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ウララ

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第4章 世界戦争

58話 ≪ブラックフィスト≫

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暗い夜の空に白と赤、黄色の輝きが揺らめいていた。それらの輝きは幻想的にすら見える。でも近くで見るとこの輝きも変わってくる。


 ◆ ◆ ◆


「≪ドラゴンサンダーフィスト≫」

「ギャッ」

雷を纏った拳で竜王の腹を殴る。

「ギャァァァ」

「っ!」

お返しとばかりに白く輝く拳が俺の腹を殴る。

「≪ドラゴンフレイムフィスト≫」

今度は炎を纏った拳で竜王の顔面を狙う。しかし横にずれる事で避けられた。

「ギャァァァ」

しかも竜王はそのまま攻撃を仕掛けてくる。互いの距離も近い。竜王の拳がすぐそこだ。

「───っ!」

横に避け………られなかった。
竜王は俺の腹を狙っていた。何とか避けようとしたが狙いを腕に移すのが精一杯だった。しかもその腕は失くなっていた。失った右腕は痛いとか通り越して何も感じない。今のが腹に当たっていたと思うとゾッとする。
一旦距離を取って回復しなければ。

「っ!」

だか竜王は既に殴り掛かっていた。

「≪ドラゴンサンダーフィスト≫」

雷を纏った拳で対抗するが上手く力が出ない。

「───っ!」

竜王は反対の拳でも殴る。右腕が無い以上防ぐ術が無い。

「っぁぁああ!!」

今度は間違い無く竜王の拳が俺の腹を殴った。
苦しい。息が出来ない。見れば体にぽっかりと穴が空いていた。
まだ、まだだ。まだ諦めるな!

「≪竜化:120%≫」

このスキルは変身によるパワーアップだけで無く体の治癒も出来る。発動条件はHPが1割以下。ゲームならともかく現実ではそんな事1回もなかったから今回が初めてだ。
体は100%の時より一回りも二回りも大きくなり、ぽっかりと空いた腹も失った右腕も元通りだ。それに鱗が尖り、ツノが大きくなり、見た目は荒々しく迫力満点だ。

「≪ドラゴン……」

竜王の懐に入る。竜王は俺のスピードに追い付けずにいる。

「フルサンダーフィスト≫」

雷を纏った拳を竜王の腹目掛けて殴る。

「ッ!」

「≪ドラゴンフルフレイムフィスト≫」

更に反対の燃え盛る炎の拳で殴る。

次は雷を纏った拳で、その次は炎の拳で、何回も何回も殴る。

「はぁぁぁぁ!≪ドラゴンフルサンダーフィスト≫!!」

最後に一発全力で殴る。

「ギャァ」

竜王は痛みにうずくまる。

「ァァアアア!」

だか突如竜王の体が光だした。その白い光が余りにも眩しく目を閉じてしまう。

「がぁぁ」

腹部に凄まじい痛みが走る。殴られたのか。目を開けたい。でも開けられない。

「───っ!」

また腹部に鈍痛。見えないから対処のしようが無い。

「っあ」

更に後頭部に強い衝撃が走る。その強さに体が前のめりに倒れていくのが分かる。
まだ駄目なのか。奥の手である≪竜化:120%≫ですら敵わないのか。
……だったらもう最後の切札を使うしか無い。あれ以来1度も使っていない。使えなかったスキル。今なら出来る気がする。

「≪ブラックフィスト≫」

感じる。拳に強大な力が溢れてくる。拳からは黒い靄が溢れているのが見えた。

「!!」

見えた!光の効果が切れたのか、目が慣れただけなのか。どっちにしても
目線を手元から竜王の方に向ける。竜王は俺を見下しているようだった。

「はぁぁぁ!」

黒い靄が溢れる拳を竜王目掛けて放つ。

「ギャァァァ」

竜王も白く輝く拳を突き出す。

だけど遅い。俺の拳は既に竜王の腹を殴っていた。

「───ぅら!」

その力は凄まじく、拳は竜王の腹を突き抜ける。

「ァァ」

竜王は体を突き抜かれ衰弱しているようだ。その声も弱弱しい。見れば竜王の腹からは鮮血が零れ出ている。
腕を竜王から引き抜く。すると、まるで栓でも抜かれたように竜王の腹から大量の鮮血が噴出した。
もう抵抗も出来ないのだろう。飛んでいるのでやっとだ。
対して俺は黒い靄が全身を覆い力が溢れてくる。


「次でコロス」


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