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話が違くね!?

第192話

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 「亮平君、大丈夫?」


 女子の声がした。

 柔らかくてしなやかな声色。

 俺の隣の席に、その子はいた。

 ほんのりと茶色がかった髪に、端正な顔立ち。

 若干ギャルっぽくもある。

 なんというか、雰囲気が。


 「…えっと」


 この子はきっと、朝千冬が言ってた“真波”って子なんだろう。

 垢抜けた印象はイメージと少し違ったが、パッと見優等生気質な雰囲気が、「ピュア」っていう表現から遠からずって感じだった。

 “超絶”かどうかは、わからないけど。


 「大丈夫、…やない」

 「ええ!?」


 その子に事情を説明しようとすると、男が“記憶喪失”についてを聞いてきた。

 とは言っても、答えようがない。

 そのまま伝えるべきか…?

 それとも…


 「てか、風邪でも引いたんか?」

 「…ああ、うん」


 体調不良という設定も、こうなったらあまり意味がない。

 マスク外そうかな…

 案外、うっとしいんだよな


 「薬飲んだんか?」

 「飲んだ」

 「大丈夫なん?」

 「…まあ」


 容態はできるだけ悪いって伝えておいた方がいい、…よな?

 あんまり話しかけてほしくないんだ。

 理想を言えば、1日無言で過ごしたい。

 幸先はあまり良くないけど。

 誰かさんのせいで。


 男の名前は、大槻コウと言った。

 思い切って聞いてみたら、快く答えてくれた。

 冗談まじりに記憶喪失だとそのまま伝えたら、ノリに乗ってくれた感じだった。

 もうこの際、ノリで進めていこうか。

 下手な設定を盛り込んでいくよりも。
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