公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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129 公爵令嬢は熱気球を作る

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 テスト休み明け、私はロナウド、セシル様、リリーちゃんに責め寄られていた。

 「「「どうして自分たちも誘ってくれなかった?」」」

 みんな、顔が怖い!

 まあまあ、一旦落ち着いて、これには深い訳が。

 「生徒会長と副会長だけ羨ましいです!
 私達、ずっと一緒にいると誓い合ったではありませんか!」

 うーんと、リリーちゃんが私に付いてくるとはいつも言ってるけど、そうだったっけ?

 「久しぶりにフィアンマ男爵領へ行けるのでしたら、僕は父上なんかに会いませんでしたよ。」

 騎士団長に向かって『なんか』とか言わないであげてよ。

 「父上がこの事を知ったら、どれだけがっかりするだろうな……」

 あ、それはやめて!

 国王陛下を悲しませたとか、どんな罰が与えられるのか……


 「「「ワタシ(オレ、ボク)も行きたかったな……」」」

 あ、いや、せっかくの家族団らんじゃん?

 ウッディ君なんて、大好きなお母様や妹さんに会えて嬉しかったでしょ?

 「それとこれとは別です。
 それに、『フランドール様とはしっかりと仲良くなりなさい』と母親に念を刺されたところですから。」

 「「ワタシ(ボク)もそれ言われました」」

 マジかよ。



 第一回テストが終わると、武術では武器の練習組と体力作り組に別れることになった。

 魔法戦士は遠近両方に対応出来るから、武器が使えるとかなり戦力が上がるんだと。

 で、魔法一択組も、体力がないと馬車の使えない場所なんかでかなり苦戦してしまう、というか足手まといにすらなってしまうので、そうならないように基礎体力は付けておかなければならない。

 なので、私は引き続きスタミナと筋肉を鍛え上げています。

 これって本当に効果あるのかな……

 疲れるばっかりで、何も進展ないんですけど。

 ああ、飛行機みたいにピューッと飛んでいければ良いのに。

 あ、じゃあ飛行機作っちゃえば良いじゃん。

 魔法実技の時に作っちゃおう。

 その前に、この地獄タイムをどうにか凌がないと……



 昼食の時間になって、レベッカちゃんお手製の醤油ラーメンと餃子を食べながら、ロナウド、セシル様、リリーちゃんに、魔法実技で私がしたい事を手伝ってもらうように相談した。

 「なにそれ!
 めっちゃ面白そうじゃん!」

 「これが実現すれば、移動がかなり楽になりますね。
 それに、僕と相性抜群じゃないですか!」

 「素晴らしいです!
 フラン様とお空の旅だなんて、夢のようですね!」

 三人とも協力してくれるようになった。

 よし、じゃあ早速準備に取り掛かろう!


 まずは素材の仕入れ。

 生地は、耐熱性の高い厚めの綿布。

 ひとまず試しに作るだけなので、そんなに量はいらない。

 次に、バーナー部分。

 これは火属性魔法で対応できるから省きます。

 あとはゴンドラ。

 試運転の重りをいれる箱と、布と箱を繋ぐ丈夫な紐。

 これを組み立てていく。


 組み立て作業は昼休みに間に合わなかったので魔法実技の時間にする事にした。

 先生に「なんで工作なんかするんだ?」と注意されたけど、「魔法の実験です」と言ったら渋々了承された。


 生地を縫い合わせる作業から。

 ミシンでダァーッと縫っていくだけだから、そんなに大変ではない。

 ゴンドラも、バスケットで代用。

 バスケットと袋状にした布を紐で繋いだら、二メートル程の小型気球が完成。

 バスケットに重りを乗せたら、レッツフライト!

 球皮に熱風を吹き込み、空気で球皮が膨らんだら手を離す。

 すると、フワフワと空中は浮かび上がり、風に乗って飛んでいった。

 「「「「やったー!成功だー!」」」」

 すると、後ろからものすごい気配を放つ人物が。

 「い、今、何をしたのですか!?」

 先生が後ろでワナワナしながら近寄ってきた。

 「あ、いや、空中移動出来る乗り物を開発しようと実験をしてました……」

 「何だって!?
 それは本当か!?」

 ガシッと肩を掴まれてグワングワンゆすられた。

 「はいぃ、まだ実っ験段階ぃなのでぇ、人が乗れぇるか分ぁかりませぇんがっ。」

 「お、同じものを作って、急いで学校長の元へ向かいなさい!」

 あれ、これはデジャブ?



 同じものを作って、校長先生のところへ向かった。

 事情を魔法実技先生に聞いていた校長先生は、ドキドキ半分ワクワク半分の様子で、実演を頼んできた。

 なので、セシル様が熱量や風向きを調節しながら自在に気球を飛ばした。

 「まだまだ実験段階で小さいものですが、いずれ人を乗せられる大きさにしていきたいと思っています。」

 「人を……乗せるだと……?」

 「はい。
 今は火魔法と風魔法で操っていますが、これを魔導具で操れるようにすれば、魔法が使えない人でも空を飛ぶことが出来るでしょう。」

 「なっ、なんということじゃ……
 過去に風魔法で空を自在に飛ぶ人物が僅かに居ると聞いていたが、これが完成すれば誰でも空の旅が楽しめるではないか……!」

 「「風魔法で空飛べるとか、俺(僕)もやってみよう。」」

 今はその話じゃないでしょうが。
 
 「もちろん、事故の可能性もあり危険が全くないとは言い切れないので、試験運転や操縦の訓練が必要ですが、もしこれを乗りこなすことができれば、遠方への行き来がかなり広範囲で出来る様になるとは思いませんか?」

 「思う!
 これは実に素晴らしい!
 すぐに国王陛下に伝えなければ!!」

 「あ、今回も私達が直接報告に行きますよ?」

 「頼む!」



 四人で国王陛下に報告したところ、

 「これは移動手段だけでなく軍事力まで上がってしまう代物だ!
 他国に知られないよう注意を払え!」

 新しいもの好きな割に少し臆病なところがあるからな、そう言うと思ってましたよ。

 「『熱風が普通の空気より軽い』という仕組みが分からなければ、簡単に真似されることはないですよ。
 便利なものはどんどん使っていきましょうよ!」

 「その仕組みをフランドールはなぜ知っておる?」

 「煙突から出る煙は、上空に向かって飛んでいるでしょう?」

 「そんな事では、直ぐに仕組みがバレてしまう!
 急いで煙突をどうにかしなければ!」

 今まで誰も気付かなかったんだから、多分大丈夫だってば。
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