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やかましい

第57話

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 順調な高校生活を、ぶち壊されちゃかなわん。

 何事も1年目が大事っていうだろ?

 ここまで築き上げてきたものが全部台無しになったら、それこそ追い出すからな?

 たとえおかんが許したとしてもだ。


 「別にええやん。友達ってことで」

 「誰が「友達」やねん」

 「別にちょっかい出しとるわけやないやん。それともなに、好きな人でもおるん?」

 「バッ…」


 そんなわけねーだろ。

 そういうことじゃなくて、俺が求めてるのは「平和」。

 わかりますか?

 お前みたいな非常識なやつといると、こっちまで非常識なやつに見られかねん。

 絡んでくるのはまあ別にいいとして、せめて大人しめにこいよ。

 教室全体に聞こえるくらいの声を出さなくたって、ちゃんと聞こえてるし。


 「ハイハイ。わかりました」

 「ほんとにわかったんか!?」

 「ようするに、もっとにこやかに登場して欲しいってことやろ?」

 「…全然わかってないやないか」

 「あんたこそ、ちゃんとわかっとんか?」

 「は?」

 「野球や野球!」


 何を言い出すのかと思えば、またその話か…


 「野球がどした?」

 「ちゃんと、練習するんやろな」

 「お前に関係ないやろ」

 「頑張るって約束したやんけ」

 「いつ?」

 「この前や!」


 あれはお前が、…無理やり指を差し出してきたからで。


 
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