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まだ、寝てたいんだけど

第37話

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 「行くで」


 キャッチボールを急に切り上げ、女は手を引っ張ってきた。

 日差しはさっきよりずっと高くなり、ジージーという蝉の声が、うんざりするほど騒がしくなってきた。

 街の中心からはクラクションが聞こえた。

 中央幹線を往来する車。

 歩道橋の下を通過していく、神戸市内の喧騒。


 どこに行くのかまでは言わなかった。

 でも、きっとあそこなんだろうと思った。

 「連れてってやるから」と言われ、それに促されるように、自転車の後ろに俺は乗った。

 ちゃんと腰掴めよと言ってきたが、女子の腰に手を回すのは慣れてなかった。

 抵抗ありまくりな態度を取っていると、女はガシッと両腕を掴んで無理やり腰に回させた。

 気がついたら三ノ宮の繁華街を通り過ぎていた。

 時刻は、12時を回ったところだった。

 
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