Missing Voice ―汚れなき暴君の歌姫―

穂月ひなと

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序章

生き続けた亡霊(1)

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 淡い蜜蝋色の光を発する幻月岩も残り二つ。
 静寂に包まれた部屋は、窓も扉も閉め切られていた。皆が寝静まり足音一つ聞こえない。
 十七人の少女と一人の女性が、杯を中心に弧を描いて座っていた。
 裾や袖に青い刺繍の入った同じ服を纏う十七人の少女達に引き替え、女性だけ派手なフリルが袖や胸元を飾る絹のブラウスに、黒い毛羽毛地の長スカートという姿で異彩を放っている。
「……で、監視塔の扉は閉ざされたまま、百年以上も誰一人として足を踏み入れず、いつしか扉の場所も忘れられ、扉の鍵も何処かに封印されたそうよ」
 結った髪を花で飾った少女は軽快に語り終えると、掌で輝く幻月岩の小石を真鍮の酒杯へ投げ入れた。ぽちゃん、という水音とともに小さな光は沈んでいく。話に耳を傾け、緊張で顔が強張っていた少女達も肩から力を抜いた。
 恋にまつわる伝説や伝承を一人一話語り、語り終えた者は手に握っていた幻月岩の石を、水を張った真鍮の酒杯に鎮めていく。十八人全員が語り終え、最後の小石を水に沈めてその水を飲むと、誰かの恋が必ず叶うという。
 静寂の室内に響くのは恋のまじないだ。
「次は先生よ」
 赤銅の髪の少女が傍らの女性を見上げて促す。
 線の細い花のかんばせに薄い唇。化粧も髪も整えているが、女性と言うには肩幅や体も大きい。細身の体もよく見ると骨張っていた。女物の服を纏っているが、胸にはまるで肉がない。
 少女の傍らに座っていたのは女性ではなかった。
「じゃあ、歌花祭に纏わる話でもしましょうか」
 男性独特の低く掠れた、魅力的な声音が零れる。
 三年に一度、此処パフェルの都で開催される歌花祭に幾度も出場し、学院を優秀な成績で卒業した経歴を持つ彼は、シセル先生と呼ばれる歴とした学院教諭である。
 ただし女装癖があり女言葉で語り出す。
 当然、一部の同僚職員からは白い目で見られるが、女性より素行が美しいために女学生の人気が高い。人付き合いも気さくで、恋のまじないへの同席も珍しい事ではなかった。
「先生って、さっきの話の頃って学院にいたの」
 赤銅の髪の少女が袖を引く。シセルは記憶の糸を辿るように暗闇の天井を見上げた。
「そうねぇ。ワタシが教師になったのは十年前だし、学生だったのは其れより十数年も昔だから。さっきの話が生まれたのは丁度いない時期ね。ごめんなさいね、ヨルシャ」
 繊細な指先が頭を撫でた。大きな掌は母のような暖かさを感じさせる。
「残念。てゆーか先生、今の歳って幾つ?」
 本当の狙いは伝説よりも其処にある。
 シセルは過去や個人情報に謎の多い事でも知られている。問われて一瞬、真顔に戻る。悪戯っ子の様に目を輝かせたヨルシャの顎を片手ですくい上げて、女神の微笑みを浮かべた。周囲の女生徒達が怪しい雰囲気に息を呑む。唇が触れあうか、という距離で囁かれる低い言葉。
「ひ・み・つ」
 シセルが指先に力を入れた。ヨルシャの顔が無惨な造形と化す。
「先生のけちーぃ」
 周囲の期待は大幅に裏切られた。怪しい雰囲気は霧散し、間抜けな会話が後に続く。
「妙齢の女性に年齢を尋ねるもんじゃないの」
「へんしぇは、じょへいあ、ないひゃん」
 紫に染めた爪が心なしか怒りを伴い、柔らかい頬に食い込んだ。
