俺は受けにも総受けにもなりたくない!!

雪音

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「つまり俺は転生すんだな?」

「ああ。」

「あーね」

「………お前適応力の神か?」

「神が神か問いてどうすんだ」

大丈夫なのか??ほんとに
てか俺無条件で信じてるけど本当に神なんだよな?

「私はちゃんとした神だぞ?」

「ふぅ~ん?」
 
「信じてないな」

「急に表れた人(神)を誰が信じるってんだ」

「………」

黙るんじゃない。証拠がない状態で信じろって言われてもだな。
そんなことより、転生のことだ。
転生モノの小説はそこそこ読んできたつもりだが、自分がそれ体験をするとなると話は別。
それに新しく転生をするところの知識があまりにもない。
少しでも知っている世界だったら___

「知っている世界なら転生してもいいのか?」

「え?」

「今そう心でつぶやいていただろう。」

「いやまあ、そうだけど」

「なら話は早いな!!」

え?
返事をしようにも声を出す前に視界が横転する。


「精一杯、生きるのだ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


暖かい日差し。柔らかい毛布。

「奥様!生まれました!」
「見てください、男の子ですよ」
「旦那様とアルス様を呼んで参ります!!」

まるで医療現場のような言葉。奥様、とはあまり使わないが。
そして何も見えない。なんだこれは?
呼吸をしようとするとなぜか赤子のように泣いてしまう。
おぎゃあおぎゃあと大きく元気な声が部屋いっぱいに広がっていく。

「奥様にそっくりですね!」

「ふふっ…そうかしら」

わ、花みたいな綺麗な声。
でもなんか…会話が西洋の貴族様みたいだな。貴族みたいな言葉で話す人ってなかなかいないよな。
そして俺。なんと赤ちゃんだ。うまれたての。

「ルイス…私のルイス」

「セレーナ!ああ、セレーナ…!!」

「母上っ!!」

俺はセレーナと呼ばれた新たな自分の母親の横にそっと置かれる。

「よくやったセレーナ!!!」

「母上、母上!!」

なんとも騒がしい連中だ。まあそりゃあそうか。子供が生まれたんだもんな。
ふわあ、と欠伸をする。正直結構眠い。大学のつまらん教授の話を聞いてるときみたいだ。
俺、高校までしか生きてないけど。

「こら、二人ともお静かに」

そう母に一喝され二人は慌てて口を紡ぐ。
うーん、勢力が見てわかるようだ。この家のピラミッドの頂上にいるのは我が母、セレーナらしい。
それにしてもこんなに顔が整った家族はいないのではないか?
セレーナはライトブラウンの長いゆるくウェーブのかかった髪に透き通った夏の海のような碧眼。
アルスといったか。兄は紺に近い黒のようなサラサラヘア。そして深海のような深い青の目。
父親は名前がわからないがアルスと似ている。違うのは目の色だろうか。赤い目をした綺麗な人だ。
アルスと父親はよく似ている。違うのは目の色くらいだろう。
やさしい雰囲気をまとった二人だ。今までのを聞いている限り二人は本当にいい人なのだろう。

まあ俺はどんな見た目なのかまったくわからない。

「ルイス~、お父さんとお兄ちゃんよ~…まあ」

セレーナはっと息を呑む。なんだ、なにかあったか?
俺の顔に何かついているのか?

「あなた、見て!ルイス、とっても目が綺麗なの」

「おお、どれどれ……おお……」

「母上!ぼくにも見せてください!……わあ」

え、そんなに俺綺麗?親バカとかではなく?

「綺麗な目だな…セレーナに似たライトブラウンの髪に黄金に輝く二つの目」

「天使みたい……」

俺の目金色なの!?
そりゃ綺麗だわ……見たことないけど。わかんないけど。
まあこの遺伝子だ。顔が俺だけ悪かったら悲しいぞ。
目をぱちぱちさせて三人を見る。これから始まる俺の二度目の人生。
この家族とならうまくやっていけそうだ。
そう思い少しだけ口角が上がる。

「あらまあ、笑ってるわ!」

「なんて可愛いんだ……ッ!!!」

「母上は天使を産んだのですね!!」


…ちょっとこの人たちの先が気になってくるな。
大丈夫か?この溺愛っぷり。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

何日かが経った。それでわかったことが少しだけある。
この国はラグーダ王国というらしい。どこかで聞いた事のある国名だが、よく思い出せない。
でもあの自称神が言うにはこの世界は俺の知っている世界らしい。

いや、知らないが!!??

「ルイス」

お、兄ちゃんじゃん
きょうもイケメンだね~~!!

「ルイスは今日も天使みたい、いや天使だね」

イケメンなのにな…ブラコンだ。
これが残念なイケメンってことか?

「あう」

少しだがしゃべれるようにもなった。
まだあ行ぐらいしか言えないが。

「お兄ちゃんだよ~♡」

ほんと、残念なイケメンだ。



寝て、起きて、食べて、遊んで。
いつの日かは首が座り、またある日は自力で立った。
そんなこんなで五年がたった。

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