狩る必要がある、ダメージを与えれば与えるほど中の毛が硬い表皮に吸収されていってしまうからだ。それをタケル、サビオ、アルミスの三人はいとも簡単に、しかも瞬く間に済ませたのである、しかもその数は67匹、討伐難易度から考えるととんでもない数であった。
「よし、こんなもんかな。全部回収しちゃおう。」
三人は木から降りて生き残りが居ないか確認し、タケルが全てのロックウールハウンドを回収した。
「なかなかの収穫でしたね。」
タケルが言うと、サビオが難しい顔をして口を開いた。
「タケル殿、失念しておったが、あの数のロックウールハウンドを一体づつ解体するのかの?」
「あっそうですよね。どうしますか。」
布団の素材となるロックウールハウンドを大量に狩ったはいいが、解体の事までは三人共考えていなかったようだ。
三人でどうするか考えていると、アルミスがタケルに問いかけて来た。
「あの、タケル様。魔法で解体出来ませんか?」
タケルとサビオはハッとして、顔をして見合わせた。
「アルミス、やっぱり天才だよ。そうだよ、魔法が有るじゃないか!アルミスありがとう、大好きだよ!」
タケルはマジッククリエイションで解体魔法を作れば良いとアルミスの、言葉で気付き、興奮してアルミスに大好きと言ってしまった。
やはりアルミスは顔を赤くしてフリーズ寸前であった。
「あっ。」
タケルは自分がうっかり口走った事に気付き、サビオと目を合わせ苦笑いをして誤魔化した。
「じ、じゃあ早速作るよ。」
マジッククリエイション 開始
魔法名【素材解体】
[効果]
動物、魔物、植物を素材毎に解体する。
素材がアイテムボックス、マジックポーチの中でも解体出来る。
解体の度合いは調整可能。
マジッククリエイション 完了
「ついでにもう1つ作るか。」
マジッククリエイション 開始
魔法名 【メイクアイテム】
[効果]
錬成魔法の一種、素材を元により複雑なアイテムを作成する事が出来る。
[制限]
熟練者の手作業により作成した物より劣る。
マジッククリエイション 完了
「お?何か制限が付いたな。まあそれでも十分だな。」
タケルは狩った獲物の解体する魔法と、素材を加工する魔法を作った。多少制限は付いてしまったものの、それでも十分に活用出来るのでタケルは満足であった。
「じゃあ、一旦セーフゾーンに行きましょう。」
そう言ってタケルは鍵を使い扉を出現させ、中へと入って行き、サビオとアルミスも後に続いた。
「じゃあ、【素材解体】実行指定ロックウールハウンド。ウール取り出しっと。おお、凄い早さで素材に別れて行く。」
タケルはステータスのインベントリに表示されている素材の数字が次々に切り替わり、数字が増えていくのを確認して少し興奮していた。
「ほっほっほ。タケル殿、順調なようだの。」
タケルの様子を見てサビオが髭を触りながら笑っていた。
「よし、全部解体終わりました。」
「ほほ。もう終わったのかの、凄いもんだの。」
「そうですね~。本当に便利な魔法だと思います。では一旦ウールだけ出しますね。」
そう言ってタケルはリビングにウール一体分だけ取り出した。全部を出すと部屋から溢れてしまう恐れがあったからだ、1体分の量を確認すると、タケルは全部で10体分のウールを並べた、非常に細い毛でフカフカしている、触ると暖かかった。
「よし、これでっと、【メイクアイテム】発動してっと。んんん~。」
タケルは【メイクアイテム】を発動してウールを加工し始めた。といっても手をかざすだけで殆ど何もしていないが、素材であるウールは淡く光り、ウネウネと動き徐々に布団を形作っていく、厚めの敷き布団を作りマットのようにした、次に掛け布団と毛布を作って3人分のセットが完成した。
「よし!出来た!布まで作れちゃうなんて我ながらズルい魔法だと思いましたよ。」
「ほっほっほ。確かにそうだの。しかし便利だから構わんの。ほっほっほ。」
サビオは布団をアイテムボックスに仕舞いながら笑っていた。
「タケル様、ありがとうございます、大事に使います。」
アルミスは余程嬉しかったのか、布団を抱え頬擦りしている。そしてそのまま部屋へと入って行った。
タケルも自分の分を一旦アイテムボックスに仕舞い、自室に戻りベッドの上で出し布団に潜り込んだ、寝心地は非常に良くタケルはすぐに寝息を立てて眠りに付いた。
