明日は快晴の戦争日和です

ひのや

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第一、戦争の日常化

現在、野球部レギュラー

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ピピピピピガチャン!

「あ、やべ」

また目覚まし時計壊した・・・さらば、193代目。これだからどうしてもスマホのアラーム使えねぇんだよな。朝は力の加減ができないから仕方ない
今は・・・五時半。朝練開始まであと1時間。朝飯は買っていこ。昼は購買でいいし、夕飯は帰りにスーパーで買ってそろそろ作り置きなくなるし
「そーいや香水も切れてたな」
こんなモンつけたくねぇけど血の匂い誤魔化さないといけねぇしッてヤベ!早めにいかねぇと朝飯買えなくなる

俺に朝飯を作ってくれる親はいない。あぁ死んだとかじゃなくて実家にいる。俺の親は一方的に俺を嫌っている、理由は知らない。収入源はゲームだけ
 俺をあのゲームに参加させたのも親。まぁゲームで助けたやつが金持ちで俺を結構まもってくれるおかげで俺の親が必要なときはその人が代わってくれるからありがたい。その人のおかげで俺はここに住めている
「行ってらっしゃいませ、青川様」
「毎朝ありがとうございます。行ってきます」
 このマンションの管理人さんに挨拶してマンションを出る。七十階もある大きなマンションの六十五階から七十階はフロアごとが一室になっている。俺はその七十階に住んでいる
 俺の親代わりの人がこのマンションの持ち主で俺に一室くれた・・・。借りたんじゃない、くれたんだ。外見は高級感あふれている、つまり高級マンション。それで俺はここに合うようにと野球のユニフォームやジャージでは絶対に帰ってこないようにしている。手間は一つ増えるけど親代わりの皆本さんに迷惑がかからないようにした方が絶対にいい


 セーフ、まだだれもきてねぇな
 ジャージじゃないの追求されたら面倒だから仕方なくみんなよりも早く来る。影で制服を脱いでジャージに着替えた。グランドに向かうと俺以外にもポロポロ集まっていた。ここにいるのは全員寮生で、家組は少ない。百人近くいるうちの野球部は寮がある。基本はみんな寮生だから十五人ぐらいしか家組はいないと思う
「青川はよー」
「はよ」
「お前いつも早いよな。そんなに家遠いわけ?」
「徒歩九百秒」
「げ」
 こんな単純な計算を指を使って計算しているのはA野。こんなバカでも一応捕手で一軍控えメンバー。野球をするときだけは目つきも表情も変わって頭の回転が速くなる
「徒歩十五分だよ」
「Q山教えるなよ」
「そしたらこいつ授業に集中できなくなってテストのとき疲れるの君だよ」
「あざっした」
Q山も一軍の控えで、俺たち三人は去年も同じクラスで他のやつよりもこの三人でつるむことが多い部活が始まったらそんなの関係なくなるけどな。俺は三塁手、A野は捕手、Q山はショート。俺も控えと言っても一年から一軍に入っている、一応実力者だ。

 朝練が始まった。部員全員でのランニングで俺は主将の隣で先頭を走る。四年前野球を始めたときと同時にゲームも始まったんだ。同じ時期からやってる奴らよりも早く走れる自信がある。何たって今年の体力テスト全学年総合一位を取った。種目別でも長距離と長座大前屈は全校一位を取ってる。体の柔らかいと有名な女子の先輩方を抑えブッチギリの一位をとった
 話しはずれたけど、陸上の長距離選手よりも早いから先頭でペースアップと声だしを一年のときから任されている。まぁそこまで本気で走ると誰も付いてこれないから俺からしたら少しペースダウンして走っている

