紀元前0世紀の物語

真田熊

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第1章:直江津王国から始まった

1-3 縄文巫女と王子

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縄文巫女と王子

春日の山奥の入り口に縄文巫女達が暮らしていた。彼女たちは、10人程度が入る大きな小屋がそこにはあった。
一つの場所に皆が住んでいたのは、そこには湧水があり、近くには小動物がいて、実のなる木があり、暮らしやすい場所であったからだろう。

では、巫女は何をしていたのであろうか?
巫女達は、季節の変化にとても敏感だった。
でも、どのように生き方を決めたのだろうか?
森の中では、季節ごとの草木や虫や獣の動きがあり、それを伝えていた。
そして秋に実る果実を記憶していて、それを伝えていたのである。
つまり冬が過ぎ春が始まる、そんな生活を縄文の仲間たちに伝えていたのであった。

そして、彼女たちは、長い年月をかけて、自然の力を敬い、火を囲み、踊りをして、自然の中に潜む神の力に祈りを捧げていたのであった。
湧水の泉、大木、大きな岩石に日々祈りを捧げていました。

それは、生きていることへの感謝であり、自然の恵みに対する畏怖であった。
山の森に神が住んでいる。それが縄文時代の信仰であったのだろう。

元々、縄文期の暮らしは、自然の恵みに頼ったものであった。春の芽吹きを感じ、草花が成長する。小動物に、罠を仕掛け、皮をはぎ、肉を干す。夏が過ぎ、秋が訪れると、木の果実を集め、水にしたし、保存する。冬が始まり雪が降ると、辺りは真っ白に変貌する。雪は、下に置いた保存食を守ってくれた。生きるギリギリの食料の調達。それが縄文期の暮らしであった。

いくつかの集落が場所を隔て存在していたが、縄文期の集落では、巫女に指針を聞き従うのではなく、季節の自然の動きに従って暮らしていた。
巫女達は草や木の皮で依った物を編んで、印を作り、それを大岩や大木の前に起き、季節の様々な動きを伝えていたのであった。
それを訪問し確かめるのが、縄文集落の習慣であった。

そういう意味では、巫女達は、多くの縄文集落のリーダー的な存在であり、頭脳であり、近くの縄文集落の中心だったようです。

山には、恐ろしいものが潜んでいる。
大きな獣である熊がいて、狼(オオカミ)がいて、人間とは関わらないその生き方に敬意を示していた。そんなものにまで巫女は、祈りを捧げていたのである。

巫女は、長年生き続けている大木や大きな岩に成長の神を感じ崇拝の対象としていた。

また自然に溢れ出る湧水は、少し温かく、聖なる泉と考え、身体を清め、潤していた。

縄文の暮らしは、長い年月は、同じような繰り返しではあったが、子らが育ち、大人になって役割を変えて暮らす。そんな形がいつまでも続いていった。


その日が来た。それは偶然であり、突然の出来事であった。


朝鮮半島には、大陸の戦乱を逃れたもの、争いに巻き込まれた農夫や漁民が、新天地を目指して、集まっていた。
その船は、船底に大きな板を引き、かなり大きかった。乗船していたのは、戦乱を逃れた若い王族の君、警護の剣士、植物等などの広い知識のあった学者たち、新たな土地を求めていた農夫、船を操る漁師ら30人がいた。馬も乗っていたようだ。船は海の向こうにある豊かな新天地を目指していたのである。

日本列島を見つけたが、春風に吹かれで北上し、直江津付近まで来て、春日山の麓に広がる平地を見て、人影がないことを悟ると、頸城川(関川)に入り込み、新たな生活の場にすべきと上陸したのであった。

彼らは春日山の麓を気に入り荷を下ろし、湿原や平野の景色を見聞していた。
一行の中にいた、大陸の争いから逃げてきた王族の青年は、山奥の方が気になっていた。彼は山奥にあった道を見つけ更に進んでいった。
そこに入ると大きな岩があり、綺麗な花が置かれてあった。

「あれ、人がいるな、これは、、、」
「地元の住民だろうから、何とか話せれば良いんだが、、、」
彼らは、大岩の奥にあった小屋のような大きな建物に近づくのであった。
「誰ですか、、、」言葉は通じなかったが、彼女は縄文の若者が来たのだと思い、顔を出した。
「あのー申し訳ないが、海を渡ってやってきものだ」というけど言葉が通じない。
彼は、懸命に言葉を紡ぎ必死に伝えたが通じない。
そこで、彼は、大きく手を広げると、大海原である遠い海を指して、頸城川の方向に向けて、招くような動作をし、大きく自分の胸を叩いた。

彼女は、この男の足元から顔を見上げると、なんて大きい人だろうと驚いたが、見慣れない服装だったので、海からやって来た異国の人間である事が直ぐに分かったようだ。
たまに尋ねてくる物知りの人間から異国渡りの人間たちが、最近来ていることを聞いていたのである。

彼は大岩に捧げていた花を何故か持っていた。何故、その花を持ってるのか分からなかったが、彼には、敵意を感じなかったので、巫女は、話を続けることにした。
彼は懸命に、
「僕らは、この山の麓に家を建て住みたい」という事を何とか彼女に伝え、彼女も平地では縄文の人間も居ないはずだから、それを承知することになった。

こうした偶然が重なり、突然、渡来人が春日山の麓に住むようになったのである。

馬を引き連れていた彼らに対して、縄文の若者たちも驚いたが、巫女からの指示もあり、好奇心から、彼らの小屋づくりや苗を育て、田んぼを耕作することに、見様見真似で手伝いするようになっていった。
そしてあれよこれよと進み、春日山の麓には、新たな弥生集落が出来上がり、渡来人との混血も始まり、大きくなっていったのである。

2年、3年と経つと、この新たな弥生集落も
働く農耕労働を行うもの、管理するもの達に分かれ、子供たちは、共同で育てる姿が見られ、発展していった。
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