「よし、まずはセーフゾーンからかな。」
マジッククリエイション開始
魔法名【セーフゾーン】
[効果]
使用者の魔力により異空間に安全な空間を作り上げる。
登録した者であれば何時でも出入り出来る。
任意のオブジェクトを設置可能。
主が居なくても存在し出入り可能、死亡時は消滅、空間に設置した物は放出される。
以降省略
マジッククリエイション 完了
「よし、こんなもんか。【セーフゾーン】発動。」
タケルがセーフゾーンを発動させると、修行の時に使っていた異空間の時と似た扉が出現した。
「よし、成功かな。ちょっと確認してきますね。」
タケルが扉を通り中に入ると、そこは修行用の異空間と違い、それほど広くは無かった、と言っても体育館程の広さが有る、境目はぼんやりとしており、進もうとしてもそこから先へは進めない、何も無く、ぶつかるわけでも無く、戻されるわけでも無く、ただそれ以上進めないのだ。周囲は明るく、タケルがイメージすると女神の小屋から見た風景が広がった。明るさも変えられるようだ。
「よし、良い感じだ、修行じゃないから十分だな、このまま家も作ってしまおう。」
マジッククリエイション 開始
魔法名【メイクハウス】
任意の材料で家をつくれる。
一度作ったものはそのまま残る。
何度でも作り直しが出来る。
マジッククリエイション 完了
「よし、っとその前に。」
タケルはアイテムボックスから斬り倒した木を取り出し並べ立て。
「んん~。どうするかな、材料も多目に用意したし、何度でもつくれるから取り敢えず、やっぱこれかな。【メイクハウス】発動。おお!」
タケルが【メイクハウス】を発動すると、並べて置いてあった木が光って消えて、タケルが指定した場所に、ボウっと家の姿が浮かんだ、そして徐々にはっきりと姿を表し、やがて完全にイメージした家が現れた。そしてスッと音もせずに家が設置去れた。
「これは便利過ぎるな。これだけでもチート全開だよ、ハハハッ。」
タケルはスキルに続きマジッククリエイションのチート具合に思わず笑った。
「さて、サビオさんとアルミスを呼びに行くか。」
タケルは扉を通ってサビオとアルミスを呼びに出た。
「お待たせしました。このままでも入れますが、先に登録しましょう。」
そう言って扉の前に二人を立たせた。
「まずはこの扉に付いている石に手を置いて下さい、いつでも出入り出来るように登録しますので魔力を流して下さい。」
まずはサビオが石に手を添えて魔力を流し込んだ。すると石が光り、そして光りは光球となってサビオの方にゆっくりと向かってきた、サビオが手をかざすと光はひとつの鍵に変わり、サビオの手に収まった。
次にアルミスも石に魔力を注ぎ鍵を手に入れた。
「これで準備完了です。その鍵は魔力で出来ていて、登録した人しか使えません、使わない時は消しておけます、使いたい時に鍵をイメージすれば現れます、次に鍵に魔力を注げば扉が出現しますので、そのまま扉の中に入れます。説明はこんなもんかな。」
「ほっほっほ。こりゃ安全だの。」
「そうですね。それではご案内致します。どうぞ。」
タケルは扉をあけ、軽くお辞儀をして、手で二人を中へと促した。
中に入った二人は思わず声を上げた。
「こ、ここは女神の小屋?」
「ほほ、転移魔法かの?」
「違いますよ、驚きました?」
扉を通り中に入ったサビオとアルミスは驚いた、何故ならそこは先日まで居た女神の小屋の景色が広がっていたからである。二人とも女神の小屋に戻って来たのかと思ってしまうほどであった。そして驚いている二人にタケルが説明し始めた。
「あそこに転移魔法で戻れれば良いんですけど、あそこは結界で覆われてますからね。ここはあそこをイメージして作ったんですよ、因みに・・・」
タケルが新たにイメージすると、そこは湖の畔へと景色が変わった。
「こんな感じでイメージで景色を変える事が出来るんですよ。さ、次は小屋に入って下さい。」
タケルは二人に小屋の中に入って貰った、やはり二人は驚いていた、中の作りは小屋と殆ど一緒である、扉が沢山並んだ廊下は数を減らしてサビオとアルミスの部屋の分だけである。食材箱は無いが、キッチンは同じ作りで再現した。
「ほほ、これは凄いの。内部まで再現されておるんだの」
「そうなんです、お風呂も再現しましたよ。町に着くまではここで寝泊まりすれば良いと思います。あ、布団なんかは暫く寝袋になると思いますが、材料が手に入り次第作るのでそれまでの我慢です。」