「先生は体が男の人でも、心は立派な女性なの!」
「うほあ~」
「嘘なもんですか。そもそも先生の個人情報を、事ある事に集めて売るのはよしなさい」
 ヨルシャの頬を、ひっぱったり抓んだり。無益なやり取りに、ヨルシャの親友のシエタが「先生の番ですよ」と止めに入る。赤く腫れた頬をさすりながら恨み言を呟くヨルシャを尻目に、シセルは蜜蝋色の光を放つ幻月岩の小石をかざした。
「二十年くらい前になるかしら。学院の中庭に幻月岩の巨石があるでしょう」
 すらりとした細い腕が、壁に向かって指を指す。勿論、方角を指しているだけだが、女生徒達の視線はつられるように動きを追った。
 この北に限りなく近い土地では、南に位置する太陽の光が届かない。
 明かりの代役を果たすのは昼も夜も星空に浮かぶ月。そして月の光を吸収して発光する幻月岩と火のいずれかに限られる。
 そのうち幻月岩は産出地からの輸入が途絶えている為、非常に高額な品だった。ヨルシャ達が使っている小石一つで一般家庭が一ヶ月暮らすことが出来るのだが、後ろ盾に複数の国を持つこの学院では財産代わりに必要以上の幻月岩を保有している。
 そのうちの一つが、中庭に野ざらしのまま放置されている幻月岩の巨石だった。
「あの岩には、一つ悲しい話があるの」
 ふふ、と優しく微笑む。
「二十年ぐらい前よ。堕ちこぼれの生徒が巨石の後ろに隠れて泣いていたら、とびっきりの綺麗な男の子が現れて、歌を教えてくれたんですって。その歌声ときたら類い希なもので、堕ちこぼれの生徒は歌花になれたんだとか」                      
 歌花、というのは歌姫の頂点に輝いた者の事を指す。
「で、その歌花は男の子に恋をしたの。誰の所へも行きたくない、貴方の傍がいいって」
 ヨルシャを除いた女生徒達の殆どから、口笛や溜息が零れた。
「男の子は笑って『有り難う嬉しいよ』と答えたけれど、歌花の誕生日を前に姿を消したの。『僕の役目は終わった。祭は終わりだ、前をごらん。世界が君を待っているよ』という手紙と、一輪の百合を残して」
「かぁっこいぃ~」
 レディン学院の生徒は外界と隔離されているからか、夢見がちな女生徒が多い。
「でも歌花は耐えられなくて、手紙と贈られた花を心臓の所にあてて、小刀で自分の胸を指したんですって。其れを見た男の子も自分の過ちに気づいて後悔し折り重なるように命を絶ったのが、あの巨石の上と言われているわ」
 ちゃぷん、と小石が真鍮の酒杯に沈んだ。
 蜂蜜色になった酒杯の水。酒杯を手にしたシセルが一口水を飲み、隣へ回していく。
 紅潮した表情でシエタが飲み、その隣が飲んでいき、最後にヨルシャが飲み干した。
 以上で儀式は終了。
「ハイ! じゃ、小石を回収して、みんな自分の部屋に戻りましょうね」
 最後は先生らしく解散の手を叩く。女生徒達はお互いに「誰かな」なんて言葉を交わしながらも挨拶して部屋を出た。部屋に残っていたヨルシャが口元を釣り上げてシセルに問う。
「ネェ、もしかして先生は好きな人いるんじゃなぁい? その為のおまじないとか」
「ひ・み・つ」
「えー、相手は男? それとも女?」
 好奇心が疼く。なにせ自称、心が乙女で体は男。
「無粋な。そう言うヨルシャはイイヒトができたのかしら」
 ヨルシャはシエタの付き添いで参加しただけなので、当然心に決めた相手がいるわけでもなく口を開けたまま視線が泳ぐ。「さぁ、二人とも寝なさい」と肩を押されて廊下へ出ると、シセルは部屋に鍵を掛けて職員棟へ去っていった。


