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真実
最後は
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シュウの家を訪れたヤマト、リンリンとチャイムを押すがヤマトは出なかった。一度、ドアノブを回すとガチャッとドアが開いた。
「あれ、シュウ鍵かけ忘れているな。」
ヤマトは玄関を見ると、リンの青いスーツケースがあった。どうやら、二人は一緒に出掛けているらしかった。
「あいつ、また一人旅出かけに行くのか。女の子のバックって何が入っているのか、ちょっとだけ見てみよ。」
ヤマトはチャックを興味本位で開けてみた。すると、そこにはわこが縛られて死んでいた。
「ま、まさか、あいつ。」
ヤマトはすぐさまシュウに電話をかけた。
「・・もしもし。シュウ、今すぐ帰ってこい。」
「え?なんで。」
「いいから、早く。そこにリンもいるんだろ?」
「ま、いるけど。」
「一人で帰ってこい。」
「・・うん、分かった。」
そう言うとシュウは電話をきった。
ヤマトは帰ってくる間、中で待っていることにした。まず、洗面所へ行った。
「あれシュウ、あそこにあったカメラ取り外したんだ。なんのカメラだったんだろ。」
ヤマトは朝送られてきたシュウの情報と、以前体験したことを思い出し考えた。すると、なんだかあの女の正体が分かったようだった。
「あの女、もしかして殺されたわこだったんじゃ。さっき見たわこは、紐で縛られていたし髪も伸びていた。シュウがみた女とそっくり。
そういえば、女の声は夜泣石の中から聞こえてきた。それってわこが、どこかに閉じ込められていたからじゃ。
それに、女は『見つけた』って言ってたな。昨日は、『来るな』と。それは、シュウがリンに狙われているのを知っていたわこが霊になった今でも、シュウをリンから守るために探していたからだった。
あと、昨日の夜『リンリン』と言ってたらしいな。あれは、チャイム音じゃなくリンのこと言ってたんだ。」
そう考えると、ヤマトはぞっとした。リンはシュウのことが好きなために、異常な行動をするようなヤツだったことに気がついた。
すると、玄関のドアがギ~ッと開いた。
「ヤマト、いる?」
「リン、か。シュウは?」
「今から朝ごはん食べに行こうとしたんだけどなぁ。ねえ、どこまで知ってる?」
「な、なにがだよ。ただ、俺もあいつと予定あったからさ、呼び戻そうとしたんだ。」
「ふーん、私より大事だったんだ。ねえ、洗面所のカメラ、知ってるでしょ。だってカメラの方見てたから。」
「し、知らないよ。」
「ウソ、でしょ、全部見てたから知ってるの。私ね、シュウに告白したの。そしたら、シュウも大好きだって言ってくれたの。だから、私を邪魔するとあの子みたいになるよ。」
そう言ってリンはスマホを見せた。ヤマトはそれを見ると驚いた。
「そ、それ、さっきの。」
ヤマトがシュウの部屋に入り、スーツケースの中身を見ていた動画だった。
するとリンはスマホを落とし、ポケットの中から手袋を取り出しはめた。ヤマトは、すぐにヤマトへ電話をかけた。
「助けて、アイ・・」
しかし、リンは最後まで言わせてくれなかった。すぐに取り上げられ、電話をきられた。
「邪魔しないでって言ったよね。」
「お、落ち着けって。シュウには言わないって約束するから、近づくな。」
リンから離れるが、リビングまで追い詰められた。リンは無表情なはずなのにどこか笑っているように思えた。
「分かってる、シュウの友達だもん。だから、今度は絶対殺さないからさ、大人しくしておくだけでいいの。」
そう言ってリンは、ヤマトを掴み倒した。長いスカートをはいていたはずなのに、俊敏な動きで捕まえたのだった。リンはバレー部だったため力も強かった。
「ちょっと眠ってて、起きたらまた話そ。」
布で口を押えられ、意識がなくなった。薬品のツンとした匂いが最後の感覚だった。
「ヤマトは分かってくれるよね、きっと。」
すると突然、部屋中にわこの悲鳴が響いてきた。これにはリンは驚いた。
「わ、こ?まさかね、はずがない。」
きょろきょろと見渡すと、部屋の片隅に大きな石があった。悲鳴はその石からだった。
「夜泣石、なんでここに。」
その石は小刻みに震え、次第にヒビが大きくなっていた。その時、同時にスーツケースのファスナーも開き始めていた。
