異世界遺跡巡り(改)

小狸日

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039ロマン

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初めて入る天幕は十分な広さと高さがあり、全員入っても余裕が有った。
俺達もテントの前に屋根の部分だけ付いた広めのタープをセッティングしているが
雨や風を考えると、側面を覆う形にした方が良いと考えさせられる。
合わせてテントと繋げられるようにすれば、旅の途中でも寛ぐことが出来るだろう。

「何をキョロキョロしているのよ。早く座りなさいよ。」

サリナ姫に促され、椅子に座った。
サリナ姫、バラン将軍の他にブルネリと名乗る中年の男性が同席し紅茶を頂く。
俺も浩司もどう対応して良いのか分らないので、ガラに任せる事にした。

「良い香りの紅茶ですね。」
「気に入ってくれて良かった。これは私も気に入っている。」

ブルネリさんが王国での話を面白く話してくれる。
サリナ姫の事はサリナ様と呼ぶが、姫とは口にしない。
サリナ姫との関係を考えると、ブルネリさんは貴族なのだろう。

「そう言えば、拓殿は先ほどポトリ教授と、どの様な話をされていたのですか。」

ブルネリさんが俺に話を振るので、天地見聞録に書かれているガイアの門や全てが始まりし場所について話した事を簡単に説明する。

「その年齢で、なかなか素晴らしい考えを持っている。
 ポトリ教授は遺跡に関して、この国で一番の専門家なので興味がある方には面白い話を伺う事ができるだろう。」

俺があんなに若いのに国一番と聞いて驚いていると、実はバラン将軍より年上だそうだ。
今でもナンパされるが、当の本人は遺跡の事しか興味が無く煩わしいだけらしい。

「それにしても、拓ちゃんって文字が読めるんだ。ただの生意気な子供という訳ではないのね。」
「・・・サリナお姉さんって、色々な意味で残念だよね。」

俺がため息交じりに呟いた言葉で全員が笑う中、むくれるサリナ姫が少し可愛らしい。
なんだか、姪っ子を相手にしているみたいだ。本当の姪っ子は、もっと生意気だったが・・・

「サリナお姉さんは天地見聞録をどう考えているの?」

出来るだけ穏便に話題をずらすとサリナ姫が自説を話してくれた。

「災いは複数の災害級の魔獣によるもので
 ガイアの門とは、古にその災害級の魔獣達を封印した門
 そして皆が勇者の遺産と言っているけど
 『全てが始まりし場所への道』とは、その門の場所への道じゃないかと思うのよ。
 問題は柱なのよね。
 未だに柱を発見できないという事は、何かの比喩で象徴的なモノを指し示していているんじゃないかしら。
 光と闇、天と地は、その場所に行けばきっと分ると思うのよ。」

なるほど、ガイアの門は封印の門か
現実に存在するモノと考えた方がスッキリするな。
そうすると柱も比喩でなく、現実に存在すると考えた方が良いか。

「魔獣って封印する事ができるの?」

俺としては、その様な技術が有るのなら知っておきたかったのだが、今までドヤ顔だったサリナ姫が何とも言えない表情に変わった。

「それは、古代の秘術が有ったのよ。巨大なアイテムボックスの中に閉じ込めてしまうとか。」
「アイテムボックスって、生き物は入らないかと。」
「・・・そこも、古代の秘術かな。ハハハッ」

サリナ姫の熱の入った意見の後だけに、この場の空気が痛い。
困ったときの秘術頼み。幾らなんでも万能すぎるだろう。
サリナ姫の笑い声が静けさの中に消えて行く。

「でも、俺のガイアの門を比喩とした考えより実際に門が存在すると考えた方が納得できるよ。
 天と地という言葉が有るので、山の上や地底に結界を張って張って災害級の魔獣を封じ込めていたのかも。」

俺の話しに続いて、ブルネリさんが口を開こうとした時

「そうよ、拓ちゃん。良くその考えに辿りついたわ。
 私がワザと作った穴を推理して埋めるとは、ただの生意気な子供ではないわね。」

サリナ姫が俺を指さしての発言に、一瞬にして静けさが戻ってきた。
空気を和ませようとしたが、サリナ姫は手強い。
ブルネリさんも言葉を繋ぐ事が出来ない。

「ワッハッハ、こっこれは何と言えば良いのか。はっ腹が痛い。」

バラン将軍が言葉通り腹を抱えて笑うと、全員がつられて笑い始めた。
おかげで、若干1名を除いて場が和んだ。落ち着いた所でブルネリさんが話しかける。

「それにしても、なかなか楽しい推測だ。
 ちなみに拓殿、もしも勇者の遺産が有ったとしたらどうしますか。」
「面倒しか起こさない様なモノは封印しておくのが一番かと。」

以前にもエチゴに聞かれた質問に答える。するとサリナ姫が何故か不満そうな顔をする。

「ちょっと拓ちゃん、それじゃ何で遺跡に興味を持ってるのよ。」
「いや、だって冒険に遺跡はロマンだから。
 普通の財宝ならお金になるけど、勇者の遺産なんて持て余すだけですよ。
 そう言うサリナお姉さんは見つけたらどうするの?」
「そうね、それが絶対的な力なら世界平和の為に有効活用するわね。
 大体、ロマンって何よ。そういうのに憧れるなんて全く子供なんだから。
 今は良いけど、大人になると現実をしっかり見ないといけないのよ。」

バラン将軍は思わず吹き出した所をサリナ姫に睨まれ、黙って俯いたが肩が揺れている。
ブルネリさんですら、思わず口に手を当てて笑いを堪えていた。
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