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第一、戦争の日常化
本日、水曜日
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ジリリリリリ
今日の終了の合図がなった
真夜中に比べほんの少し空が白くなり朝になったというのがわかる。それに少し幻想的だ
あたりが血で覆われていなければの話だが
木の上に一人のシルエットが見える。木の上に立ちスマホを弄っている
「次回は金曜。天気は晴れ。絶好の戦争日和になるでしょう」
誰かに聞こえるように大きく、しかし怒鳴らずに伝えるように言うこの人物
名前は知らない。しかし周りには「黒」と呼ばれている
四年連続、このゲームに参加し続けてるいるベテランとも言える。しかしこうともとれる
「逃げ回り続ける、卑怯者」
基本はそう呼ばれていた。勿論俺もこのゲームが始まるまでそう呼んでいた
けれど、違った。本当に彼はベテランだった
相手を倒すこと?まさか
彼が得意なのは
生きることだ
黒を見つめるとこちらへやってきた。そして地面に這いつくばる俺を上から見下ろした
ここは戦場だ。いくら終了の合図があったとしても監視役なんていない。現在39歳、嫁も子供もいない。両親よりも早くに死ぬのかと、もう諦めた。
黒がやってきたからではない。俺の右手の親指がないからだ。俺が今参加していたのは戦争ゲーム。そう、相手に切り取られたんだ。
ここは日本なのかさえ怪しい場所。わかりやすく言うならジャングル・森と言ったところだろう。そう、こんな場所に医者などいない
諦めた。もう死なせてくれ。そう思い瞼を閉じた
バッシャン!
水音が聞こえた。黒がオレに向かって冷水をぶっかけたのだ。冷たい。ショック死する。
「あぁ、よかった。まだ死ぬのが怖いんだ。なら助けてやるよ。まぁ生き延びたらまた金曜に同じ目にあうけどな」
そう、黒は言い俺のみ腕を引っ張り立ち上がらせた。手程ではないが足も怪我して動かない。引きずられる
「へーきだ、おっさん。その程度なら死なねぇよ。だから生きろよ、俺が救った命で、自分で守った命だろ」
気がついたら俺は意識をなくし、起きたときは手当も施され自室で寝ていた。冷静になると痛みが体全体に迫ってきた。昨日は浴びた覚えもない電流の痛みも・・・
もう二度と、あの場所に行きたくない
あのゲームは、オンライン動画は本当に
「人が行っていた殺し合いだった」
そう思った瞬間、俺は無意識にマンションのベランダから飛び降りていた
・
あのおっさんせっかく医療部まで連れてってやったのに気失いやがって。マジで重たかった。何キロあんだか、あのメタボ
とにかく明日も部活だから早く寝ねぇと起きらんなくなる
俺はおっさんに肩を貸して引きずりながら最初の地点。このどこかもわからない島に入ったときの入り口がある扉へと向かった
・・・いつ見ても、なんで木に扉が埋め込まれてるのかわがわかんねぇ。んで、この扉の向こうが日本の本土に繋がってるのかも。
一本の長い廊下。あの暗く血の匂いしかしない島とは世界観が違う、無臭の綺麗で光にまみれた場所。数百メートル進むと左右に扉がついていて、左に入る
「すんません。このおっさん頼みます」
中には数十人の医者がいる。そしてその一人のおっさんがオレを見ながら苦笑した
「また君は残ったのかい?このあとどうなるかわかっているのに」
「すんませんけど、おれは人を殺すのが嫌いなんで。先にイスに座ってますわ」
俺だって殺すのも殺されるのも嫌いなんだよ、好きでこれに参加してるわけねぇじゃん
俺は部屋を出ると目の前にはいかつい黒服の外人が二人、そして肩をつかまれ前の扉へと連れて行かれる。いつものことだ。けれど本当に政府はこいつ等だけで俺を押さえられると思ってんのか?まぁいっか
「んで、今回も電気ショックか?」
外人たちは無言だ。一人は俺を高拘束器具の付いた椅子に座らせコード付きシールを体に張られる。もう一人は機械を操作して合図もなくスイッチを押された
全身が一気にしびれる。ビリビリと死ぬ一歩手前の量を全身に
この電流を受け続けて3年。もう慣れた痛みだ。痛いことには変わりないけどな。黒服に悟らされたら終いだ
これは引き分けになった罰だ。本来なら引き分けは御法度だから罰を下される
一分程耐えて、そのまま解放される
早く、早く家に帰ろう。明日も部活だ
家に帰って、シャワー浴びて、服洗って、野球の準備して寝よう。どうせ寝れるのは2時間程度なのはわかってる
でも、二時間チャージって結構需要なんだ
早く
早くこんな戦争終わればいいのに
あぁ、表の人間がうらやましい
一般人がうらやましい
