1 / 6
01.前フリが盛大すぎた
しおりを挟む〈深き森の国〉の王子は、国を乗っ取った義父に散々虐待をされて、森に捨てられてしまいました。王子は運良く、森に住んでいる七人の妖精に育ててもらい事なきを得ました。
月日は流れ、時折刺客に命を狙われるも、王子は無事に成長しました。しかし、おじいさんに魔法で変装をした義父に騙された王子は魔法の毒薬を煽ってしまったのです。
そんな義父──国王を恐れた七人の美しい妖精──私たちは、王子のささやかな葬儀をしているのです。
通りすがりの剣士さま、どうかお弔いにいらしてくれませんか?」
「私たちは大切な子に一人でも多くお花をあげてもらいたいのです」
「あの……ただの迷子がご葬儀に参列するほうが失礼ではないですか?」
妖艶な美女妖精たちが、戸惑うわたしの手をグイグイ引っ張って離さない。
「泣いてくれる人が少ないって可哀想だと思いません? 思いますよね? 思うでしょう? さあ、こちらへどうぞ」
「手を離してください。話も聞いて!」
というのが、そもそものきっかけ。
嘆き悲しんでいる妖精から、どこかで聞いたことがある話に耳を傾けたのが間違いだった。
☆ ☆ ☆
わたしは愛竜に騎乗して、森の中で狩りをしていた。七色の背を持つ鹿を夢中になって追いかけていたところ、いつの間にか国境を越えてしまい、深い森の中で愛竜と迷子になってしまった。
鹿も狩れなかったし、愛竜は腹ぺこで歩いてくれない。ほとほと困り果てて、わたしは食べるものを探しにさらに森の奥へと足を踏み入れた。
わたしの身になにがあったかを、ここからはダイジェストで語るとしよう。
迷子になった森の奥で神秘的な雰囲気の泉を見つけた。水を汲んでいると、対岸で美しい妖精たちがさめざめと泣いているのを見かけた。
めったに姿を見せない妖精が悲嘆にくれていた理由が気になった。騎士でなくとも、強き者は弱者とご婦人には優しくするのがこの世界の暗黙の了解だ。
涙の理由を聞いていたら強引に誘われて、見知らぬ人の葬儀に参加することになった。のだけど、男性用の魔導衣をしっかり着込んでいたわたしを男だと勘違いしていたみたいで、葬儀に向かう途中だってのに、ふたりの美女妖精から魔導衣をひん剥かれそうになった。
妖精じゃなくて、女淫魔じゃないの?
幻覚魔法で貞操の危機から脱出したわたしは、リーダー格の美女妖精(以下リーダー)に文句を言ってやろうとした。
泉のほとりで静かに悲しんでいる姿を見たら、文句が全部スッと引っ込んだ。さすがにここで文句を言えるメンタルを持ち合わせてない。
慈愛深く涙を流していた美しいリーダーは、わたしを見ると魔法で出した青いバラを差し向けた。
「剣士さま。どうか、お花をあげてください」
葬儀の中心人物は、美しいガラスの棺のなかで青バラの供花に囲まれていた。
そして、わたしはピーンときた。
──あっ、これ、白雪姫の逆パターンだ、と。
0
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる