17 / 81
第2章:新たな領地と佐久
2-5 新たな新領地
しおりを挟む
新たな新領地
移住から年が明けたころ、検分役が川前の集落を訪れ、さらなる移住の話を持ってきた。
しかし川前の集落の長は、縄文集落の吸収が進み、ようやく落ち着き始めたところだとして、移住の一時停止を求めた。
「平地なら、まだまだある」
検分役はそう言って理解を示し、別の場所を探すことにした。
さて、どうするか。
川向こうの下流に、以前見つけた良い平地があった。
検分役はまずその場所を確認し、その足で直江津王国へ向かった。
直江津王国・王の執務室
挨拶を済ませると、検分役が切り出した。
「王よ。川前の集落は落ち着き始めております。いまは移住を止めたい、との長からの伝言です」
「そうか、、、困ったな。昨日も管理職どもが『次の移住はいつだ』と騒いでおった」
「管理職の皆は、何を期待しているのでしょう」
王は歯切れ悪く答えた。
「大きな動きが欲しいのだろう。新しい土地も見てみたいと、、、だから貴様が戻ったら聞いてみろと」
検分役は静かにうなずいた。
「王よ、ご安心を。移住は続けます」
「だが川前の長は止めてくれと言ったのだろう」
「はい。ですので、今度は別の場所に移住してもらいます」
王の顔が明るくなった。
「本当か。助かる。民はまだまだ溢れておる。今度も新たな領地だな」
検分役は、千曲川を下り、川を渡った対岸に広い平地を見つけていることを伝えた。
「新領地となる以上、今度は長を決め、管理者の意識を高めてから移住させます。人数も一度に百人ほど動かします」
「ほほう、頼もしい」
新領地の長を決める
検分役は、移住を希望する管理者たちを集めた。
宰相も同席し、場を引き締めるように言った。
「者ども、一人が長となり、王の代理として新領地を治めることになる。覚悟はよいか」
管理者たちは生唾を飲み込んだ。
最年長の男が一歩前に出て答えた。
「はい。承知しております。国王様の代理として民を治め、秋には収穫の三割を検分役殿に渡します」
「うむ、よく言った。そなたを長に任ずる」
検分役が続けた。
「新領地へ行くには千曲川を渡らねばならぬ。浅瀬は確認してあるので歩いて渡ることになる。よいか」
「川を渡るのか、、、大きな川だと聞いているが、検分役殿がいるなら大丈夫だ」
宰相が号令をかけた。
「よし、住民を連れて参れ!」
こうして、新たな領地への移住が動き出した。
移住から年が明けたころ、検分役が川前の集落を訪れ、さらなる移住の話を持ってきた。
しかし川前の集落の長は、縄文集落の吸収が進み、ようやく落ち着き始めたところだとして、移住の一時停止を求めた。
「平地なら、まだまだある」
検分役はそう言って理解を示し、別の場所を探すことにした。
さて、どうするか。
川向こうの下流に、以前見つけた良い平地があった。
検分役はまずその場所を確認し、その足で直江津王国へ向かった。
直江津王国・王の執務室
挨拶を済ませると、検分役が切り出した。
「王よ。川前の集落は落ち着き始めております。いまは移住を止めたい、との長からの伝言です」
「そうか、、、困ったな。昨日も管理職どもが『次の移住はいつだ』と騒いでおった」
「管理職の皆は、何を期待しているのでしょう」
王は歯切れ悪く答えた。
「大きな動きが欲しいのだろう。新しい土地も見てみたいと、、、だから貴様が戻ったら聞いてみろと」
検分役は静かにうなずいた。
「王よ、ご安心を。移住は続けます」
「だが川前の長は止めてくれと言ったのだろう」
「はい。ですので、今度は別の場所に移住してもらいます」
王の顔が明るくなった。
「本当か。助かる。民はまだまだ溢れておる。今度も新たな領地だな」
検分役は、千曲川を下り、川を渡った対岸に広い平地を見つけていることを伝えた。
「新領地となる以上、今度は長を決め、管理者の意識を高めてから移住させます。人数も一度に百人ほど動かします」
「ほほう、頼もしい」
新領地の長を決める
検分役は、移住を希望する管理者たちを集めた。
宰相も同席し、場を引き締めるように言った。
「者ども、一人が長となり、王の代理として新領地を治めることになる。覚悟はよいか」
管理者たちは生唾を飲み込んだ。
最年長の男が一歩前に出て答えた。
「はい。承知しております。国王様の代理として民を治め、秋には収穫の三割を検分役殿に渡します」
「うむ、よく言った。そなたを長に任ずる」
検分役が続けた。
「新領地へ行くには千曲川を渡らねばならぬ。浅瀬は確認してあるので歩いて渡ることになる。よいか」
「川を渡るのか、、、大きな川だと聞いているが、検分役殿がいるなら大丈夫だ」
宰相が号令をかけた。
「よし、住民を連れて参れ!」
こうして、新たな領地への移住が動き出した。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる