俺様白雪王子と不可避なハッピーエンド

なかむ楽

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01.前フリが盛大すぎた

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〈深き森の国〉の王子は、国を乗っ取った義父に散々虐待イジメをされて、森に捨てられてしまいました。王子は運良く、森に住んでいる七人の妖精に育ててもらい事なきを得ました。
 月日は流れ、時折刺客に命を狙われるも、王子は無事に成長しました。しかし、おじいさんに魔法で変装をした義父に騙された王子は魔法の毒薬を煽ってしまったのです。
 
 そんな義父──国王を恐れた七人の美しい妖精──私たちは、王子のささやかな葬儀をしているのです。
 通りすがりの剣士さま、どうかお弔いにいらしてくれませんか?」
 
「私たちは大切な子に一人でも多くお花をあげてもらいたいのです」
 
「あの……ただの迷子がご葬儀に参列するほうが失礼ではないですか?」
 
 妖艶な美女妖精たちが、戸惑うわたしの手をグイグイ引っ張って離さない。
 
「泣いてくれる人が少ないって可哀想だと思いません? 思いますよね? 思うでしょう? さあ、こちらへどうぞ」
 
「手を離してください。話も聞いて!」
 
 というのが、そもそものきっかけ。
 嘆き悲しんでいる妖精から、どこかで聞いたことがある話に耳を傾けたのが間違いだった。
 
 
   ☆ ☆ ☆
 
 
 
 わたしは愛竜に騎乗して、森の中で狩りをしていた。七色の背を持つ鹿を夢中になって追いかけていたところ、いつの間にか国境を越えてしまい、深い森の中で愛竜と迷子になってしまった。
 鹿も狩れなかったし、愛竜は腹ぺこで歩いてくれない。ほとほと困り果てて、わたしは食べるものを探しにさらに森の奥へと足を踏み入れた。
 
 わたしの身になにがあったかを、ここからはダイジェストで語るとしよう。
 
 
 
 迷子になった森の奥で神秘的な雰囲気の泉を見つけた。水を汲んでいると、対岸で美しい妖精たちがさめざめと泣いているのを見かけた。
 めったに姿を見せない妖精が悲嘆にくれていた理由が気になった。騎士でなくとも、強き者は弱者とご婦人には優しくするのがこの世界の暗黙の了解だ。

 涙の理由を聞いていたら強引に誘われて、見知らぬ人の葬儀に参加することになった。のだけど、男性用の魔導衣をしっかり着込んでいたわたしを男だと勘違いしていたみたいで、葬儀に向かう途中だってのに、ふたりの美女妖精から魔導衣をひん剥かれそうになった。
 妖精じゃなくて、女淫魔サキュバスじゃないの?
 
 幻覚魔法で貞操の危機から脱出したわたしは、リーダー格の美女妖精(以下リーダー)に文句を言ってやろうとした。
 泉のほとりで静かに悲しんでいる姿を見たら、文句が全部スッと引っ込んだ。さすがにここで文句を言えるメンタルを持ち合わせてない。
慈愛深く涙を流していた美しいリーダーは、わたしを見ると魔法で出した青いバラを差し向けた。
 
「剣士さま。どうか、お花をあげてください」
 
 葬儀の中心人物は、美しいガラスの棺のなかで青バラの供花に囲まれていた。
 そして、わたしはピーンときた。
 
 ──あっ、これ、白雪姫の逆パターンだ、と。
 
 
 
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