公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

文字の大きさ
177 / 191

153 公爵令嬢は馬を選ぶ

しおりを挟む
 この季節のイベント。

 それが、狐狩り。

 お貴族様の娯楽と害獣駆除の一環として昔から続けられている行事のひとつ。

 これに出るために、エレメント魔法学校経営の馬屋で男女関係なく十日間ほど乗馬の練習をさせられる。

 うわぁ、私、乗馬とか出来るかなぁ……

 いざとなったら馬型ゴーレムでその場を凌いでしまおう。



 まずは、数いる馬の中から、自分と相性のいい馬を探し出す事から始まる。

 相性が悪ければ、落馬や怪我の原因になり得るし、逆に馬を傷付けてしまう可能性もある。

 早速相性チェック。

 ロナウドは、馬屋で一番優秀な馬との相性が抜群だった。

 セシル様は、スピード型の白馬。

 リリーちゃんは、見目麗しい栗色の牝馬。

 なんか馬にも性格が出てるねぇ。

 ビ、ビクター君、近年稀に見る暴れ馬を早速乗りこなすとは……

 ビクター君のやってる事は、常に性格と真反対だね。

 アンリさん、ウッディ君も、相性が良かったそれなりの馬を選んでいた。

 残すは私。

 乗馬なんてやった事ないし、元気な馬とか乗るのが怖い。

 ゆっくり動く小さめの馬とかがいいや。

 そう注文すると、馬主が連れてきたのはここでは一番の小柄な老馬。

 そろそろ現役を引退して、ゆっくりと余生を送る予定だったそうな。

 名前はレックス。

 いいじゃん、この力のなさそうな小さなヤツが私にはお似合いだ。

 宜しく、レックス。



 早速壁にぶち当たった。

 レックスはかなりの人見知りらしい。

 中々私と心を通じ合わせてくれない。

 馬主に相談してみた。

 「そうじゃなぁ、レックスは人見知りは強いのじゃが、美少女には比較的心を許しやすいのじゃ。」

 なに!?

 なら、私にもすぐ懐いてくれるのかな!?

 「フラン、否定はしないけど、流石にそれは厚かましいぞ。」

 う、うるさいロナウド!

 横槍を入れてくるんじゃないよ!

 改めて気を取り直して。

 餌をあげてみる。

 「……」

 ブラッシングしてあげる。

 「……」

 う、馬屋の掃除……

 「……」

 何をやっても心を開いてくれる気配がない!

 なんでみんな、あんなに懐いてるんだろう。

 ロナウドは元々動物好きで、セシル様は騎士の息子で馬の扱いは容易いだろうし、リリーちゃんは主人公補正で動物と会話が出来るはず。

 三人はまだわかる気がする。

 ビクター君、君は暴れ馬をどうやって手なずけたんだよ。

 他の人達も、何やかんやして一緒に歩いたり、乗馬の練習を始めてる人もチラホラ。

 今まで、馬車馬や家畜達は周りの人が世話をしてたから、私が動物に対して何かをした事ってなかったんだよなぁ。

 強いて言うなら、動物実験的なあれくらい。

 心の通じ方が分からないよう!

 ……いざとなったから、あの手を使うしかない。

 い出よ!超合金馬型ゴーレ……

 ズビシッ!

 「おいおい、こんな所でそんな魔法使ってみろ。
 いくら魔法慣れしてるからって、馬達がビビるだろぅが。」

 くっそー、今日は魔法技術の先生がいないからゲンコツ食らわないと思ってたのに、ジョニー先生に脳天チョップを食らった。

 じゃあ、やっぱりレックスと仲良くなるしかないか。

 ん?よく見たら、蹄鉄が結構傷んでるような。

 「ああ、レックスはまだ蹄鉄を交換する前だったんじゃ。
 大会前には交換しておこうと思っておる。」

 じゃあ、それを私が交換してもいいのかな?

 「構わんが、やった事はあるのかい?」

 動画で何度か見た事あるから、やり方は知ってる。

 ただ、削蹄はやった事ないから、手伝ってもらおう。



 まずは、蹄に打ち付けられた釘を抜いて、古い蹄鉄を外す。

 次に、削蹄。

 鎌のようなもので足の裏を削ったり、ペンチのようなもので伸びた蹄を切ったり、ヤスリを使って形を整える。

 馬の健康や走り方にも影響する肝なので、ここは素直にお願いをしよう。

 通常ならここから、蹄鉄の形を整えたり、炉で焼いた蹄鉄を蹄に押し当てて形成したり、完成した蹄鉄を特殊な釘で蹄に打ち付けたり、って作業をするんだけど、ここは私。

 一気に蹄鉄を作って蹄に装着。

 ミラクルフィットの完全オーダーメイド蹄鉄。

 着け心地は如何程?

 おぉ、何となく誇らしげに見える。

 おいおい、蹄鉄を見せびらかすようにウロウロ歩くんじゃないよ。

 コイツ、もしかしてお洒落さんなのかな?

 よしよし、じゃあ今度はお洒落な鞍を作ってあげよう。

 ついでに、狐狩りまでに素敵な装飾をしてあげようじゃない。
 
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...