「ちぇー、もう少しだったのに」
 高値で売れる情報はそう簡単に手には入らない。
 入手困難な情報ほど収集屋としての血も騒ぐ。
 残念、と呟いたヨルシャが視線を移すとシエタが俯いている。眉を跳ね上げて顔を覗き込めば、今にも泣きそうな顔でシエタがヨルシャの裾を握っていた。
 嫌な予感がする。
「……どうしたの」
「シセル先生。好きな人いるのかな」
 やっばー、とヨルシャの野生の感は警鐘を鳴らした。間違いなく地雷を踏んだに違いない。数少ない微量の女の感が告げている。シエタはシセル先生に思いを寄せている、と。
 珍しいことではなかった。
 レディン学院では若くて美しい先生が恋愛対象になりやすい。かくいう先ほどのララメ・デ・ラルナ参加者半数が、ヨルシャの調査によるとシセルに恋している者達だ。
 だからこそ酒杯回し飲みで頬を染め、間接キス一つで大騒ぎする。
 間接キスの一つや二つがどうした。
 と語るヨルシャの感覚は、学院内では異端も異端。
 問題は今、この瞬間だ。ヨルシャは石化したままで己を呪った。
 何故、友達の恋愛対象を調査しておかなかったのか。余りにも近すぎて、全く気にしていなかった。不用心な質問一つで、友情に亀裂が入っては死活問題だ。
 女の恨みは海より深い。
「あ、あのさシエタ。まだ泣く必要ないんじゃないかな。先生、いつもあんな調子だし」
「だけど、いないって言わなかった」
「でも確定したって訳じゃないし! それに愛は奪ってこそ愛よ! 略奪愛万歳!」
 悲しいかな、動揺が勝って言葉が半分意味を成していない。
 なんとか機嫌を直して貰おうとするヨルシャをみて、シエタが少しはにかんだ。
「そうね。今日は一緒に話せたし、これから振り向いて貰えるようにがんばる」
 ほっと胸を撫で下ろす。
 ようやく手を繋いで歩き出した頃には、シエタの機嫌は元へ戻り、今日の先生はこうだった、先生の話はどうだった、と夢見がちな会話へ戻っていた。
 だがこれで一気に気苦労が増える結果になってしまった、とヨルシャは惚気に生返事をしながら心で涙する。シセルは自分の声楽担当だったからだ。変な嫉妬を抱かれてはたまらない。
「それにしても岩の上で心中なんて、かわいそう」
「あーうん、可哀想よね。とくに男の子のほう」
 今後の心配でそれどころではないヨルシャの生返事にシエタが振り向く。
「女の子の方が可哀想よ! 失恋したと思ったら両思いで、死んで一緒になるんだから」
 ぐん、と腕をひかれてヨルシャはよろけた。
 暗い回廊は幻月岩の小石があるとは言えども、ヨルシャの視界を奪っている。シエタと手を繋いでいるのは、何もシエタが怖がりだからと言うわけではなくて、ヨルシャの目が漆黒の闇に適していないからだ。
 目覚め無き永遠の月の都。
 常々太陽の下にある大陸南方の住民達は、此処パフェルの街をそう呼んでいる。大層な称号に違わず、この北の天空は昼も夜も漆黒のまま顔色を変えることはない。
 人の賑わう時刻になると街の彼方此方を人工の炎が照らし出すが、皆が寝静まる時刻は月と星が頼りとなる。生まれも育ちもパフェルならば問題ないが、遠い場所からこの地へ来た者にとっては不慣れという話では済まなかった。
 人間というのは面白い生き物で、生まれた地域ごとに瞳のつくりが異なるらしい。
 黒い瞳をしているヨルシャと違い、シエタの瞳は限りなく白に近い青。ヨルシャの瞳には数歩先が闇しか映らなくとも、シエタの瞳には曲がり角までぼんやりみえるという。
「あーやだやだ。早く中庭に出ないかな。通路真っ暗」
