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ウララ

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第4章 世界戦争

61話 【守護者】

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駄目だ。理解出来ない。神様だの守護者だの全然理解出来ない。

「そもそもここは何処なんだ! それにあんたらは何者なんだよ!」

思わず叫ぶ。もう叫ぶしかない。よく分からない真っ白な空間で古木と変な女が意味の分からない事を言う。耐えられない。

「へ、変な女……」

「そうですね。先にその辺りを整理した方が良さそうですね。では先に貴方から」

「え! 私からですか!?」

古木は女性に説明するように促す。というかお前こそ何者なんだ、古木。

「えっと。私の名前は『ミカヅキ』です。この世界を見守り、管理し、この世界の頂点に君臨する【世界神】です」

女性は言う。神だと。頂点に君臨する神だと。流石にここまで神だと言い続けられると唯の変人では無いような気がしてくる。

「では次は私ですね」

そう言うと同時に古木の体が光出した。その光の眩しさに目を開けられない。

「私……。いや、僕の本当の名前は『マサト』」

今のは古木の声、なのか?その声は段々と変化している。光で見えないから何が起きているのか分からない。

「な!!」

光が治まり視界が晴れると古木が立っていたであろう場所には俺と同い年ぐらいの少年がいた。でも古木の姿はない。それにさっきの声の変化を考えると1つの仮説が考えられる。というかそれしかないだろう。
古木が子供になったのだ。

「違うな。子供になったのでは無く。これが本当の姿なんだ」

少年はそう言う。俺の心でも読んだかのように。少年はさらに話を続ける。

「僕は全ての世界、そのバランスを司る神。【均衡神】だ」

今度は少年が、いや古木、じゃなくて本名はマサトか。とにかく神を名乗った。

俺の前には世界神と均衡神の2柱の神が揃った。と言う事らしい。

「らしいって。まだ信じてないのか」

古木、いやマサトか。は又も俺の心を読む。でも心を読むスキルなんて無かった筈だ。

「神様だからな。それぐらい造作もない」

その口調と姿からは、古木だった面影は無くまるで別人のようだ。

「それよりも、だ。時間も押して来ている。早く決断してくれ。【守護者】となるか、死ぬか」

守護者となるか、死ぬか。

え!?

死ぬか!?

ど、どういう、事だ!?

「君は今生死の狭間にいる。そしてこの空間はこの世とあの世の間だ」

嘘だろ……

ふと思い出す。白く輝く刀に突き刺されている。そんな記憶を。

「それに【守護者】には誰でもなれる訳ではない。【守護者の加護】を持つ君だからこそだ」

守護者の加護?

そんな物知らないけど。

「え! 酷い。与えたじゃないですか!」

ミカヅキが驚きの声を上げる。でもそんな記憶は無い。

「≪ブラックフィスト≫それが【守護者の加護】その力の一端だよ」

「え?!」

今度は俺が驚く。≪ブラックフィスト≫はゲーム内で手に入れたスキルだ。
でも、確かにこのスキルを使ったせいで記憶が飛ぶ程暴れ回った。そう考えると普通のスキルでは無いとも考えられる。

それに守護者になれなければ死んでしまうんだ。選択肢は1つしか無い。

だけど1つだけ疑問が残る。

「どうして俺なんだ。全員が全員、守護者になって生き返れる訳じゃないんだろ」

「それはミカヅキが選んだからさ。彼女はさ「ちょっ! 【均衡神】様!!」」

ミカヅキは慌てて古、マサトの言葉を遮ろうとする。ミカヅキはどうして俺を選んだのか言いたくはないらしい。初めて会った筈なんだが、どうして俺なんだ?

「ほら。【守護者】になる事が決まったんだからいつまでも唸ってないで行動してくれる?」

いつの間にか手で顔を隠し小さな唸り声を出していたミカヅキに、マサトは催促する。

「わ、分かりました。では竜也君、両手を出して下さい」

ミカヅキに言われるまま両手を出す。ミカヅキも両手を出し軽く手を握られる。

「我、【世界神】ミカヅキなり。我の権限により汝、末永 竜也を【守護者】とする」

ミカヅキはまるで呪文を唱えるかの様に言葉を綴る。その言葉が終わると同時に世界が真っ黒になる。


 ♦ ♦ ♦


私が【世界神】の権限で命令をすると竜也君が消えた。竜也君の魂がこの空間から脱出し肉体へと戻って行ったのだ。竜也君は【守護者】になったのだ。これで一番の難関はクリアした。

「彼を【守護者】にするのが一番の難関なんだ。この戦争に勝つ事じゃなくて?」

そう御聞きになるのは、竜也君と同じくらいの年の少年。その実、この世界と同時に産まれた私よりも遥か昔から存在する神【均衡神】様だ。

「確かにこの【世界戦争】に勝つ事も容易では無いと思いますが彼が、竜也君がこの世界を勝利へと導いてくれるでしょう」

「そうか」

「はい。……所で、彼女の事は言わなくて宜しかったのでしょうか?」

「ああ。言ってしまえば彼はからな」

確かにそうかも知れない。でも竜也君には知った上で【守護者】になって貰った方が良かったとも思う。でも、どちらにしても後戻りはできない。世界を統べる神とはいえ時間を操る事は出来ないのだから。この罪悪感とは向き合って行かなければならない。


 ♦ ♦ ♦


世界が真っ黒になる。何時間もそうだったかもしれないし、一瞬だったかもしれない。

「あ?」

気が付けば俺は病院らしき場所のベットで寝ていた。何故か一瞬でその事が理解できた。

「おはようございます。竜也さん」

「お、おはよう」

別に神様達と話していたから寝ていたという感覚はないんだけど。でも、あそこには魂だけが行っていたから肉体の俺だけを見れば目覚めたというのも間違ってはいないか。

まただ。何故かあの空間の事や神様達の事が理解できる。それに彼の事も理解できる。それはもうありとあらゆることが。
彼の名前は岩永海人。ゲームではクリークと名乗り、リヴァイアサンキングと呼ばれていた。現在12歳の小学6年生。男。誕生日は2033年7月18日だ。他にも色々な情報が流れてくる。

そして理解する。これは【守護者】の力だ。
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