「え、なに、なにこれ。」
リンは恐怖で腰をぬかし倒れた。その光景を見ると、急に後悔と恐怖で涙が止まらなくなった。
「わこ、ごめん。シュウが好きすぎて周りが見えなくなったの、ごめん、ごめん・・」
ひたすら謝った。だが、
「リン、リン、リン、・・・」
と怒ったような声が響いた。
石は真っ二つになり、その中から顔が黒い長い髪で隠れ、がりがりに痩せたわこが出てきた。リンはそれを見ると、
「あ、アア、あ・・」
まともな声が出なかった。すると、玄関にあったスーツケースはいつの間にか背後に移動していた。そして、中から薄黒い手が出てきてリンをスーツケースの中に閉じ込めると、ファスナーが閉じた。中からリンの悲鳴が聞こえたが、すぐにその声は消えた。
「だ、大丈夫か。」
その時、シュウは息をきらせて帰ってきた。部屋の中を見ると、変わり果ててたわこが立っていた。
「わ、こ?」
しかし、わこは優しい表情でシュウを見ると、ばっと消えた。一瞬だけ見えたあの顔は、元気だったころの大好きなわこの顔だった。ピンクの、『大好き』と言っていたように思えた。
しかしシュウは、その時わこが悪い人だったとは到底思うことができなかった。むしろ、わこの守りたい相手がシュウだったのではないかと思った。
そこに残ったのは、青いスーツケースと倒れたヤマトだけだった。
その事件の後、わこはリンの家から発見された。監禁されていたらしく、衰弱死だった。そのためヤマトが見たスーツケースの中は何も入っておらず、黒くなった血が付いていただけだった。それを見たと思ったリンは、ヤマトを襲ったらしい。
わこは最後まで優しかった。シュウがリンをスーツケースの中から発見したが、気絶していただけだった。わこはリンを殺さなかったのだ。
ヤマトは、シュウが来た時意識を取り戻した。そして、推測したことを話すとシュウはこれ以上ないくらい泣いた。好きになり始めた人の裏切り、わこが自分を見つけて欲しいという想いや真実を、伝えようとしたのに分かろうとしなかったこと。そして、愛した人が消えたことを。
このような悲しくて不思議な体験は二度としたくない。できることなら忘れたい。だけど、本当に守りたかったわこをずっと思い続けたい。それが、信じてあげれなかったわこへの弔いだから。少なくともシュウはそう思っている。
「あれ、シュウ鍵かけ忘れているな。」
ヤマトは玄関を見ると、リンの青いスーツケースがあった。どうやら、二人は一緒に出掛けているらしかった。
「あいつ、また一人旅出かけに行くのか。女の子のバックって何が入っているのか、ちょっとだけ見てみよ。」
ヤマトはチャックを興味本位で開けてみた。すると、そこにはわこが縛られて死んでいた。
「ま、まさか、あいつ。」
ヤマトはすぐさまシュウに電話をかけた。
「・・もしもし。シュウ、今すぐ帰ってこい。」
「え?なんで。」
「いいから、早く。そこにリンもいるんだろ?」
「ま、いるけど。」
「一人で帰ってこい。」
「・・うん、分かった。」
そう言うとシュウは電話をきった。
ヤマトは帰ってくる間、中で待っていることにした。まず、洗面所へ行った。
「あれシュウ、あそこにあったカメラ取り外したんだ。なんのカメラだったんだろ。」
ヤマトは朝送られてきたシュウの情報と、以前体験したことを思い出し考えた。すると、なんだかあの女の正体が分かったようだった。
「あの女、もしかして殺されたわこだったんじゃ。さっき見たわこは、紐で縛られていたし髪も伸びていた。シュウがみた女とそっくり。
そういえば、女の声は夜泣石の中から聞こえてきた。それってわこが、どこかに閉じ込められていたからじゃ。
それに、女は『見つけた』って言ってたな。昨日は、『来るな』と。それは、シュウがリンに狙われているのを知っていたわこが霊になった今でも、シュウをリンから守るために探していたからだった。
あと、昨日の夜『リンリン』と言ってたらしいな。あれは、チャイム音じゃなくリンのこと言ってたんだ。」
そう考えると、ヤマトはぞっとした。リンはシュウのことが好きなために、異常な行動をするようなヤツだったことに気がついた。
すると、玄関のドアがギ~ッと開いた。
「ヤマト、いる?」
「リン、か。シュウは?」
「今から朝ごはん食べに行こうとしたんだけどなぁ。ねえ、どこまで知ってる?」
「な、なにがだよ。ただ、俺もあいつと予定あったからさ、呼び戻そうとしたんだ。」
