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というわけで

第90話

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 「なあ、なんやったんや…?あれは」


 何事もなかったかのように学校に向かおうとする女に、尋ねずにはいられなかった。

 ここ数日色々考えてたが、どうも納得できない。

 いや、そもそも納得する方がおかしい。

 あんなことがあって、「なるほどな!」なんて思えない。


 「少しは私のことがわかったやろ?」

 「…いや、全然」


 わかるわけねーだろ。

 何1人で解決してんだ。

 こっちは散らかり放題だっつーの。

 考えすぎて鼻血が出そうだったんだぞ。

 おかげさまでな。


 「私は未来を変えたいだけや」

 「いや、せやから…」


 そもそもが、おかしい話なんだよ。

 「未来」って、なんなんですか?

 当たり前のように話してるが、全然当たり前じゃないからな?

 そりゃ俺だって考えたさ…

 あれはなんだったんだろうって、何度も何度も…


 だけど、考えたってしょうがなかった。

 「時間」が止まったんだぞ!?

 あの時お前は確実に轢かれてた。

 目に焼きついてるんだ。

 今も、鮮明に思い出せるくらい。


 「頭の硬いやっちゃなぁ…」

 「いやいやいやいや。えぇ!?」

 「逆にどうやったら理解してくれるん?」

 「…えっと、…うーん?」


 俺が間違ってんのか…?

 …いや、そんなわけない。

 どうやったら理解してくれるかって言われても、何から理解すればいいかもよくわからん。

 とりあえずまともなこと喋ってくれるか?

 俺でも理解できるような…


 …えっと

 うーん…



 なんかないの?
 
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