仮想現実の歩き方

白雪富夕

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第1章第3話 かそキャン△どうでしょう

*4*

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女神様曰く、あの化け物のねぐらは湖の奥にある洞窟らしい。
私達は小舟を2艘女神様から借りた。
私と春一、クロードとルイスさんで分かれて乗り込む。
しばらくオールで漕いでいると、洞窟を見つけた。
私達はそのまま前進していく。
暗い洞窟は持ってきたランタンが無ければ何も見えなかったと思う。
洞窟内はあんな大きな化け物がいるとは思えないくらい、不気味な程静かだった。

ルイス
「あの女、ウソついたとか無いわよね?」

苛立つルイスさんの声が反響する。

春一
「ウソつく理由が無ぇだろ。
まあ休憩がてらしばらく待ってみようぜ」

詩乃
「休憩って、私がずっと1人で漕ぎ続けてたんですけど!」

向こうの舟は替わりばんこで漕いでたのに!

春一
「ほらぁ、ボク子供だからお姉さんみたいに力持ちじゃなくってぇ~」

都合が悪くなるとすぐ子供のフリする!!

クロード
「何かおびき出せる方法でもあれば良いのだが……」

ルイス
「また釣り糸垂らしてみれば?
食い付いてくるかもよ?」

ルイスさんが春一に提案した。

春一
「そんな都合良く来るかぁ?」

クロード
「物は試しだ。春一、やってみてくれ」

春一
「へいへい、分かりましたよ旦那様ぁー」

春一はリュックから釣竿を取り出し、かったるそうに釣り糸を垂らした。

春一
「さっきお出まししたばっかなのに、簡単にまた出るなんざ考え甘いんじゃ……ん?」

詩乃
「どうしたの?」

春一
「いや、今水の中で何かが動いたような気がして」

春一の言葉はそこで途切れた。
一瞬だった。
軽い体は釣竿ごと暗い水の底に沈んでいく。

詩乃
「春一!!」

揺れる小舟から手を伸ばすも、春一の姿は見えない。

???
「ギャオォォォォ!!!」

突如現れた怪物の口に釣竿が光る。
だけど、その持ち手に春一は居なかった。

クロード
「あれはヴォルールか!ルイス殿、舟を頼む!」

オールをルイスさんに託し、抜刀。

クロード
「ハァッ!!」

勇ましく声を上げるとクロードは怪物の背に飛び乗り、共に水底へと消えた。

ルイス
「え!ちょ、ちょっと!!」

突然の展開に狼狽えるルイスさん。

詩乃
「春一……春一助けなきゃ!」

舟の先端に縄を括り付け、私はへりに片足を乗せる。

ルイス
「助けなきゃって、アナタまさかそのまま飛び込む気!?」

詩乃
「私らの舟もお願いね!」

縄の端をルイスさんの舟に投げ入れ、肺に思い切り空気を溜めてから飛び込んだ。



暗い水の中は静かで、何も見えない。
それでも目を凝らして、必死に春一を探す。
肺活量の限界がどこまでかは分からないけど、自慢出来る程では無いと思う。
私が苦しくなる前に春一を探さなきゃ!
親指の指輪が隠れるように手を握り、指輪に助けを求めた。
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