「タケル様、何が必要ですか?」
アルミスはベッドで寝られると分かり、どんな材料が有れば良いのかが気になるようだ。
「んん~。鳥の羽と、綿、もしくは魔物が出す糸とか、布団に仕えそうな物をとにかく集めてみるしかないかな。」
「タケル様、では探しに行きましょう!」
アルミスは早く布団を作りたいようでタケルの手を取り森へ戻って行った。
「ほっほっほ。やはり飽きないの。」
サビオは髭を触りながら笑ってゆっくりと二人の後を追った。
「アルミス、探しに来たのは良いけど、闇雲に探しても見付からないよ。」
「タケル様、この付近は様々な魔物が居ります、その中に死肉を食らい森の掃除屋と言われる魔物が居て、そいつの体は硬い表皮に覆われて居るんですが、その表皮の下はフカフカの毛が詰まって居るんです。地竜程では無いですがかなり強いのでその毛は高級品なのです。」
アルミスが素材に適した魔物の特徴をスラスラと述べた、余程ベッドが恋しいようだ。
「そうなんだ、でもどうやって探すの?」
「タケル様、ドラゴンの肉を出してそれで誘き寄せましょう。」
「えっ、ドラゴンの肉で?」
タケルはあんなに旨いドラゴンの肉を魔物を誘き寄せる為の餌にするのを少し躊躇った。
「ほっほっほ。タケル殿、ここら辺なら地竜にすぐ出会えるからの、また狩れば良いんだの。」
遅れてやって来たサビオが髭を触りながら笑ってそう言った。
「そうなんですか、じゃあそうしますか。」
タケルはドラゴンの肉がまた手に入ると聞き、ドラゴンの肉を餌にする事に同意して、アイテムボックスから取り出し地面に置いた。
「これで良いかな?あとは待ち伏せをすれば良いのかな?」
ドラゴンの死体を置いたタケルが二人に訊ねる。
「そうですね、タケル様。幸いここなら木の上で待ち伏せも出来ますし、何処から来ても大丈夫ですからね。」
アルミスの提案で木に上ろうとすると、サビオが口を開いた。
「ほほ、タケル殿このままで何時間も待たなくてはならんかもしれないからの、ちと魔法で匂いを拡散させる必要があるの、ワシはちょっと細工してから上るかの。」
アルミスがジャンプしてトンットンッと数回木の幹を蹴り木の枝の上に立った、タケルは一本の木の枝を見つめると、瞬間移動で移動し、アルミスの正面の木の枝の上に立った。
サビオはドラゴンの死体の近くに行くと、人差し指を上に向けクルクルと回し始めた。するとドラゴンの体から血が集まり、霧散していった。臭いを強くするために風に血を混ぜたようだ。臭いを拡散させ終わったサビオも瞬間移動で枝の上に移動した。
サビオにより臭いの強さを増した風は周囲に拡散し、かなり広範囲にまで広がった。そしてある魔物がその臭いを感じ取り、鼻をクンクンとさせている。その魔物の表皮は固く、まるで岩のようでジッとしていると岩と見間違えてしまう程だ、魔物が臭いを辿り移動し始めると、まるで岩が独りでに動いているようであった。
次第に拡散された臭いに反応する個体が増えていき、次々に移動を始めていた。木の上からドラゴンの死体を見つめる三人にも気配を感じる事が出来る程に近付いてきた。
三人は気配を消して魔物が姿を現すのを待っていると、一匹、また一匹と岩のような魔物がいたる所から集まってきて瞬く間にドラゴンの死体は岩に覆い尽くされてしまった。
「あれがロックウールハウンドか、図鑑に載ってたな、本当に岩みたいだ。」
足元に広がる光景を見てタケルがつぶやいた。
三人は目を、お互いに目を合わせコクリと頷くとまずサビオはウィンドカッターを幾つも出現させ、ロックウールハウンドに向けて放った、タケルはウォーターバレットを放ち、アルミスは斬撃を飛ばした。
サビオのウィンドカッターはロックウールハウンドの首を正確に切り落とし、タケルのウォーターバレットは頭を撃ち抜き、アルミスの斬撃も首を切り落とし、いくつかの個体は頭が半分になっていた。ロックウールハウンドの群れは何が起こったのか理解すること無く、全て狩られて
岩のような硬い表皮に覆われたロックウールハウンド、その硬い表皮のしたの柔らかい毛を手に入れるには、極力身体を傷付けずに狩る必要がある、ダメージを与えれば与えるほど中の毛が硬い表皮に吸収されていってしまうからだ。それをタケル、サビオ、アルミスの三人はいとも簡単に、しかも瞬く間に済ませたのである、しかもその数は67匹、討伐難易度から考えるととんでもない数であった。
