話し相手

糸子(イトコ)

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相談

見守る仕事

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「ーっ!あのクソ兄貴!クソっ!」
…バー…か…なんか飲みたくなってきた。マスターいるだろうし、話聞いてもらお。

理解できる理解しがたいこと
「いらっしゃいませ。」
黒髪ロングなマスターか。俺の推しも黒髪ロングなんだよな~。
「あらいらっしゃい。」
先客もいるな。
「こんにちは…」
「まぁそうお気をつけず、楽でいいんですよ。」
「あぁ…ありがとうございます…」
なんか、雰囲気いいな。
「私は気にしなくていいわよ~。」
いやちょっと気になるだろ。
「何にいたしましょう?」
つっても俺もカクテルとかそういうの知らないんだよな~
「あー…おすすめでいいです…」
これが一番困るんだろうな~!
「ふむ…そうですね。少々お待ち下さい。」
ま、流石に用意してるか。
「あなた、悩み事でもある~?」
「え?」
急に話しかけられた!
「あー…まぁ。」
「やっぱり~?このマスター、すごいわよぉ。ある程度の悩みなら~、すぐ解決してくれるの~。」
「へぇ~…」
解決ね~。
「お待たせしました。名付けるなら、「理解の器」でしょうか。」
理解の器?
「あら~それ~?そういう悩みなのね~。」
そういう悩み?これが出ただけでわかるのか?
「これ~、前は「理解の鏡」とかじゃなかった~?」
「そうでしたか?」
「そうよ~。たぶん。」
雑だな…
「まぁ一口飲んで見てください。今の悩みが見えるはずです。」
「わかりました…」
ホントかな~?
「それ、すごいわよぉ~。」

兄貴?また変なアニメ見てんな。
「あなたの悩みとは、なんですか?」
(おいおい、またそんなアニメ見てんの?)
「…あっと…兄貴に…」
(別にいいじゃねぇか。お前と同じようなもんだろ。)
「妙なラブコメアニメ見てんじゃねぇよって…」
(んだと!そんな面白くもねぇギャグアニメより良いから!)
「ケンカになった…」
(お前の見てるラブコメなんか、よくわからんキモいこと言って、なんかしらんけどいい感じみたいな…よくわからん!)
「俺も…変なコメディアニメ見てる兄貴を…」
(そっちだってつまらん上にストーリーもクソ!そんなもん見るくらいならこっち見ろよ。)
「罵ってしまった…」
(ふざけんのも大概にしろよ!)
「お互いを罵り…好きなものを罵り…」
(こっちのセリフだよ!)
「つかみ合いの大喧嘩…」
(あれ?)
「お互いに…」
((俺のテレビになんか映ってる…))
「好きなものを守りたかった…」
「頑固な人たちなのね~。」
((これは…))
「ふむ…」
((あいつが見てるアメニか…))
「つまるところ、自分たちの好き以外を理解できず、喧嘩になったと。」
(やっぱり面白くはないな。)
「…いや…そこじゃない…」
(こんなストーリーなのか。)
「俺は…」
(意外と奥深いキャラだな…)
「俺は…」
(一回ちゃんと見てみるか。)
「兄貴と、好きなもので話し合いたかった。」
「あらかわいい♡」
「左様ですか。」
は!指パッチン!
「どうしたいか、決まりましたか?」
「あー…えと…兄貴の好きなものも、見てみようと思う。兄貴にも、俺の好きなものを見てみてほしい。相談してみるよ。」
「良かったわ~。仲直り、してちょうだいね?」
「ええ。ありがとうございます。なんか、元気出てきました!早速読んで来ます!」
「あら~もう帰っちゃうの?」
「また来ます!ありがとうございました!」
「解決したなら、良かったです。それでは。」
「あの子、きっと正解は見つけてたよね~。」
「ええ。やっとその正解を持てるようになったのです。仲直りしてほしいですね。」
「あっ、20円のお釣りが…」
「また来ますと…言っていましたよね…」
「渡しておかなきゃじゃ…」
「まぁ、いいですよ。」
「あらそう。」
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