「もう少しよ。それにしても初めて聞いたわ。岩の上に幽霊とか出たりしてね」
 気が弱い癖に舌を出して笑うところは、悪戯なお転婆娘そのものだ。
「やめてよね、ただでさえ暗いの嫌いなのに」
「いい加減、暗闇に慣れたら? 心配しなくても、幽霊がでたら私が守ってあげる」
 微笑む姿に、微笑ましさを交えて「期待しておく」と短く告げた
 やがて暗い通路は突き当たり、右へ曲がると奥に光が見えてくる。
 心中があったという中庭の幻月岩の光で、廊下が煌々と蜜蝋色に照らされているのだ。
 中庭を進んだ、更に奥の方で女子寮は静かにそびえ立っている。帰る為には、どうしても其処を通らねばならない。
 ヨルシャにとってひたすらに不気味なその中庭は、硝子の欠片を思わせる星々を見上げることが出来た。天体授業の時は皆が集まって俄に騒がしくなるが、今は皆が寝静まっている。
 虫の鳴き声一つ聞こえない学院の中庭を足早に通り過ぎようとして、二人は足を止めた。
 歌が聞こえる。
 美しい歌だった。
 淡く光り輝く幻月岩の上に、人影があった。
 川のように流れる、艶やかな長い黒髪と漆黒の衣。学院の制服ではない。体格からして男性だが、座っているわけではなく仰向けに横たわっている。息を呑んで凝視していると歌が止んで、ぐるりと首が動いた。長い髪が顔の殆どを覆い尽くし、片方の黒い瞳がヨルシャ達を捕らえた。息を呑んだ二人の背筋に、冷たい汗が流れていく。
「ぁー……?」
「ぃいやあぁああぁああぁ!」
 シエタが脇目もふらずに走り去っていく。
「守ってくれるんじゃなかったのぉぉ!」
 腕を振り払われたヨルシャの絶叫。
 極限状態に置かれると、人間は人が変わるという。
 元々気弱なシエタに、身を挺して守る事が出来るとは思えなかった。
 殆ど期待していなかったものの、いざ置き去りにされるというのは正直きつい。
 恐怖の所為か声が出ない。腰が抜けて立ち上がることも出来ない。
 為す術もなく、回廊の果てに走り去ったシエタを見ていた。絶対に戻ってこないと悟りながらも、縋るような眼差しを向ける。普段は忌まわしい闇へ、顔を向け続けた。視線を元に戻せない。幻月岩の方を見られない。地の底から響く様な呻き声が脳裏から離れない。
 ヨルシャはそのままの体勢で後退り、壁に張りついた。
 逃げ場はもう無い。

 ……ず、ずず、ずる、
           どさっ……ず、ずずず、ずざ……ざざざ……

 心臓の鼓動が早くなっていく。
 くる。
 地を這うような音が近づいてくる。
 頭では『逃げなければならない』と分かっていても、震えて体の自由がきかない。ようやく片手で一歩進もうとした所に、黒い人影が覆い被さってきた。影に目を剥く。
 いる。
 横にいる。
 視界の隅に、砂に汚れた黒い靴が見えた。
 覚悟を決めて顔を上げると、長髪の隙間から虚ろな片目が見えた。飛び出さんばかりの大きな片目。闇を内包しているような黒い巨体に、真上から見下ろされて竦み上がった。
 遠い空に浮かぶ月が、笑っている。
 影の手がヨルシャへ伸びてくる。白く細く骨張った手が。
「――な、何で私が祟られなきゃいけないのよ! もっと金持ちに憑きなさいよ!」
 恐怖のあまりに逆切れした。
 獣のように歯を食いしばって唸る。伸びてきた手が止まる。
 重い沈黙の末に、黒い幽霊は薄い唇を開いた。
「……祟る?」

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