 朝練も終了し、俺は朝飯のパンを食いながら着替え終えA野とQ山が着替え終わるのを待つ
「お前本当に着替えるの早いな、嫌みなくらいに!」
「まぁ俺の特技の一つだからな」
「きみの特技ってろくなものないよね」
「持久走と体柔らかいのと早着替え」
「まともなの一つだけじゃん」
「特訓でもしてんのか?」
「いや、(ゲームに遅刻しそうなときが多くて今以上の早さで着替えてるだけだから)してない」
 マジで、部活長引いたときとかやばい。ホント、入り口の前に付いたのが三分前とかあったし遅刻したら問答無用で殺されるのみたことある。あんなのイヤだ
 すると急に背後に気配が現れた。A野が笑っている。どうせ誰かが驚かそうとしているのがバレバレだ。息を吸う音が聞こえる
「おらぁ!!早く教室に行け!!」
 耳元で怒鳴られる予定だった。まぁわかってたからしたによけた。振り向くとE沢先輩がにやにや笑っていて、横山 稔先輩はつまらなそうな顔だった。
「鼓膜破れそうでしたよ、E沢先輩」
 頭に?を浮かべる先輩。どうして冷静に対処されたかがわからないらしい。もっとオーバーリアクションを期待感していたみたいだ
「E沢、こいつ避けたから大声出すのばれてたよ」
「避けるなよ、つまらねぇな」
「人で遊ばないでください」
 けっこーゴツイ顔のE沢先輩が文句を言ってくる。鼓膜破れたら野球できないしゲームも参加しづらくなるからそんなへましないに決まってるでしょ
「青川、おまえ今日の動き鈍かったね。また腰やったわけ?」
「いや、(電気ショックだけだったので)どこにもぶつけてませんよ。それに重いものも(引きずったので)持ってませんよ」
 横山先輩は俺の怪我やら体調不良によく気づく。だからいつもゲームの怪我を隠すのがムズイ。それだけ周りをよく見てるって証拠だけど
「A野、Q山」
「階段から落ちて受け身取ってました!」
「引き戸を押して通ろうとして頭ぶつけてました」
 こいつら俺を売りやがったな・・・!
「青川」
「っんませんした!!」

 この人怒らせるとめんどくさいんだよな。めっちゃ怖いし、表情って言うか後のお仕置きが。怪我のこと監督に言われたりとかされるし・・・怪我なんてゲームでなれたのに

 予鈴のチャイムによって俺は救われた


 午前中は基本寝てるか次のゲームに向けてちょいと作戦を練るか。まぁたまにまじめに授業を聞くときもあるけど。今日は一日寝て指されたら答えてを繰り返して昼休みになった
「俺今日は弁当買ってくるわ」
「いってら」
 死んでるA野を無視してQ山に声をかけて飯を買いに行った。戻ってきたときにはA野は回復してて先に食ってた
「そーいや今日だな、この地域のASWaアスワ
 ・・・やっぱしその話か。確かにこの地区は今日が放送日だった

Area・Scramble・Warエリア・スクランブル・ワァ 
通称ASWaアスワ
 参加者日本の国土を各県が、地域が奪い合うゲーム。参加者不明、参加資格不明、参加方法不明。唯一できるのは観戦のみのオンラインゲーム。見ることしかできないからオンライン動画とも呼ばれる
 地区ごとに週三で開催されるこの戦争は社会現象と呼べるほど世間が注目するゲームだ
 デフォルメされたアバター同士で殺し合い、生き残りを求めるこの戦争は悔しいことに全国大会まで存在する。世間は途中までしか観戦できないが翌日に結果が公開される

世間一般的には普通のオンラインゲームだ

俺は真実を知っている。なぜなら、俺はこの参加不可能なゲームのプレイヤーに選ばれた凶運の持ち主だから

「あれってマジで生身の人間がやってるって噂知ってるか?」
「ムリでしょ。戦争して勝った方が本当に他県を侵略できるなんてまず国や政府が認めないよ」
「そこら辺じゃなくて、戦争がオンラインの中じゃなくてあれリアルタイムのライブだって話」
「あんなに動る人間がいると思う?しかも目が大きすぎるし身長も低い」
「青川はマジだと思うか?」
「・・・あれが生身とか考えられるわけないだろ」
 
あぁ、俺はまた。うそを付いた


あれは本当に、生身の人間がやっているんだ

嘘じゃない。みんなああの戦争ゲームASWaのプレイヤーを捜してるけどこんなにすぐ近くにいるじゃないか

地区は別でも、俺は昨日あのゲームせんそうをしてきたんだ

あれは地獄だ

頼むから、参加したいなんて言うな。言わないでくれ・・・!


「青川?おまえマジで体調悪いのか?」
「保健室でも行く?」
「・・・大丈夫、ちょっと光ががまぶしかっただけだ」


日光の太陽じゃない

おまえ等の楽しんでいるその姿が

マジで憎かっただけなんだ
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