15 / 20
初LIVE
初LIVE2
しおりを挟むサラマンダー屋上。
「ここに居たんだ! 探したよ」
かなり走ったのか汗が額から垂れているエバであった。
「キツく言い過ぎちまったな……」
そう言って悲しそうな顔で遠くの夕焼けを見てるキッド。
「確かにあれは言い過ぎたね」
「本心であんな事言っちまったわけじゃないんだよな……カッとなってつい」
「エレナだって本心で言ったわけじゃないと思うよ? 」
「分かってる」
「ならエレナに謝りに行こう! エレナだってキッドと話したがってると思うし」
「気まずい……」
「キッドでもそーいうこと思うんだ」
バツが悪そうな顔をしているキッドに対して
子供にイタズラをする様な顔をして聞くエバ。
「俺をなんだと思ってんだよ」
「いいから、行くよ!」
「エバ、ありがとな……」
「ん? なんか言った?」
「何も言ってねーよ」
エバには聞こえないボリュームで感謝を告げたキッド。顔に笑顔が戻ったキッドとエバは屋上を後にした。
「あいつら最近雰囲気良くなかったからなー、これで立て直してくれる事願っておくか、勝手にだけど、お前らに俺は期待してるんだぜ? ふわぁー……ねみぃ」
たまたま屋上で寝ていたガロンが独り言を呟いていた。
「ギュイーン!!! 」
「ん? すげー良い音鳴らしてんなこのギター」
ガロンが再び眠りにつくのを中断してそのギターの音のする方を見た。
「あー、あいつらが今噂の1年1組の【キングダム】か、どれどれ、ちょっくら観察でもするか」
ガロンはその日見た景色を忘れる事は無いだろう。それほどまでにキングダムの音楽は完成されていた。各々学生ではありえない程高いレベルの技術、その中でもずば抜けていたのは、ガロンを振り向かせたギターを弾いていたドラゴン。高身長で女子と間違えられそうな綺麗で透き通る様な銀髪を肩まで伸ばし、キッドとは対照的な真っ白なギターを弾いていた【レオ=スコール】であった。
「あいつはやばい……こんなに鳥肌が止まらないのはスターク以来か? これだから教師は辞められない」
未だ止まらない鳥肌を止めようと、両腕をさすりながら屋上を後にしたガロンであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる