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ウララ

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第4章 世界戦争

57話 竜也

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「起きろ……」

誰かの声が聞こえる。

「起きるのじゃ……」

その声は聞き馴染みがあって、何処か安心する声だった。

「起きるのじゃ!リュウイチ!」

「って誰だよ!」

思わずツッコんでしまった。全然知らない人の名前だし、口調も何か変だった。なんだか変な夢だったな………

「リュウ。気が付いた」

今度は頭上から茜の声。
未だ夢の中なのか!と思ったが普通に茜だった。それに、気付かなかったが俺は茜のスキル≪炎鳥≫の中に居た。否、もう1人クリークも居た。

「───っ!」

思わず息を飲む。クリークはすぅすぅと寝息をたてながら気持ち良く寝ていた。でもそれとは裏腹に左足が付け根から失くなっていた。

「安心して。命に別状は無い」

嘘だろ。その余りにもショッキングな光景に言葉が出ない。クリークの足が……。未だ子供の、小学生なのに。どうして。
確か竜王と戦ってたんだ。それで竜王の攻撃がクリークの体を貫通して……。クリークも俺も竜王の攻撃を真っ向から喰らったんだ………。そして気絶したのか。それに当然だがスキルも解除され俺達は人間の姿に戻っていた。

「茜が助けてくれたのか?」

「まぁね」

そうか。周りにモンスターはいない。安全圏まで避難してくれたんだろう。

「ん?」

ちょっと待て。俺、茜、クリークが避難した。詰まりEXランク4人中3人が脱落した。残るEXランクはコハクだけ。スズはSランクだし他の仲間もAランク以上だけど、モンスターはEXランクのギガントドラゴンにEXランク以上の力を持つ竜王がいる。他にも沢山のモンスターがいる。

「茜、スズ達は!?」

「まだ戦っている」

駄目だ。勝てない。寧ろ全滅の可能性の方が大きい。

「スズ」

最悪の可能性を考えて、それがどういう意味を持つのか理解する。全滅即ちスズ達が死ぬと言う事。

「茜!戻ってくれ!」

「無理。彼を避難させないと。それに私自身も戦う力が残っていない」

残っていないって。炎の鳥は十分に燃え盛っている。これの何処が。否、これ以上炎を小さく出来ないスキルなのか。

「分かった。俺1人で行く」

「え?でも竜也だって──」

茜が最後まで言い終わる前に飛び出していた。

「≪竜化:100%≫」
黒いドラゴンに変身し、スズ達の下へ。戦場へ行く。


 ◆ ◆ ◆


暫くして、スズとコハクが見えてきた。竜王と戦っている。

「≪鈴音ノ青砕斬すずねのしょうさいざん≫」

スズは音速で竜王の体を駆け回り刀で斬り付ける。

「≪シルバーアイスキャノン≫」

スズが竜王から離れたのを見計らって、今度はコハクが冷気を圧縮した光線を放つ。

「───ァァァアア!」

コハクの攻撃は竜王に直撃する。が竜王も攻撃に抗い≪シルバーアイスキャノン≫を切り裂く。

「はぁぁぁ!≪白刃ノ青砕斬しらばのしょうさいざん≫!!」

スズが背後に周り竜王の首を狙う。

と、その直前竜王が振り向く。

「ギャァァァ!」

竜王が白い光線を放った。スズは至近距離でその攻撃を受ける。

「≪ドラゴンサンダーフィスト≫」

攻撃を放つ竜王の横顔を殴る。竜王の光線が止まった。ちらりとスズの居た方を見るが既にいなかった。

「っ!」

しまった。その一瞬の隙に腹を殴られる。

「≪シルバーアイスキャノン≫」

今度は竜王の隙を付きコハクが至近距離から攻撃を放つ。
だが竜王はしゃがみ、その攻撃を避ける。

「ギャァァァ」

そして竜王は一層白く輝く拳でコハクの腹を殴る。
殴り、その拳はコハクの体を突き抜けた。

「え?」

竜王が突き抜けた拳を引き抜くとコハクは重力に従い落下する。スキルも解除され人間の姿に戻る。
不味い。このままだとコハクが………
直ぐ様コハクの下に駆け付けようとする。が

「っ!」

視界がぶれる。頬が痛い。竜王に殴られた。

「ギャァァァ」

竜王の両手が白く輝き連続で殴りかかってくる。その攻撃を避けて、受け止めて。これじゃコハクの所に行けない。
それにさっきからスズの居場所が分からない。もしかしたらコハクの方に向かっているのかも知れない。

「頼む」

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