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白いパンツ

第12話

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 俺は無我夢中でバットを構えた。

 なにがなんだかわからないという感じで。

 マウンドの上で躍動するフォームは、明らかに非日常的だ。

 スラッと伸びた足。

 ほんのり日に焼けた肌。

 しっかり手入れが行き届いてそうな綺麗な髪を揺らし、女は大きく振りかぶる。

 その構えは、俺の好きな野球選手に似ていた。

 日本で最速の球を投げるピッチャー。

 子供の頃からの憧れだった。

 似ても似つかないその偉大な選手と、華奢な体躯の女子高生がダブって見えるなんてありえない。

 混乱したんだ。

 これは現実か…?

 そう、思い。



 ビュッ…!



 伸び切った手の先で、指が弾ける。

 また、ストレート。

 そう思ったのも束の間だ。

 追いつけないと思った。

 始動したバットの根本から、“間に合わない”という感覚が頭をよぎった。

 それほどの速い直線が、ホームプレートの真上を通過していったからだ。
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