紀元前0世紀の物語

真田熊

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第3章:弥生の世界

3-7 噴火のあと

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噴火のあと

直江津王国にも夏が来ていた。

田んぼの穂は十分に育ち、夏草を抜く作業があったが、とても暑くてたまらない。

神殿の山奥の縄文巫女がいた場所に王族の娘が巫女として暮らしていた。浅間山の噴火には、影響は、なかったが、巫女の暮らしには、大きな変化があった。

山で暮らしている巫女に新たな思いが生まれていた。麓にいては気が付かなかったが、縄文巫女様からの言い伝えのひとつ、ひとつが現実に、山で暮らす生活の中で、確認されることが多くあった。

いまでは、大岩への祈りや、侍女たちとの踊りも、繰り返しやる事で分かることがあったのようだ。

川前の集落の巫女は、どうであろうか?

ここは、川向うに森があり、先の集落の先には縄文の暮らしが続いていて、川前の集落の巫女は、浅間山の分で出た灰も新たな焼き物の土に混ぜ使うなど、儀式的な動きを強調し、無難に過ごしていた。

戸隠の巫女の下で暮らし続けていた佐久の巫女は、自然の神秘を感じていたが、術らしいものは、何も教わっていなかった。

「平地には、平地の自然との付き合いがある。私も、山から離れた世界は分からないのだが、お主を見ていて気がついたことがあった。」

何をいうのだと思いで、佐久の巫女は、顔を傾けた。

「佐久の巫女よ、お主は、自然に対する感謝の踊りや奉納を覚えた。それを続けるのだ。続けることで自然との対話が生まれ、術として体得できるであろう。術はお主が生み出すことになるはずじゃ。すぐに帰れ。」

形のあるものじゃない。という戸隠の巫女の言葉に、深く考え、答えを導こうとしたが、結局、答えは出なかった。

そこで、佐久の巫女は、移動するグループが来るのを待って、佐久に帰ることにしたのである。
確かに、平野の巫女への答えは、縄文からは得られない。そうは思うが、この生活で確認できた自然の力への畏怖や敬意を大事にする事だと感じていた。

佐久の巫女は、自身で考えるという、当たり前だが、覚悟のようなものが生まれていた。

夏が過ぎ、実りの秋が来た。

移動するグループに連れられ、佐久へ戻ると、米が豊作で、大きな実りに佐久の集落では、全員が集まり、作業が進んでいた。
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