竜とRPGと乙女と

紙縞コウキ

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はじまりはじまり。

ラノベの展開ですか?

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 結論から言うと、何もなかった。
 いやあるにはあったのだが。

「お前は、私に恥をかかせおって!」
 大袈裟な程の剣幕で娘を怒鳴る男。
 見せしめのようなそれに、リンフィス達は不快感を覚えた。

 そもそもダンジョンというのは明かりが無ければ暗いしネズミも虫も出る。衛生観念の高いリンフィスはそれらを絶対に寄せ付けないように障壁を常時展開しているから平気に見えるだけだ。
 そんな場所に子供、しかも大半が甘やかされている貴族の子供だ、長時間耐えられるはずもなく。
 リンフィス達を除けば最長で10分、よく保ったと思う。

「ええい、折角のチャンスを不意にしおって! あの程度簡単だろう!」
「ならばお前が証明して来い」
 その男をダンジョンに蹴り込んだのは、我等が竜皇帝陛下だった。

「伯父様、ぐっじょぶ」
「良い感じに蹴り入ったね」
 入口前で腕を組み仁王立ちするその後ろをささっと通り、怒鳴られていた少女を保護する。
「大丈夫?」
「は、はい」
 ドレスの裾をぎゅっと強く握り泣くまいとする少女の頭をリンフィスは撫でる。
 ちなみに男は叫びながら直ぐに飛び出てきた。

「大口叩いておきながらお前30秒も保たないじゃないか。娘の方は5分以上保ったというのに」
「ぐっ、それは」
 男の口先だけの情けなさに周囲から失笑が漏れる。
 一部の大人達を見ながら同類のくせに笑うなよ、と内心口悪く思っていると、
「不公平が生じないようお前ら親も行ってこい」
 と命令が下された。伯父様、ぐっじょぶ。

「あんなのが当主って大変そう」
「あ、いえ。あの人は」
「当主じゃない?」
「はい」
 聞くと、当主は彼女の父で半年前に事故で亡くなったそう。母君も。
 そしてあの男は当主の弟らしい。
「らしいって、貴女は知らなかったのね?」
「はい。葬儀の時に祖父に怒鳴られているのを見て初めて知りました」
 その祖父もひと月前に病気で亡くなったのだとか。
「そいつが何であんなに偉そうなんだ」
「次期当主は貴女で間違いないのよね」
「はい」

 もしかして、当主夫妻を失った家に自分が次の当主だと無理矢理押し入ってきたとかいうラノベ展開だったりする?
 事故とか病気とか怪しい感じだったりする?

「アスタ」
「直ぐに」

 令嬢は突然現れたり消えたりする執事姿の男に驚いていたが些細なことだ。
 彼女はそのまま王城に保護された。





「ドラグナー皇国では特に高位貴族はダンジョンに挑むべく冒険者登録するって言ったら、娘を売り込んでくる人間が面白い程に減ったぞ」
「竜族に脳筋多いことは知っていてもそこまでとは思わなかったのかな?」
「高位貴族は頭の良い脳筋が多いんだぞ」

 命令でダンジョン体験する羽目になった大人達は、挙って大人しくなった。
 暴君だと言う声も上がったが、話を聞いて羨ましがる竜族ばかりであっという間に消えた。
 ついでに騎士を目指す少年達も増えたらしい。

 そして例の令嬢の家。アトレ王国の王家が正式な後見人を付けました。
 アトレの貴族である以上はその方が良い。
 加えて夫妻の事故も前当主の病気も、あの弟とかいう男が画策したことがアスタの集めた証拠で確定した。
 うん、人外ならではの情報も入ってたとか。ヤトが絶賛してた。
 彼女とはお友達になった。


「冒険者の査定は後日にやり直しが正式に決まったって聞いた」
「あれでは査定なんて無理だろ」

 初心者用のダンジョンは、実は二種類ある。
 ひとつは先日のような、距離が短くて騎士見習いの訓練に使われるようなダンジョン。
 もうひとつは、入り口はひとつだけど個人の技量に合わせて勝手にルートが決まるダンジョン。
 見分け方は、ダンジョンボスが在るかどうか、である。

 今回の冒険者ギルドの査定は、ダンジョンボスが存在する初心者用ダンジョンである。
 其処のダンジョンコア及びダンジョンマスターはエルガ話をつけてくれた。
 本当、何でも有りだな古代竜。




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