紀元前0世紀の物語

真田熊

文字の大きさ
12 / 81
第1章:直江津王国から始まった

1-11 川前の集落の成立

しおりを挟む
川前の集落の成立

移動するグループの若者は、国王に進言し、検分役となった。

彼は直江津王国での王との会議の後、細かい確認や指示を仰ぐため、国王と宰相と話し合いを続けていたのであった。

検分役となった若者は、到着早々に管理者たちを出来立ての小さな蔵に集め、国王の言葉を伝えた。
「管理者の皆さん、国王や宰相殿、集落を管理していた皆様が、大きな喜びとして歓迎しておられます。管理者の皆様には、これからも農耕労働をよく指導し、しっかり管理し、直江津王国の繁栄に大いに助けて頂きたい。」
検分役からの言葉に、管理者の皆は大いに戸惑いました。
しかし宰相は直接指示をもらう、いわば上司でした。春日山の集落が直江津王国と呼ばれていることも理解していました。

皆の不安そうな顔を見て検分役が続けた。
 
「私は、直江津王国の検分役として任命されました。新しくできたこの集落は、今後《川前の集落》として直江津王国の新たな領地となりました。」

管理者の皆は、おおーっと大きく頷き、4日の行程でこの土地に案内してくれた移動するグループの若者を称えるのであった。

「検分役様が、、、でよろしいかな。彼方が示してくれた土地は、素晴らしい土地であった。我等も、国王様や宰相様方のお役に立てたならば、とてもうれしく思います」

管理者を束ねる一人が答えます。

「おお、そなたもうれしく思ってくれるのか。ありがたい。そなたには新たな役職を授けることになる」

管理者を束ねる男は、自分の言葉に何か重たいものがのしかかってることに気がつく。

「そなたは、今後《長(おさ)》として、この集落の管理者をよく束ね、農耕労働を従事する集落の民も束ねて欲しい。と国王や宰相様からのご支持である」

管理者たちは、全員が大きく頷き、長の役職を得た彼は、国王との関係は薄かったが、上司であった宰相の言葉を重たく受け取り、何か偉くなったような雰囲気が周りから漂い。皆の視線に押されるように、前に出た。

「長、私が検分役として、この集落と直江津王国を渡り歩くことになります。今後とも、どうかよろしくお願いいたします」

「いや、検分役殿。こちらこそよろしくお願いいたします」

2人は固く握手をして、検分役は、長の肩を叩くのであった。

蔵の前には連れてこられた新しい住民と先に入植していた住民が、仲間が増えたことに喜び、これまでの小屋の建築や田んぼの耕作等を喜びあっていた。

そこに管理者たちと移動するグループの若者が登場する。

「皆、よく聞いてくれ」

「移動するグループの若者だよ。おい、改まって何の話だろうか」

検分役と管理者を前に集落の民達が注目する。

「新たなこの集落は、今後《川前の集落》として直江津王国の新しい領地として、国王様が、統治なさることになった。彼は国王様や宰相様から《長》に任命された。今後はこの長の指示に従い、よく働いてくれ」

検分役になった移動するグループの若者は、長を前に押し出し、今度は長が、大きな声で宣言したのである。

「私が、この川前の集落の長として、国王様の声のかわりに皆とともにこの集落の為に務めたい」

長の言葉に、管理者の方々や検分役が喜んでいるのを見て、民達は安心した。彼らは長い時間をかけて管理者達の指示に従えば暮らしていけることを理解していた。

また、直江津王国の名は、よそから来る移動するグループの皆が話しているのをよく聞いていたので、疑問に思わなかったのである。集落の民の一人が

「おー!我等も大いに嬉しい。喜んでこれからも働こうぞ!」

大きな声で叫ぶ民に、集落の民達や管理者達が、大いに喜んだのであった。

穏やかで暖かい風が、川から吹いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【短編集】こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

処理中です...