公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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42 公爵令嬢は父に交渉する

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「やあフラン、学童院はどうだ?
友達は出来たかい?」

「お父様、大切なお話があります。
お金をください。」

「…私の話を無視した上に、理由もなくいきなりお金をくれと言われて、出す気になると思うかい?」

「失礼致しました。
学童院は楽しく過ごせていますが、問題点が多いと思いました。」

「ほう、それはどういった所かね?」

「一つは、休憩時間が定まっていないことです。
子供達は授業が長引くにつれて集中力がなくなっていて、休憩時間が終わっても中々教室に帰ってきません。
なので、20分ごとに5分間の休憩を入れて、それを知らせる合図として鐘を鳴らすのはどうでしょうか。
人を雇って鐘を鳴らすでも良いですし、魔導具を作ってもらって設置するでも良いと思います。」

「成る程、問題点を見つけるだけでなく解決策まで思いついていたのか。
流石だな、フラン。」

「ただ、鐘を鳴らすにしても、鐘や半鐘台を設置したり人を雇う為のお金が必要ですし、魔導具になると恐らくもっとお金が掛かってしまいます。」

「だから金をくれと言っていたのか。」

「はい、ただ、それだけではありません。」

「他にも何かあるのか?」

「はい、もう一つ気付いたのは、給食についてです。
全体的に食事の量が少なく、栄養バランスも悪いです。
今が成長期の子供達には、そぐわない食事内容だと思いました。」

「それで、給食内容の改善にお金が必要だと。」

「はい。
ただ、この件については食事量を増やすだけではなく、自分たちで作物を育てる、所謂「食育」を教えていきたいと思っています。」

「学童院に畑を作ると言うのかね?」

「いいえ、学童院の敷地には限りがあり、全員分の給食分までは賄えません。」

「じゃあ、どうすると言うのかね?」

「花壇やプランター、植木鉢で小さな菜園を作り、ハーブや香辛料、香味野菜といった調味料の材料になる植物を作りたいと思っています。」

「ほぉ、香辛料をか。」

「はい、香辛料は元々高価なものなので、それを自分たちで補うことが出来れば、出費を抑えながら食事のバリエーションを増やす事が出来ます。
その為にも、プロの農家の方にご指導頂いたり、種や苗の購入、花壇やプランターの整備等初期費用などがかかります。
また、それだけでは食事量や栄養面ではまだまだ足りないので、肉やミルクを給食に増やして欲しいのです。」

「…成る程。
レイジの時はまだここまで学童院が馴染んでなかったから気が付かなかったが、フランは今、先生と生徒両方の目線で見た上でその問題点に気付いたという訳だな。」

「他にもきっとまだ問題点は多くあると思いますが、何せまだ2日しか学童院に通ってないもので。」

「うーむ、分かった。
早急に対応しよう。」

「ありがとうございます。」

「そこで一つ提案があるのだが。」

「何でしょうか。」

「半鐘台と鐘、お前作れない?」

「…言うと思ってましたが、そんな大きなものを私一人で作れと?」

「だって作れるでしょ?」

「設計書もなく、頑丈な半鐘台とよく響く鐘を作れると思いますか?」

「つまり、設計書があれば良いんだね?
よし、一刻も早く用意しよう。」

「…私が作ることは決定なのですね。
では私も、条件を出します。」

「ほう、交換条件を出すと言うのか。
面白い、言ってみろ。」

「いい加減、お祖父様にポテチの作り方を教えてあげませんか?」

「…なぜ今ポテチの話になる。」

「お祖父様とお会いする度に、「ポテチはどうやって作るんだい?」と毎回聞かれます。
もう1年以上経っています、そろそろ良いのではないですか?」

「んーむ、最近質の悪い紛い物が出てきて、何か対策をしようと思ってはいたのだよ。
ポテチの作り方を教えたくない訳ではないんだが、「フランが考えた」という、ブリキッド商会のブランド力が下がってしまう事を懸念しているのだよ。」

「でしたら、作り方を知りたい方と契約を交わしてしまえば良いじゃないですか。」

「契約を?」

「揚げるという技法を教える代わりに、揚げ物で商売する際は売り上げの一部をもらうというようにして、そのお店にはブリキッド商会認定の印を付けてもらうんです。」

「成る程!
そうする事で、揚げ物が普及していく程ブリキッド商会のブランド力は上がっていき、更に売れれば売れる程我々の元にもお金が落ちるという訳か。
その話、乗った!」

「氷やアイスクリーム、炭酸飲料もしますか?」

「勿論!」

「では、私に科学者を雇ってもらえませんか?」

「それは何故?」

「クエン酸を科学の力で作る為です。
学童院もあって実験する時間があまりありませんし、何より一日中クエン酸ばかりを作り続ける毎日はもう嫌です!」

「わ、分かった。
こちらも早急に対応しよう。
じゃあ次は私の番だ。
私の分の体重計を作って。2台。」

「…何がお父様の番なんですか?
嫌ですよ、あれ作るのメチャクチャ大変なんですから。」

「お前の方が多く頼みごとをしているだろう?
交渉するなら同条件にしないとな。
それに、体重計はいずれ、領民だけでなく国民の健康管理や健康維持に必要となってくる。
作って欲しいとは言わない、作りなさい。」

「依頼ではなく命令ですか。」

「もし拒否したら、科学者の話はなしにするぞー。
また毎日クエン酸作りに励んでもらうぞー。
今年はもっと忙しくなるぞー。」

「ひ、卑怯だ!」

「じゃあ、私は学童院への資金援助と人材派遣、揚げ物や氷等の製造普及に科学者の雇用。
フランは、鐘と半鐘台の製造・建築に、体重計が2台。
中々良い条件じゃないか。
宜しく頼むよ、フラン。」

「…これが6歳児に突きつける交換条件の内容ですか。」

「それなんだが、フラン…
お前本当に6歳か?」

「実の娘になんてこと言うんですか⁉︎」

「いやな、たまに私より年上なんじゃないかと思うことがあってな。」

「…気のせいです。」
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