終セい紀

昔懐かし怖いハナシ

文字の大きさ
7 / 33

七話

しおりを挟む
 一日目、街の外へ出た。
 何もない荒野が、延々と続いていた。足腰が持たない。もともと、体力には自身があった、マルも怖くなった。
「この先…か?」
「もちろんだとも。この先しかないだろ。」
頭の中が、真っ白になった。まるで、道がこの先無くなったかのように。
 一歩進んだ。もう、帰りたい気持ちでいっぱいになった。なにせ、地面が動いていたのだ。何かいる。
「この旅は、自分の身は基本自分で守るようにしてくれ。助けられる時と、助けられない時もある。」
そして、右手には箱。左手には何やら、銃のような物が。
 銃は、何千年も前から進化し続けて来た、殺人道具。この時代も、所々ある。マルも壊れている銃を持っている。ただ、使ったことがない。
「急いで乗りな,いいな?」
「はい。」
 出来るだけ、詳しい事は聞かない事にした。帰りそうな気持ちになるからだ。
箱は、パタンと比較的静かに開いた。
 すると、二人分のスペースがある、乗り物が現れた。大きさはそこそこだけど、二人にとって十分だった。ドアはない。さっと乗れるし、さっと降りれる。
 タイヤもあり、重そうなエンジンが丸見え、そしてあまり新品とは言えないものだった。
 とはいえ、そんなに待っている暇はないので、すぐに乗った。
「運転できるか?そこのハンドルと、ボタンで動く。やってみろ。」
爺は、箱をポケットに入れながら、乗り込んだ。
 そう言われてもな。マルは困惑したが、意外と単純作業だった。すぐにマスター出来た。
「早く出せ。アイツラが来る。」
「アイツラって?」
マルは、乗り物を出した。随分スピードに乗ってきた所で、話しかけた。
 すると、砂山が動いている。いや、ここは。動物の住処だ。
「気づかれた。急げ。」
そして爺は、箱から丸い煙幕弾を取り出した。そして、投げた。あたり一面、白い煙に覆われた。
 マルは、頭、胴体、腹部に分かれていて、足が八本ある甲殻類に追われていた。
 煙で巻いても、足音が響いていた。しかし、意外と遠くからだ。
「まっすぐ、進め。」
すると、人形の影が荒野にぽつんとあった。
それは、三つだった。
 三人の男達。
 「助けてくれ。アイツラに追われているんだ。その乗り物に乗らせてくれ。」
しかし、一つ問題があった。
「この乗り物、二人までなんだ。」
爺は、もう諦め顔で言った。
「アイツラは集団だ。人の足じゃ到底かなわない。何か、道具はないか?」
「僕達は、食べ物しかない。どうにかしてくれ。」
彼らは、刃物を取り出した。錆びついていたが、全然切れそうだった。
「この手は使いたくなかった。」
彼らの手は、震えていた。どうやら、一人もやったコトない感じだった。
「僕達は、生きる。あの街へ生きて…」
すると、地面がぽっかり空いた。砂は、その穴へ、ザラザラと流れていく。彼らは巻き込まれた。
 マル達は、どうにかして脱出出来た。
「あんな人達、必死だったな。」
「世界には、もっとひどいやつもいる。あんな風に、人の物を奪って生きていたい人もいる。でも、なんか惨めじゃないか?僕は何回もこんな人達を見てきた。最後には、みんな死んでいったがな。」
後ろをちらっと見た。すると、アイツラも群がっていた。なんか、辞典で見た気がする。蟻だったかな…
「何百年も前のアイツラは、小さかった。ほんの一握りで潰せるぐらいのな。
 しかし、人があれに変えてしまった。
 どんな生き物だって、生きているのは変わらない。生き物全て、悩んで悩んで、そして一生懸命生きてるんだ。
 それに、アイツラは根から優しい生き物なんだ。恨まないでおくれよ。」
アイツラは、一つになった。いや、もともと一匹だったのだ。もしかしたら、実験でそんな能力を貰ったのかもしれない。
 しかし、追いつかれそうな距離にいるのにもかかわらず、彼はマル達を見ていた。最後まで。見てなくなるまで…
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

処理中です...