この戦争をただの「オンライン動画」で済ませるんだ。本当にうらやましい・・・
今日の終了の合図がなった
真夜中に比べほんの少し空が白くなり朝になったというのがわかる。それに少し幻想的だ
あたりが血で覆われていなければの話だが
木の上に一人のシルエットが見える。木の上に立ちスマホを弄っている
「次回は金曜。天気は晴れ。絶好の戦争日和になるでしょう」
誰かに聞こえるように大きく、しかし怒鳴らずに伝えるように言うこの人物
名前は知らない。しかし周りには「黒」と呼ばれている
四年連続、このゲームに参加し続けてるいるベテランとも言える。しかしこうともとれる
「逃げ回り続ける、卑怯者」
基本はそう呼ばれていた。勿論俺もこのゲームが始まるまでそう呼んでいた
けれど、違った。本当に彼はベテランだった
相手を倒すこと?まさか
彼が得意なのは
生きることだ
黒を見つめるとこちらへやってきた。そして地面に這いつくばる俺を上から見下ろした
ここは戦場だ。いくら終了の合図があったとしても監視役なんていない。現在39歳、嫁も子供もいない。両親よりも早くに死ぬのかと、もう諦めた。
黒がやってきたからではない。俺の右手の親指がないからだ。俺が今参加していたのは戦争ゲーム。そう、相手に切り取られたんだ。
ここは日本なのかさえ怪しい場所。わかりやすく言うならジャングル・森と言ったところだろう。そう、こんな場所に医者などいない
諦めた。もう死なせてくれ。そう思い瞼を閉じた
バッシャン!
水音が聞こえた。黒がオレに向かって冷水をぶっかけたのだ。冷たい。ショック死する。
「あぁ、よかった。まだ死ぬのが怖いんだ。なら助けてやるよ。まぁ生き延びたらまた金曜に同じ目にあうけどな」
そう、黒は言い俺のみ腕を引っ張り立ち上がらせた。手程ではないが足も怪我して動かない。引きずられる
「へーきだ、おっさん。その程度なら死なねぇよ。だから生きろよ、俺が救った命で、自分で守った命だろ」
気がついたら俺は意識をなくし、起きたときは手当も施され自室で寝ていた。冷静になると痛みが体全体に迫ってきた。昨日は浴びた覚えもない電流の痛みも・・・
もう二度と、あの場所に行きたくない
あのゲームは、オンライン動画は本当に
「人が行っていた殺し合いだった」
そう思った瞬間、俺は無意識にマンションのベランダから飛び降りていた
・
あのおっさんせっかく医療部まで連れてってやったのに気失いやがって。マジで重たかった。何キロあんだか、あのメタボ
とにかく明日も部活だから早く寝ねぇと起きらんなくなる
俺はおっさんに肩を貸して引きずりながら最初の地点。このどこかもわからない島に入ったときの入り口がある扉へと向かった
・・・いつ見ても、なんで木に扉が埋め込まれてるのかわがわかんねぇ。んで、この扉の向こうが日本の本土に繋がってるのかも。
一本の長い廊下。あの暗く血の匂いしかしない島とは世界観が違う、無臭の綺麗で光にまみれた場所。数百メートル進むと左右に扉がついていて、左に入る
「すんません。このおっさん頼みます」
中には数十人の医者がいる。そしてその一人のおっさんがオレを見ながら苦笑した
「また君は残ったのかい?このあとどうなるかわかっているのに」
「すんませんけど、おれは人を殺すのが嫌いなんで。先にイスに座ってますわ」
俺だって殺すのも殺されるのも嫌いなんだよ、好きでこれに参加してるわけねぇじゃん
俺は部屋を出ると目の前にはいかつい黒服の外人が二人、そして肩をつかまれ前の扉へと連れて行かれる。いつものことだ。けれど本当に政府はこいつ等だけで俺を押さえられると思ってんのか?まぁいっか
「んで、今回も電気ショックか?」
外人たちは無言だ。一人は俺を高拘束器具の付いた椅子に座らせコード付きシールを体に張られる。もう一人は機械を操作して合図もなくスイッチを押された
全身が一気にしびれる。ビリビリと死ぬ一歩手前の量を全身に
この電流を受け続けて3年。もう慣れた痛みだ。痛いことには変わりないけどな。黒服に悟らされたら終いだ
これは引き分けになった罰だ。本来なら引き分けは御法度だから罰を下される
一分程耐えて、そのまま解放される
早く、早く家に帰ろう。明日も部活だ
家に帰って、シャワー浴びて、服洗って、野球の準備して寝よう。どうせ寝れるのは2時間程度なのはわかってる
でも、二時間チャージって結構需要なんだ
早く
早くこんな戦争終わればいいのに
あぁ、表の人間がうらやましい
一般人がうらやましい
この戦争をただの「オンライン動画」で済ませるんだ。本当にうらやましい・・・
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