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第4章 世界戦争
51話 崩壊
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空を覆う黒い渦。いつもならモンスターが出てきた時点で消滅している筈だ。なのに今回はいつまで経っても消滅しない。嫌な予感がする。暫くしてその予感は当たった。巨大な、ドラゴンの姿である俺ですらちっぽけに見える程巨大なドラゴンが現れたのだ。
「ギャァァァーーー!」
またも轟音の様な雄叫び、そして高圧縮されたエネルギーが光線となり放たれる。
「っ!」
人間の本能なのか咄嗟に腕を前に出して防御体制をとる。それに殆ど効果が無いだろうが無意識の内に≪エアシールド≫を展開していた。
案の定光線は一瞬で≪エアシールド≫を砕き、諸に攻撃を喰らう。
痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。痛い!
盾代わりにしている腕が焼ける様に痛い!顔が溶ける様に痛い!手が痛い!足も痛い!
全身が痛い!
どれだけ時間が経っただろうか。ギガントドラゴンの光線を浴び、苦痛を味わい、死を間近に感じた。だけど、その痛みも遂に終わりを迎え視界がクリアになる。
始めに見えたのは青い、ドラゴンだった。視界一杯にはギガントドラゴンしか見えない。それに背中からは妙に冷たい感触がして、地面に寝転んでいた事に気付いた。先程の光線で地面に叩きつけられたのだろう。全身が痛すぎて全く気付かなかった。
体を起こし周りを見渡せば荒野が広がっていた。その広さは地平線が見える程で俺達が住んでいた街など面影も無かった。それも全て、ギガントドラゴンが放った咆哮の被害によるものだろう。
ふと気付く。人がいない。街の住人は疎か、一緒に戦っていた戦闘員達も見えない。まるで世界には俺一人しか居ない様に思える程、誰も居ない。
「スズ!」
最初に思い浮かんだのは小さい頃から一緒で幼馴染みのスズだ。人影すら見えないこの状況。嫌な予感がする。
「す、スズ!」
俺は悪い考えで頭が一杯になるが、それを取り払う様に大声で叫ぶ。
「スズ!!」
だけどスズは見つからない。
空を見上げれば、ギガントドラゴンが飛んでいる。その周りにも沢山のモンスターが居るが、その殆どは東西南北に別れて飛び立つ最中だった。
「っ!!」
もう何を考えていたかは分からなかった。これ以上の被害を出させない為か、スズ達の仇の為か、
とにかくギガントドラゴンに向かって飛び立つ。
「≪ドラゴンサンダーフィスト≫!」
青い、強固そうな鱗はその1枚だけで俺と同じ大きさだ。その体感的には断崖絶壁の、部位的には腹の鱗を殴る。
「ギャァァァ」
鱗は砕かれ、それが連鎖する様に隣、隣、また隣と砕かれていく。
大きさの割りに思ったより攻撃が効く。だけどランクは互いにEX。それはつまり簡単に倒せる相手ではない。
「くっ!」
巨大な壁……否、ギガントドラゴンが前足で俺を押し潰そうと迫って来る。そう思ったのも束の間、前足にぶつかりジェットコースター顔負けの重力がかかり身動き一つ取れない。
「がぁ」
だがそれも一瞬。俺はギガントドラゴンの蹴りで吹っ飛ばされていた。俺は猛スピードで落下する。両翼を目一杯羽ばたかせ体勢を整えようとするが一向にスピードが落ちない。
「だから一人で突っ走るなって言ってるでしょ!」
そんな声と共に背中を押される。スピードは徐々に落ちていき、地上に激突する事は免れた。
振り向けば白く輝く毛並みの狼、コハクが居た。
「コハク!無事だったのか」
「ええ。というか全員≪緊急避難≫のスキルで脱出してたわよ」
「あ」
そう言えば作戦の開始前にそんなスキルが配られていた。
「それよりも、皆が戻って来るにはまだ時間がかかるから。私達だけで少しでも足止めをするわよ」
「あぁ」
「ギャァァァーーー!」
またも轟音の様な雄叫び、そして高圧縮されたエネルギーが光線となり放たれる。
「っ!」
人間の本能なのか咄嗟に腕を前に出して防御体制をとる。それに殆ど効果が無いだろうが無意識の内に≪エアシールド≫を展開していた。
案の定光線は一瞬で≪エアシールド≫を砕き、諸に攻撃を喰らう。
痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。痛い!
盾代わりにしている腕が焼ける様に痛い!顔が溶ける様に痛い!手が痛い!足も痛い!
全身が痛い!
どれだけ時間が経っただろうか。ギガントドラゴンの光線を浴び、苦痛を味わい、死を間近に感じた。だけど、その痛みも遂に終わりを迎え視界がクリアになる。
始めに見えたのは青い、ドラゴンだった。視界一杯にはギガントドラゴンしか見えない。それに背中からは妙に冷たい感触がして、地面に寝転んでいた事に気付いた。先程の光線で地面に叩きつけられたのだろう。全身が痛すぎて全く気付かなかった。
体を起こし周りを見渡せば荒野が広がっていた。その広さは地平線が見える程で俺達が住んでいた街など面影も無かった。それも全て、ギガントドラゴンが放った咆哮の被害によるものだろう。
ふと気付く。人がいない。街の住人は疎か、一緒に戦っていた戦闘員達も見えない。まるで世界には俺一人しか居ない様に思える程、誰も居ない。
「スズ!」
最初に思い浮かんだのは小さい頃から一緒で幼馴染みのスズだ。人影すら見えないこの状況。嫌な予感がする。
「す、スズ!」
俺は悪い考えで頭が一杯になるが、それを取り払う様に大声で叫ぶ。
「スズ!!」
だけどスズは見つからない。
空を見上げれば、ギガントドラゴンが飛んでいる。その周りにも沢山のモンスターが居るが、その殆どは東西南北に別れて飛び立つ最中だった。
「っ!!」
もう何を考えていたかは分からなかった。これ以上の被害を出させない為か、スズ達の仇の為か、
とにかくギガントドラゴンに向かって飛び立つ。
「≪ドラゴンサンダーフィスト≫!」
青い、強固そうな鱗はその1枚だけで俺と同じ大きさだ。その体感的には断崖絶壁の、部位的には腹の鱗を殴る。
「ギャァァァ」
鱗は砕かれ、それが連鎖する様に隣、隣、また隣と砕かれていく。
大きさの割りに思ったより攻撃が効く。だけどランクは互いにEX。それはつまり簡単に倒せる相手ではない。
「くっ!」
巨大な壁……否、ギガントドラゴンが前足で俺を押し潰そうと迫って来る。そう思ったのも束の間、前足にぶつかりジェットコースター顔負けの重力がかかり身動き一つ取れない。
「がぁ」
だがそれも一瞬。俺はギガントドラゴンの蹴りで吹っ飛ばされていた。俺は猛スピードで落下する。両翼を目一杯羽ばたかせ体勢を整えようとするが一向にスピードが落ちない。
「だから一人で突っ走るなって言ってるでしょ!」
そんな声と共に背中を押される。スピードは徐々に落ちていき、地上に激突する事は免れた。
振り向けば白く輝く毛並みの狼、コハクが居た。
「コハク!無事だったのか」
「ええ。というか全員≪緊急避難≫のスキルで脱出してたわよ」
「あ」
そう言えば作戦の開始前にそんなスキルが配られていた。
「それよりも、皆が戻って来るにはまだ時間がかかるから。私達だけで少しでも足止めをするわよ」
「あぁ」
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