「ふーん、私より大事だったんだ。ねえ、洗面所のカメラ、知ってるでしょ。だってカメラの方見てたから。」
「し、知らないよ。」
「ウソ、でしょ、全部見てたから知ってるの。私ね、シュウに告白したの。そしたら、シュウも大好きだって言ってくれたの。だから、私を邪魔するとあの子みたいになるよ。」
そう言ってリンはスマホを見せた。ヤマトはそれを見ると驚いた。
「そ、それ、さっきの。」
ヤマトがシュウの部屋に入り、スーツケースの中身を見ていた動画だった。
するとリンはスマホを落とし、ポケットの中から手袋を取り出しはめた。ヤマトは、すぐにヤマトへ電話をかけた。
「助けて、アイ・・」
しかし、リンは最後まで言わせてくれなかった。すぐに取り上げられ、電話をきられた。
「邪魔しないでって言ったよね。」
「お、落ち着けって。シュウには言わないって約束するから、近づくな。」
リンから離れるが、リビングまで追い詰められた。リンは無表情なはずなのにどこか笑っているように思えた。
「分かってる、シュウの友達だもん。だから、今度は絶対殺さないからさ、大人しくしておくだけでいいの。」
そう言ってリンは、ヤマトを掴み倒した。長いスカートをはいていたはずなのに、俊敏な動きで捕まえたのだった。リンはバレー部だったため力も強かった。
「ちょっと眠ってて、起きたらまた話そ。」
布で口を押えられ、意識がなくなった。薬品のツンとした匂いが最後の感覚だった。
「ヤマトは分かってくれるよね、きっと。」
すると突然、部屋中にわこの悲鳴が響いてきた。これにはリンは驚いた。
「わ、こ?まさかね、はずがない。」
きょろきょろと見渡すと、部屋の片隅に大きな石があった。悲鳴はその石からだった。
「夜泣石、なんでここに。」
その石は小刻みに震え、次第にヒビが大きくなっていた。その時、同時にスーツケースのファスナーも開き始めていた。
「え、なに、なにこれ。」
リンは恐怖で腰をぬかし倒れた。その光景を見ると、急に後悔と恐怖で涙が止まらなくなった。
「わこ、ごめん。シュウが好きすぎて周りが見えなくなったの、ごめん、ごめん・・」
ひたすら謝った。だが、
「リン、リン、リン、・・・」
と怒ったような声が響いた。
石は真っ二つになり、その中から顔が黒い長い髪で隠れ、がりがりに痩せたわこが出てきた。リンはそれを見ると、
「あ、アア、あ・・」
まともな声が出なかった。すると、玄関にあったスーツケースはいつの間にか背後に移動していた。そして、中から薄黒い手が出てきてリンをスーツケースの中に閉じ込めると、ファスナーが閉じた。中からリンの悲鳴が聞こえたが、すぐにその声は消えた。
「だ、大丈夫か。」
その時、シュウは息をきらせて帰ってきた。部屋の中を見ると、変わり果ててたわこが立っていた。
「わ、こ?」
しかし、わこは優しい表情でシュウを見ると、ばっと消えた。一瞬だけ見えたあの顔は、元気だったころの大好きなわこの顔だった。ピンクの、『大好き』と言っていたように思えた。
しかしシュウは、その時わこが悪い人だったとは到底思うことができなかった。むしろ、わこの守りたい相手がシュウだったのではないかと思った。
そこに残ったのは、青いスーツケースと倒れたヤマトだけだった。
その事件の後、わこはリンの家から発見された。監禁されていたらしく、衰弱死だった。そのためヤマトが見たスーツケースの中は何も入っておらず、黒くなった血が付いていただけだった。それを見たと思ったリンは、ヤマトを襲ったらしい。
わこは最後まで優しかった。シュウがリンをスーツケースの中から発見したが、気絶していただけだった。わこはリンを殺さなかったのだ。
ヤマトは、シュウが来た時意識を取り戻した。そして、推測したことを話すとシュウはこれ以上ないくらい泣いた。好きになり始めた人の裏切り、わこが自分を見つけて欲しいという想いや真実を、伝えようとしたのに分かろうとしなかったこと。そして、愛した人が消えたことを。
このような悲しくて不思議な体験は二度としたくない。できることなら忘れたい。だけど、本当に守りたかったわこをずっと思い続けたい。それが、信じてあげれなかったわこへの弔いだから。少なくともシュウはそう思っている。
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