異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
630 / 761

630魂の同化

しおりを挟む
******(浩司)

「大丈夫か。」

目を覚ますとリッチが声を掛けてきた。
体の方は問題ないが、拓ちゃんは、それにもう一人の俺はどうなったのだろう。

「拓は無事だ。その内に目が覚めるだろう。
 呪いで作られた人格は、お前の中にいる。良く助けられたな。
 この様な状態は初めてで、どう影響が出るか分からないが今のところ問題は無さそうだ。」

そうか、拓ちゃんも、もう一人の俺も無事なのか。

『全く、浩司も無茶をする。』
「なぁ、グリム。意識の中で、もう一人の俺と拓ちゃんを合わせることは出来ないか。
 夢が崩壊して挨拶も出来なかったから。」
『そのお人好しな性格も、良し悪しじゃな。
 どうなるかは分からないが、やってみよう。』
『仕方がにゃいので我輩も行くにゃ。拓にゃら浩司が2人いるといって喜ぶにゃ。』

拓ちゃんなら、本当に喜びそうで怖いな。
もう一人の俺と拓ちゃんを合わせても大丈夫か心配になってきた。


リッチに眠らされ、気が付くとグリムの待つ白い空間に立っていた。
横には、もう一人の俺が居る。

「何とかなるものじゃな。それにしても瓜2つじゃな。
 着ている服が同じじゃったら見分けがつかんぞ。」

改めて見ると本当にそっくりだ。
とりあえず、もう一人の俺に直接会える場所としてグリムにお願いしたことを説明した。
肝心の拓ちゃんはというと、未だ眠りから覚めていない。

「夢の様なものとはいえ、自分の世界が壊れたんじゃ。
 この世界だとしても、目覚めるまで少し時間が掛かるじゃろう。

心配する俺達にグリムが安心するようにと言ってくれる。

「拓なら、スケベ心で隅々まで調べたいと言いそうだな。科学的検証だとか言い訳をして。
 裸にされないように気をつけた方が良い。」

元のAランクの魔獣の姿に戻ったヤマトが、そう言ってニヤリと笑う。
ヤマトの中での拓ちゃんの立ち位置が可愛そうな事になっている気がするが、否定も出来ないのが残念だ。

「そろそろ、起きるみたいだぞ。」

ヤマトに言われて拓ちゃんを見ると、丁度目を開けた。
もう一人の俺と一緒に拓ちゃんを覗き込むと、未だ意識がはっきりしていないのか目の焦点が合っていない。
徐々に意識がはっきりしてくると

「ここは何処だ。浩司はどうなった。」

いきなり起き上がったので、思いっきり俺達と頭をぶつけた。

「ごめんって、何で浩司が2人居る。ここはグリムの意識の世界だよね。どうなっている。」

俺が拓ちゃんの夢が壊れてからの話をすると

「浩司、ありがとう。それに、もう一人の浩司もありがとう。」

俺達2人に抱きついて来た。

「浩司が2人も居ると得した気分になるね。それにしても、本当にそっくりだな。」
「俺は拓さんの記憶から作られた存在だから、それだけ良く本人を見ていたんですよ。」

まじまじと見比べる拓ちゃんに対しもう、一人の俺が答えていた。

「あくまでも科学的検証としてなんだけど、何処まで同じか調べてみたいね。」

あまりにもヤマトの言う通りの発言をするので、俺達だけでなくヤマトもグリムも笑ってしまった。
そんな中、もう一人の俺が拓ちゃんをしっかりと抱きしめた。

「拓さん、会えて良かった。夢の中とはいえ、本当に楽しかった。本当にありがとう。」

そう言って、拓ちゃんと唇を合わせた。
その位受け入れるつもりでいたが、やはり嫉妬してしまう。
暫く2人は抱き合っていたが、もう一人の俺が最後に笑って拓ちゃんに別れを告げた。
何時までも留まるのは、もう一人の俺に悪いと思い俺は目覚めた。


「その顔は、上手く行った様だな。」

表情からは分からないが、リッチが安心してくれているみたいだ。

「リッチ、もう一人の俺は大丈夫なのか。」

リッチは俺の体に手を当て魔力を流して確認してくれる。

「存在は残っているが浩司の魂に同化し始めている様に感じる。」
「それは、俺の中で消滅するって事か。」
「初めての事で明確な答えは言えないが、元々が拓のイメージの具現化されたもの。
 本人とは異なるが、かなり近い存在なのだろう。
 同じ魂として浩司の自我の一部となると言ったほうが正しいかもしれない。」
「それじゃ、消滅と変わらないじゃないか。」

俺は結局、助けられなかったのか。

『そんなことは無い。俺は救われた。
 拓さんを泣かせるなよ。魂の片隅で見ているからな。』

もう一人の言葉が頭に響く。なんとなくだが笑っている様に思えた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...