「よし、こんなもんかな。全部回収しちゃおう。」
三人は木から降りて生き残りが居ないか確認し、タケルが全てのロックウールハウンドを回収した。
「なかなかの収穫でしたね。」
タケルが言うと、サビオが難しい顔をして口を開いた。
「タケル殿、失念しておったが、あの数のロックウールハウンドを一体づつ解体するのかの?」
「あっそうですよね。どうしますか。」
布団の素材となるロックウールハウンドを大量に狩ったはいいが、解体の事までは三人共考えていなかったようだ。
三人でどうするか考えていると、アルミスがタケルに問いかけて来た。
「あの、タケル様。魔法で解体出来ませんか?」
タケルとサビオはハッとして、顔をして見合わせた。
「アルミス、やっぱり天才だよ。そうだよ、魔法が有るじゃないか!アルミスありがとう、大好きだよ!」
タケルはマジッククリエイションで解体魔法を作れば良いとアルミスの、言葉で気付き、興奮してアルミスに大好きと言ってしまった。
やはりアルミスは顔を赤くしてフリーズ寸前であった。
「あっ。」
タケルは自分がうっかり口走った事に気付き、サビオと目を合わせ苦笑いをして誤魔化した。
「じ、じゃあ早速作るよ。」
マジッククリエイション 開始
魔法名【素材解体】
[効果]
動物、魔物、植物を素材毎に解体する。
素材がアイテムボックス、マジックポーチの中でも解体出来る。
解体の度合いは調整可能。
マジッククリエイション 完了
「ついでにもう1つ作るか。」
マジッククリエイション 開始
魔法名 【メイクアイテム】
[効果]
錬成魔法の一種、素材を元により複雑なアイテムを作成する事が出来る。
[制限]
熟練者の手作業により作成した物より劣る。
マジッククリエイション 完了
「お?何か制限が付いたな。まあそれでも十分だな。」
タケルは狩った獲物の解体する魔法と、素材を加工する魔法を作った。多少制限は付いてしまったものの、それでも十分に活用出来るのでタケルは満足であった。
「じゃあ、一旦セーフゾーンに行きましょう。」
そう言ってタケルは鍵を使い扉を出現させ、中へと入って行き、サビオとアルミスも後に続いた。
「じゃあ、【素材解体】実行指定ロックウールハウンド。ウール取り出しっと。おお、凄い早さで素材に別れて行く。」
タケルはステータスのインベントリに表示されている素材の数字が次々に切り替わり、数字が増えていくのを確認して少し興奮していた。
「ほっほっほ。タケル殿、順調なようだの。」
タケルの様子を見てサビオが髭を触りながら笑っていた。
「よし、全部解体終わりました。」
「ほほ。もう終わったのかの、凄いもんだの。」
「そうですね~。本当に便利な魔法だと思います。では一旦ウールだけ出しますね。」
そう言ってタケルはリビングにウール一体分だけ取り出した。全部を出すと部屋から溢れてしまう恐れがあったからだ、1体分の量を確認すると、タケルは全部で10体分のウールを並べた、非常に細い毛でフカフカしている、触ると暖かかった。
「よし、これでっと、【メイクアイテム】発動してっと。んんん~。」
タケルは【メイクアイテム】を発動してウールを加工し始めた。といっても手をかざすだけで殆ど何もしていないが、素材であるウールは淡く光り、ウネウネと動き徐々に布団を形作っていく、厚めの敷き布団を作りマットのようにした、次に掛け布団と毛布を作って3人分のセットが完成した。
「よし!出来た!布まで作れちゃうなんて我ながらズルい魔法だと思いましたよ。」
「ほっほっほ。確かにそうだの。しかし便利だから構わんの。ほっほっほ。」
サビオは布団をアイテムボックスに仕舞いながら笑っていた。
「タケル様、ありがとうございます、大事に使います。」
アルミスは余程嬉しかったのか、布団を抱え頬擦りしている。そしてそのまま部屋へと入って行った。
タケルも自分の分を一旦アイテムボックスに仕舞い、自室に戻りベッドの上で出し布団に潜り込んだ、寝心地は非常に良くタケルはすぐに寝息を立てて眠りに付いた。
2
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる