the She

ハヤミ

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その16~20

その18

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「昨日、アンタの鋏のことでちょっとあったじゃん?」
「ええ、あまり思い出したいことでは無いわね…。鋏のことを気持ち悪いだなんて…とてもショックだったわ…」
「…あん? 鋏を咥えてることを気持ち悪いって言われてショックだったんだよな?」
「? いいえ? むしろ、鋏を咥えていることを気持ち悪いと思うことは、当然のことだと私も思うわ」
「…えっ?」
「えっ?」
 アタシとコイツの話は、微妙な点において噛み合っていないようだ。
「常識的に考えて、鋏は咥える物ではないでしょう?」
「アンタに常識を問われる日が来るとは思わなんだ…。じゃ、じゃあ鋏を咥えてること自体を気持ち悪いと言われても…?」
「気分は良くないけれど、それこそ、いの一番に慣れたわ。私は“鋏そのもの”が気持ち悪いと言われたことにとてもショックを受けたのよ」
「………」
「…どうしたの? 何だかとても言いにくいことを抱えているように見えるけれど…」
「大正解だよ…。あの後、アンタが言った奴のところ行って話を着けてきたんだよ…。そしたら“鋏を咥えてる”ことが気持ち悪いんだって言ってたから、ちょっと軽く脅したっつぅかなんつぅか…」

「………そう、そうだったの! 鋏が気持ち悪いわけではなかったのね!」

 前に世界の文房具店へ行った時と同じくらい、目を輝かせ始めた。
「鋏を嫌いに想われていなくて本当に良かったわ! ああ、本当にそれだけが辛くて辛くて! ありがとう! やっぱり貴女が友人で本当に嬉しいわ!」
「おー…おう、どう致しまして…」
「聞き間違い、というか私の思い違いだったのね。ふふっ。そうと分かればむしろ私が悪かったわ、あんなに落ち込んでいたりして…。一言謝りに行こうかしら」
「いやっ! それは…やめといた方がいいかもな…」
「………貴女のことで謝っておいた方が良いかもしれないわね」
「ぅぐっ…!」
 昨日のことを思い出すと、恥ずかしさと申し訳なさで体が不愉快に熱くなる。

「けれども、本当に、本当にありがとう」

 アタシに向けてくれた笑顔は、本当に、晴れやかなものだった。
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