ようせいテレビ

昔懐かし怖いハナシ

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ある家庭。

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「こら、広義(こうき)。大人しくしてなさい。」
 朝から母に怒られるのは、七歳の男の子だった。
 広義はいつも朝に早く起き、リビングで遊んでいた。しかし、今日はどこか機嫌が悪いらしい。広義が起きた一時間後の九時に起きた母は、困っていた。
「ねえ。公園行こう。」
「今日はね、お母さん忙しいの。朝ごはんも作らなきゃ。」
「じゃあ、自転車は?」
「だめ。」
母はあくびをしながら、キッチンに立つ。広義は近くに来て、遊んでくれるように頼む。
 しかしいくら頼んでも母は、“いいよ”とは言わなかった。
「早く食べなさい。」
結局、朝ごはんを食べ終わっても母の気持ちは変わらなかった。
「今日はせっかくの日曜日だけど、広義は一人で遊んでて。ほら、好きなDVD、借りてきてあげたよ。今日は家で遊びなさい。」
母は、広義の好きなアニメの映画を借りてくれた。だが、広義は満足しなかった。
「明日、学校なんだよ。今日しかないんだよ。」
「お母さんは、二階で仕事しなきゃならないから、邪魔しないでね。」
そう言って、母は部屋に入り、スーツ姿に着替えた。広義は、部屋から出てくるのを待った。
 それから、部屋から出てきた母は、無邪気な明るい広義と違い、イライラしていた。そのため、広義を思わずにらんでしまった。それには、さすがに広義もひるんでしまった。
「大人しくしてなさいね。」
そう言い放つと、母は二階へと上がっていった。
「つまんない。あ~あ。つまんない。」
シーンと静かになったリビングに一人。その静けさが嫌だったので、広義はそう独り言を言った。
「携帯ゲームさせてくれないし、テレビ見るしかない。」
広義はオンラインゲームにハマっていたが、その機器は母が持っていってしまっていた。だから、結局テレビしかないのだった。
「何、やってるのかな。」
テレビをつけると、広義にとって意味がわからない番組がいくつもあった。この時間はアニメも終わってしまていて、テレビはナイカクソウリダイジンなんて難しい言葉を使っている。
「広義?」
二階から、母の声が聞こえてきた。
 広義は急いで、そして嬉しそうに階段を駆け上がっていった。いつもは一段一段丁寧にのぼるのだが、この時ばかりはつまずきそうになりながらも駆け足だった。
「あのね、明日も学校休みだってさ。」
「明日も学校、行けないのか。」
最近流行していた風邪の影響で学校も休みになっていて、外に出かけるということが少なくなっていた。だか、学校閉鎖を行ってもこれからもっと拡大するみたいだった。
 勉強が嫌いで学校が好きではない広義にとってもやはり、何でもいいから、友達にも会いたいしとにかく外に出たかった。
 広義はうんとだけ言い、一階へと降りていった。




 
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