話し相手

店長の休憩

迷い子

「あー…なんていうか…」
店長は朝、開店の1時間前にある生き物を見つけた。
「なんで…」

炊き肉野菜(ペット用)
「なんでよりにもよってハリネズミなの～？」
店長は少しため息を出していた。
ハリネズミは気にすることなく店の中を探検する気満々だった。
鼻を動かし、歩き回ろうとした。
店長はそんなハリネズミを抱き上げた。
「警戒心の無さ。野生ではなさそうね。」
ハリネズミは、ここから出たいよ～！と言わんばかりに暴れまくる。
「あ！ちょっと！もう…」
店員もひとりやってきた。
「店長どうしたんですか？」
「あぁ…この子どうしましょう？」
「ハリネズミ！かわいい～！どこにいたんですか？」
「入口前で寝てて、今起きた。」
「へぇ～！」
ハリネズミは手の中でうじうじとうごいている。
「店長。ごはん、あげましょ？」
「うちにメニューはないよ。」
「じゃあ作りましょうよ！ペット用のご飯！」
「はぁ～…」
店長は大きなため息とともに、手を合わせ、大きめのケージを取り出した。
「とりあえずこの中に入れて、そのあと作りましょう。」
「はい！」
「あなた、おもちゃ渡すから、ハリネズミと遊んでなさい。」
「えっ？」
店長はハリネズミの入ったケージを店員に渡し、厨房へ行った。
「あっ！そうだ。あなた、あそこの角の席を6つくらいをペット可能席にするから。そこのどっかでハリネズミと遊んでて。」
「わかりました！」
店長は鶏肉、にんじん、キャベツ、イモを生み出し、刻んで炊飯器に入れ、水を加えて炊いた。
12分後
具材が柔くなったので、混ぜて平たく小さい皿にをもり、"特別な粉"をかけてハリネズミの下においた。
「おー！食べてる！可愛い～！」
「これ、食えるんだな。」
「知らずに与えたんですか？！」
「まぁ、体調を崩せばすぐ治すしとか思っている。」
「ちょっと店長ー！それはだめですよー！」
「こいつがうまそうに食って、その上健康ならいいんだよ。それに魔法製だから関係ないし。」
「そうですけど…」
「そうだな。このへんの席をペット可にして、ペット用の本来食べられないものを提供しよう。」
「まぁ…健康に害はないし、大丈夫か。」
ハリネズミは美味しそうに炊き肉野菜をきれいに食べた。
「寝た…」
「かんわいい～！」
「ほんとに僕の分身なの？君。」
「そのはずですよ？」
「まぁ、いいけどね。」
それから数日経過したが、ハリネズミの飼い主らしき人は現れず、捜索願もなかったため、お店の端で飼うことになった。