レスト:ランプ

昔懐かし怖いハナシ

文字の大きさ
上 下
5 / 18
初めてのお客

お客様は

しおりを挟む
 次の日、夢のような幸せな日になった。あの(夢)を信じ、宝くじを買った。もちろん、番号を自分で選ぶやつを。それは後に、1億円の価値のあるものだった。
 また、その日は休みの日のため映画館に行って、指示された数字の座席を選んだ。すると、その席の横には財布が落ちていた。これは流石に、映画館の人に届けた。すぐに、持ち主は見つかり、その人からお金をもらったりした。
 などなど、この数字がいろんな幸運を引きつけた。
 その夜、貰ったお金で久しぶりの豪華な夕食にありつけた。
 座った席は、一階の左から5番目、奥の壁から3番目の席を選んだ。それは、ラッキーナンバー153の席であったからだ。
 すると、女の人と仲良くなり、再び会う約束までした。
 男にとって、とても良い一日だったのだ。
 レストランから出たのは、3時間ころ経ったときだった。もう、十一過ぎて十二時になりかけていた。
 だが、男はそれを知っていてもう、その番号は使わないと誓った。散々幸せを感じて満足していたからだ。また、あの女主人の言葉を信じるようになっていたからだ。
 そのまま、道を歩いて帰った。その夜少し寒くなっていたが、レストランで温まっていたので、気分が上々だった。
 その時、飲酒運転の車がその人めがけて…


「あ~、そういう結果になってしまいましたか。幸運が訪れたときに、浮かれてしまうのが人間の特徴ですからね。やっぱり、幸運は危険ですね。掴むことに必死になり過ぎないようにしなければ…」
 そういう声が、乾いた風と共に聞こえてきた。だが、他の人には聞こえていなかった。本人にしか。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 その場所、1丁目53番地だった。


 しかし、その人はまだこの世から去ったという話は、聞いたことがない。
しおりを挟む

処理中です...