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最終章
沈黙する世界
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何も、感じなかった。
朝か夜かもわからない。
起きているのか、眠っているのかも、曖昧だった。
呼吸をしている。
たぶん。
肺が動いているかどうかの感覚は、すでにない。
鼻孔を抜ける空気の匂いもない。
湿度も、温度も、感知できなかった。
口に水を含む。
水の重み、冷たさ、味……すべて失われていた。
飲み込んだのかどうかさえ、わからなかった。
---
腹は空いていない。
だが、満たされてもいない。
空腹も、満腹も、ただ“過去にあった言葉”としてしか浮かばない。
ベッドに横たわる。
視界はただの闇。
音もない。
風もない。
肌の上に世界が触れてくる気配もなかった。
---
“言葉”を考えようとする。
何かを思いつこうとする。
だが、思考が生まれなかった。
「今日」という言葉が、形を持たない。
「自分」という輪郭も、すでに崩れている。
言語が、内面から消えていく。
語彙ではなく、“語るという機能”そのものが失われていく。
考えることが、もうできない。
---
静かだった。
世界が、沈黙のまま広がっていた。
音も、像も、匂いも、温度も、感触も、味もなかった。
それでも、自分はそこにいた。
いる、はずだった。
ただ、それを確かめる手段が、一つも残されていなかった。
---
時間が、意味をなくした。
昨日も、今日も、明日も、区別できなかった。
日記の文字を、目で追うことができない。
書くことも、もうできなかった。
ペンを持っているかどうかさえ、わからなかった。
---
最後の瞬間。
言葉のない思考が、ひとつだけ残った。
……「無」。
---
何もなくなった。
感覚も、記憶も、音も、輪郭も。
ただ、存在しなくなった。
それが、
“沈黙する世界”の終わりだった。
朝か夜かもわからない。
起きているのか、眠っているのかも、曖昧だった。
呼吸をしている。
たぶん。
肺が動いているかどうかの感覚は、すでにない。
鼻孔を抜ける空気の匂いもない。
湿度も、温度も、感知できなかった。
口に水を含む。
水の重み、冷たさ、味……すべて失われていた。
飲み込んだのかどうかさえ、わからなかった。
---
腹は空いていない。
だが、満たされてもいない。
空腹も、満腹も、ただ“過去にあった言葉”としてしか浮かばない。
ベッドに横たわる。
視界はただの闇。
音もない。
風もない。
肌の上に世界が触れてくる気配もなかった。
---
“言葉”を考えようとする。
何かを思いつこうとする。
だが、思考が生まれなかった。
「今日」という言葉が、形を持たない。
「自分」という輪郭も、すでに崩れている。
言語が、内面から消えていく。
語彙ではなく、“語るという機能”そのものが失われていく。
考えることが、もうできない。
---
静かだった。
世界が、沈黙のまま広がっていた。
音も、像も、匂いも、温度も、感触も、味もなかった。
それでも、自分はそこにいた。
いる、はずだった。
ただ、それを確かめる手段が、一つも残されていなかった。
---
時間が、意味をなくした。
昨日も、今日も、明日も、区別できなかった。
日記の文字を、目で追うことができない。
書くことも、もうできなかった。
ペンを持っているかどうかさえ、わからなかった。
---
最後の瞬間。
言葉のない思考が、ひとつだけ残った。
……「無」。
---
何もなくなった。
感覚も、記憶も、音も、輪郭も。
ただ、存在しなくなった。
それが、
“沈黙する世界”の終わりだった。
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