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2第目、生活

9章 勝敗と

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 グルンは、交戦中だった。敵は、無言のまま、グルンを狙って光線を放ってきた。何本もの赤く細い光が、見たことのない早いスピードで、風を切ってグルンを追いかけていた。
「早い!!」
さっきの様子で、石での防御はすぐに破壊されて無理だ。だからといって、鉄鉱石など硬い物を使うにも、時間がかかり過ぎる。
 グルンは、地面に溶け込むようにして、消えていった。まるで、地面が、水のように。
 流石に、敵も戸惑っていた。顔をふることはしなかったが、瞳の先がグルンが立っていた所から離れない。
出てきたのは、敵の背後。グルンは肩を掴み、下に強く押した。すると、勢いよく敵が水に落ちるようにして、地面に吸い込まれていった。
 しかし、敵も負けずと両手を突き出し、光の龍を出した。これは流石に、予想外だった。グルンの顔に、直撃してしまった。でも、敵は地面の中に吸い込まれ、地下深くと落ちていった。
 落ちていく時敵は、力いっぱい体の周りから波動を出したが、削れた地面の面積は半径一メートルの円型だったが、それは陥没し、敵は埋もれてしまった。
 それが陥没するとき、グルンは倒れていた。
 静寂な場となっていた。残ったのは、激しい戦場と化した、土がえぐれた地面。そして、粉々に砕かれた石の破片。木は風に揺られて、カサカサと葉の音がするだけだった。
 誰も、どんな生き物も近寄ることはなかった。
 



    
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